食品汚染物質の優先順位付け

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。フィンランド当局は食品汚染物質について消費者を対象に優先順位付けを行った。韓国は有害な物質の日常の摂取を管理するための法律を施行した。EUで改正動物用医薬品規制が施行され、予防目的の医薬品入り飼料が禁止となった。EUと米国の間で食品安全システムの同等性が確認され、二枚貝の貿易が再開されることになった。

注目記事

【Ruokavirasto】フィンランドの重要食品汚染物質――健康リスクと情報のギャップ

 EUの規則(EC)No1881/2006と欧州委員会によるモニタリング勧告の対象になった食品汚染物質について、フィンランドの消費者を対象にした優先順位付けを行った。多量暴露(95パーセンタイル)を想定して、急性暴露(単回、24時間以内)と慢性暴露についてリスクランキングを行っている。慢性暴露のリスクランキングでは、閾値がない発がん性および胎児毒性の化合物であり、中または高リスクに分類される汚染物質として、アフラトキシン、ヒ素(無機)、アクリルアミド、フラン・メチルフラン、AOH・AME(アルテルナリア属トキシン)、鉛、カルバミン酸エチル、オクラトキシンAが選択された。

※ポイント:多種多様な汚染物質が存在し、リソースが限られている中で、管理すべき汚染物質にリスクの大きさで優先順位をつけるのは大事なことです。

 本文がフィンランド語なのが残念ですが、多量摂取した場合の急性暴露と長期暴露のリスクランキング表を紹介しておきました。汚染物質の優先順位の付け方を知る一つのよい例だと思います。

【MFDS】ヒト中心の「有害物質統合リスク評価システム」施行

 韓国の食品医薬品安全処は、ヒトに有害となる物質のリスクについて日常の総合的な摂取を管理することを目的にした「人体適用製品のリスク評価に関する法律」を施行した。これまでは、食品や化粧品などの個別製品ごとに有害物質のリスク評価と管理を行ってきたが、今後は食品医薬品安全処が所管する他の製品や環境由来なども含めて総合的に評価・管理することを計画している。評価対象については、5年ごとに基本計画を策定する予定である。

※ポイント:食品由来だけでなく、あらゆる暴露源を考慮して総合的にリスクを評価するというのは、現在のリスク評価の方向性に沿った考え方だと思います。たとえば、鉛の暴露は、食品由来よりも鉛含有塗料などや古い水道管など環境由来の方が多いため総合的な評価をする必要があります。法律にしたところに韓国の意気込みを感じますが、リスク評価の結果を管理措置にどのように反映させるのかが気になるところです。

【EC】動物用医薬品:動物の健康を促進し抗菌剤耐性と戦う新しい規則が適用となる

 EUでは、薬剤耐性(AMR)対策のために改正された動物用医薬品規制が2022年1月28日に施行された。3年前に採択されたこの規則は、欧州ワンヘルス行動計画およびAMRに対する農場から食卓までの戦略で定められた目標の達成を支える基礎となる。本規則により、動物の抗菌剤による治療は、実際に必要な場合のみになり、予防目的で使用される医薬品入り飼料は禁止となる。

【EC/FDA】EUと米国が二枚貝の貿易を再開

 EUと米国の間で食品安全システムの同等性が確認され、イガイ、アサリ、カキおよびホタテなどの二枚貝の貿易が再開されることになった。EUの2加盟国(スペインとオランダ)は米国に向けて、米国の2州(マサチューセッツ州とワシントン州)はEUに向けて輸出できるようになる。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.04(2022.02.16)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2022/foodinfo202204c.pdf
食品安全情報(化学物質)No.04(2022.02.16)別添
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2022/foodinfo202204ca.pdf

今号の目次

【WHO】
1.2022年、食と栄養誓約実現に向かってともに働く

【FAO】
1. 食品バイオテクノロジーと食品安全:答えをみつける
2. パンデミック後の世界:健康的でインクルーシブでグリーンな復興には持続可能な農業食料システムが鍵
3. Codex

