国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。FDAは報告対象食品登録(RFR)の過去データを誰でも閲覧できるダッシュボードを公開した。WHOはプロ向けの「WHO食品安全実践コミュニティ」を開設した。また、今号ではBfRによる日用品のビスフェノールAに関するFAQを別添ファイルとしてまとめている。
注目記事
【FDA】FDAの報告対象食品登録プロセスの迅速および簡素化は、よりよいデータとより安全なフードサプライにつながる
米国食品医薬品局(FDA)は、食品業界が危険な食品をFDAに警告するために使用する報告対象食品登録(Reportable Food Registry:RFR)の過去(2009年9月から2019年まで)のデータを誰でも閲覧できるようにしたインタラクティブな公開データダッシュボードを新たに公開した。このダッシュボードは毎年更新され、州や自治体が衛生警告を出す時期をより適切に判断し、有害食品を市場から排除する措置を講じ、サンプリングの割り当てなどを検討するのに役立つものである。
※ポイント:これまではRFRの集計結果のみが年次報告書として公表されていました。今回のダッシュボードはFDAが現在推進しているデジタル化(データ共有)の一環であり、RFRに報告された年、月、品目、ハザード、原産国の一覧がXML形式ファイルでダウンロードできるようになっています。
RFRはヒト用食品、動物用食品/飼料を対象にしており、別途報告システムがある乳児用調製乳とダイエタリーサプリメントは対象外です。
参考までに、2019年までのRFRデータによると、ヒト用食品では未表示のアレルゲン含有と病原性微生物(リステリア、サルモネラ)の汚染が圧倒的に多く、他に鉛の汚染などがあり、動物用食品/飼料では医薬品汚染と栄養素の不均衡の件数が多くて、アフラトキシン汚染なども報告されています。
【別添:BfR】日用品のビスフェノールA:FAQ
2021年12月に欧州食品安全機関(EFSA)がビスフェノールA(BPA)に関する再評価の結果として、耐容一日摂取量(TDI)を0.04ng/kg体重/日に大幅に引き下げたことを受けて、ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)がBPAに関するよくある質問についてFAQを公表した。
※ポイント:BPAのハザードとしての問題点、EUにおける規制状況(REACH規則も含めて)、EFSAの再評価の内容とそれに対するBfRの見解などが丁寧にわかりやすく説明されているので、BPAの概要を知りたい方には一読をお勧めします。現時点でBfRは、EFSAが再評価に使用したエンドポイントの有害性とその作用機序には不明な点が多いと判断しており、EFSAが結論したBPA暴露によるヒトの健康への懸念について同意するかは決定しておらず、評価内容を吟味した後に結論を出すと報告しています。
【FAO】Codex:WHOが新しい食品安全実践コミュニティを始動
WHOが新たに開設した、食品安全の課題について学ぶ機会を増やし、多様な経験や知識を共有し、新しい見解への理解を深めることを目指したプロフェッショナル向けの「WHO食品安全実践コミュニティ」を紹介する。参加者は、WHOの定期ウェビナーや月例更新情報、食品安全リソースへアクセスできるようになる。また、共有すべき資料やイベント情報、その他の食品安全関連のコンテンツを提供することもできる。参加を希望する方はWHOウェブサイト上で申請が必要。
(安全情報部第三室)
食品安全情報へのリンク
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(化学物質)No.02(2022.01.19)
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2022/foodinfo202202c.pdf
- 食品安全情報(化学物質)No.02(2022.01.19)別添
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2022/foodinfo202202ca.pdf
今号の目次
【WHO】
1. Codex
【EC】
1. 査察報告書
2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)
【EFSA】
1. 比較 in vitro代謝試験の実施方法と解釈について植物保護製品及びその残留物に関する科学パネル(PPR パネル)の科学的意見
2. ビタミン類とミネラル類の耐容上限摂取量を設定するためのデータと方法論に関するワークショップ
3. 農薬関連
4. 飼料添加物関連
5. 食品接触物質関連
6. 食品酵素関連
【DH】
1. 保護者が子供の食事を改善するのに役立つ新しいキャンペーン開始
【COT】
1. COT年次報告書2020
【ASA】
1. 減量とデトックス:悪いものをカットして責任と根拠のバランスの良い食事を
2. 基準違反を終わらせる-菜食の一月
【BfR】
1. 食品のリスク-ベネフィット評価を伝える:赤肉代用品としての食用昆虫
【ANSES】
1. ミツバチの健康:最新研究知見のレビュー
【FSAI】
1. 商標とブランド名についての栄養と健康強調表示に関する法律の最新情報
2.2021年に食品事業者に59件の執行の命令をだす
【FDA】
1. FDA の報告対象食品登録プロセスの迅速及び簡素化は、より良いデータとより安全なフードサプライにつながる
2. 着色料認証報告
3. FDA はマグネシウムと高血圧のリスク低減に関する限定的健康強調表示を発表
4. FDA はタルク含有化粧品に含まれるアスベスト検査法に関する白書を発表する
5. FDA はフレンチドレッシングの同定基準を取り下げる
6. 小売食品安全検査員の標準化
7. リコール情報
8. 警告文書
【NTP】
1. ニュースレター
【CFIA】
1.2019-2021ベーカリー製品の表示されていないアレルゲン
2. EU に輸出するカナダの商用動物及び食品に関する新たなデジタル要件
【FSANZ】
1. 食品基準通知
【TGA】
1. 広告規約に関するガイダンス
2. 安全性助言
【NSW】
1.2021夏の Foodwise ニュースレター
2. 一般回覧-遠隔食品安全監査更新情報
【MPI】
1. リコール情報
【香港政府ニュース】
1. 硝酸塩と亜硝酸塩-添加するべきか、すべきでないか?
2. 法令違反
【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2.2021年、健康機能食品原料の再評価結果を発表
3. 食品などの輸入状況から分析した食生活トレンド
4.「輸入オキアミオイル」国民請願検査の結果発表
【SFA】
1. 食品中の動物用医薬品の最大残留基準値について
【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から6件
別添
【BfR】日用品のビスフェノール A:FAQ