粉ミルク関連のクロノバクター

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。米国で乳幼児用調製粉乳に関連してクロノバクター感染症が発生し、当局が立ち入り検査を行い、報告書を発表した。報告書は、原因となった製品を製造したメーカーの工程管理と汚染対策について問題があったことを指摘している。

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【米国】乳幼児用調製粉乳に関連して発生しているクロノバクター感染症を調査

 米国食品医薬品局(US FDA: US Food and Drug Administration)は、米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)および州・地域の当局と連携し、Abbott Nutrition社(以下AN社)の施設で製造された製品に関連して発生している乳幼児患者に関する消費者からの苦情・報告について調査している。患者は全員が当該施設で製造された乳幼児用調製粉乳を喫飲していたことが報告されている。

 FDAはAN社の施設において実施した計3回の立ち入り検査の結果を踏まえ、査察結果報告書を発行した。同報告書で指摘された重要な査察所見には以下の事項が含まれている。

  • AN社は、調製乳またはその製造工程の微生物汚染による乳幼児用調製乳の品質低下を確実に防止するための全工程を対象とした工程管理システムを導入していなかった。
  • AN社は、乳幼児用調製乳に接触するすべての表面の管理を徹底しておらず、あらゆる病原体による乳幼児用調製乳汚染を予防するための対策が講じられていなかった。

 FDAは、回収対象となっている3つのブランド「Similac」「Alimentum」「EleCare」の乳幼児用調製粉乳製品を使用しないよう注意喚起している。AN社はこれらの製品に加え、「Similac PM60/40」の特定ロットも回収している。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.07(2022.03.30)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2022/foodinfo202207m.pdf

今号の目次

【米国食品医薬品局(US FDA)】
1. 米国食品医薬品局(US FDA)が乳幼児用調製粉乳に関連して発生しているクロノバクター(Cronobacter sakazakii)感染に関する苦情を調査(2022年3月22日、15日付更新情報)

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 乳幼児用調製粉乳に関連して発生しているクロノバクター(Cronobacter)感染症を調査(2022年3月25日、15日付更新情報)
2. スティックサラミに関連して複数州にわたり発生したサルモネラ(Salmonella I
4,[5],12:i:-)感染アウトブレイク(2021年12月8日付最終更新)

【Morbidity and Mortality Weekly Report(CDC MMWR)】
1. 主に食品を介して伝播する病原体による感染症の罹患率が新型コロナウイルス感染症
(COVID-19)パンデミック中に減少 - 食品由来疾患アクティブサーベイランスネットワークの米国内10カ所のサイトでのデータ(2017〜2020年)

【カナダ公衆衛生局(PHAC)】
1. 旅行と関連のないサイクロスポラ感染を調査(2021年10月14日付最終更新)

【欧州疾病予防管理センター(ECDC)/欧州食品安全機関(EFSA)】
1. 欧州連合(EU)域内の人獣共通感染症に関する One Health の観点からの報告書(2020年)

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and
Feed)

【アイルランド食品安全局(FSAI)】
1. 欧州食品安全機関(EFSA)が「欧州連合(EU)域内の人獣共通感染症に関する One
Health の観点からの2020年次報告書」を発表

【ProMED-mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報(09)