【EC】
1. 農業とフードシステムへの農場から食卓まで戦略の影響
2. 動物用医薬品:動物の健康を促進し抗菌剤耐性と戦う新しい規則が適用となる
3. 食品安全:EU と米国が二枚貝の貿易再開
4. 査察報告書
5. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. ONE 会議2022年、登録開始!
2. 化学物質モニタリング報告ガイダンス:2022年データ収集
3. YouTube 動画
4. 農薬関連
5. 新規食品関連
6. 食品添加物関連
7. 飼料添加物関連
8. 健康強調表示関連

【FSA】
1. フードサプライチェーンへの信頼は依然高い、と消費者調査で明らかになる
2. FSA 議長は学校食品の水準向上を目指したパイロット計画を歓迎する
3. 最高裁判所は FSA に対する訴訟を棄却する
4. リコール情報

【DEFRA】
1. 北東部のカニやロブスターの死亡調査について更新

【COT】
1.2022年2月8日の会合

【ASA】
1. アルコール:勇気と男らしさに疑問

【BfR】
1. BfR の20年-リスクを同定し健康を守って20年

【RIVM】
1. オランダのスポーツ参加者のワークアウトサプリメントの使用

【ANSES】
1. ANSES とフランスが EU 理事会の議長国になることについて
2. ブレベトキシンを含む波しぶきの吸入は中毒をおこす可能性がある

【FSAI】
1. 加工食品中のナトリウムとカリウムに関するモニタリング2003-2020年
2. リコール情報
【Ruokavirasto】
1. フィンランドの重要食品汚染物質-健康リスクと情報のギャップ
2. 衛生パスポートのおかげで安全な食品20年

【AESAN】1. 伝統的製法で作られ戸外で自然乾燥される食品の安全性と満たすべき衛生要件のために調整が必要なものについてのスペイン食品安全栄養庁の報告書

【FDA】
1. 食品業界及び関係者向け FASTER 法に関するビデオ
2. FDA は食品プログラムにおける優先ガイダンストピックのリストを発表する
3. 米国と EU の間で生きた二枚貝の貿易を再開へ
4. リコール情報
5. 警告文書
6. 消費者情報

【NTP】
1.2-((1-(4-P フェノキシフェノキシ)プロパン-2-イル)オキシ)ピリジン(MPEP)の Sprague Dawley(Hsd:Sprague Dawley SD)ラットとニュージーランドホワイト
(Hra:NZW SPF)ラビットでの出生前発達試験

【EPA】
1. EPA は農場労働者や消費者を含む農薬使用者のニーズをより良く満たすために、農薬アウトリーチと教育を拡大する

【USDA】
1. 新しい情報要請通知:「米国製品」表示の消費者価値解析

【FTC】
1. FTC は詐欺的に宣伝販売された魚油サプリメントを購入した消費者に全額返金

【CA DOJ】
1. カリフォルニア Bonta 司法長官は、乾燥プラムとキャンディ製品に検査で危険な量の鉛が発見されたとして消費者警告を発行

【CFIA】
1. レッドパーム油中の認可されていない食品着色料-2019年4月1日〜2020年3月31日
2. スパイス中のクロム酸鉛2018年〜2019年
3. リコール情報

【AAFC】
1. カナダは国際的な持続可能な農業生産及び食料システムの連合に参加する

【FSANZ】
1. 食品基準通知

【TGA】
1. 安全性警告

【MPI】
1. 南島西岸での貝に関する公衆衛生警告拡大

【香港政府ニュース】
1. プレスリリース
2. 法令違反

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2.2022年流通、農・水産物の残留物質調査事業実施
3. 食薬処、輸入食品などに対する「5年周期精密検査」実施の案内
4. ヒト中心の「有害物質統合リスク評価システム」施行
5. 食薬処、流通段階の輸入食品を安全に管理します
6. アフラトキシンが超過検出された「焼きピーナッツ」の回収措置
7. 子供・青少年の食生活教育、食薬処が支援します

【SFA】
1. アフラトキシンと食の安全

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から1件
・ProMED-mail1件

別添
【BfR】ナノマテリアル FAQ