無登録の自宅調理をなくそう

No.13(2022.06.22)

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。英国食品基準庁(UK FSA)は家庭を拠点とする食品販売者が自治体当局に登録を行っていないことを受け、事業登録を行うよう呼び掛けるキャンペーンを行っている。ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)は、健康リスクの認識に関する消費者調査の調査結果を発表した。

注目記事

【英国】食品事業を始める人の自治体への登録呼び掛け

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック下において、新たに食品事業を始める人が増加していることを受け、英国食品基準庁(UK FSA: Food Standards Agency, UK)は、すべての新規事業者に当該自治体の当局に事業登録を行うよう呼び掛けるキャンペーンを開始した。

 インターネットの利用により自宅での個人事業が容易になったことで、COVID-19の流行下において一般家庭から出荷される個人販売の食品が大幅に増加している。食品事業者登録(RAFB:Register a Food Business)デジタルサービスによると、2020年3月にCOVID19パンデミックが始まって以降に登録された新規食品事業者のうち、37%については事業所が個人の家庭の台所である。

 家庭を拠点とするこれらの食品販売者の多くは、自らを食品事業者とは考えていないため、当該自治体当局に登録を行っていない。そのため、適切な食品安全慣行を実践するための知識を実証できておらず、自宅を拠点に新たに食品販売を始めることにより消費者にリスクをもたらす可能性がある。

 すべての食品事業者には、開業の28日前までに当該地方自治体当局への登録を行うことが法律で義務付けられており、登録しない場合は法律違反になる。食品事業者として登録されると、地方自治体当局がその事業運営を認識し、食品衛生検査を実施することになる。登録が行われなければ、当局は当該事業の特性を評価できず、食品衛生の格付け(Food Hygiene Rating)を行うことができない。地方自治体当局は食品事業者に対し、食品衛生および食品安全規範の改善方法についての助言も行っている。

【ドイツ】食品と日用品で消費者は何に関心があるか

 ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR: Bundesinstitut für Risikobewertung)は、健康リスクの認識に関する消費者調査「Consumer Monitor」を定期的に実施しており、今回、最新の調査結果を発表した。

 この結果によると、「砂糖・脂質・塩などの特定の栄養分」が最大の健康リスクであると考えられている。また、大差で2番目に回答が多かったのは、「不健康な生活様式や食事」であり、次いで、「消費者向け情報が十分でないこと」「undesirable substances」(望ましくない物質)および「喫煙」がリスク要因として挙げられた。

 BfRのHensel所長によれば、一部の栄養分に懸念があるにもかかわらず、ドイツ国内で購入可能な食品は安全であると考えている回答者は半数に上り、また、回答者の44%が食品の安全性は今後も高まっていくと考えている。

【アイルランド】食品安全において優先されるべき研究分野

 アイルランド食品安全局(FSAI: Food Safety Authority of Ireland)はレギュラトリーサイエンスにおいて必要な研究の認識を高めるために、国の研究費助成機関や研究機関の研究者に優先すべき研究分野の情報を提供している。具体的には、曝露の評価、新興のリスクと脅威、食品科学と食品技術、生物学的安全性、食物アレルギー、化学的安全性の6分野での研究である。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.13(2022.06.22)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2022/foodinfo202213m.pdf

今号の目次

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 小規模飼育の家禽類との接触に関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ
(Salmonella Enteritidis、S. Hadar、S. Infantis、S. Typhimurium)感染アウトブレイク(2022年6月9日付初発情報)
2. 有機栽培の生鮮イチゴに関連して複数州にわたり発生している A型肝炎アウトブレイク(2022年6月7日付更新情報)
3. タマネギに関連して複数州にわたり発生したサルモネラ(Salmonella Oranienburg)感染アウトブレイク(2022年2月2日付最終更新)

【カナダ公衆衛生局(PHAC)】
1. 公衆衛生通知:スポットエビ(spot prawn)に関連して複数州にわたり発生しているノロウイルス感染と胃腸疾患のアウトブレイク(2022年6月10日付更新情報)

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and
Feed)

【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. カンガルー、イノシシ、ヤギおよびヒツジのとたい表面の微生物汚染を低減するために行う乳酸処理の安全性および有効性の評価

【Eurosurveillance】
1. 志賀毒素産生性大腸菌(STEC)感染に関連した小児における溶血性尿毒症症候群(HUS)の10年間のサーベイランス結果の概要(フランス、2007〜2016年)

【英国食品基準庁(UK FSA)】
1. 英国食品基準庁(UK FSA)が新たに食品事業を始めるすべての事業者に地方自治体当局への登録を呼び掛けるキャンペーンを開始

【アイルランド食品安全局(FSAI)】
1. 食品安全において優先されるべき研究分野に関する報告書(2022年版)

【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. 食品と日用品:消費者は何に関心があるか

【ProMED-mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報(20)