国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。WHOが化学物質による健康リスク評価のためのツールキットをリリースした。吸入製品には違法に効能効果を表示しているものがある。英国食品基準庁は日本から英国に輸入される食品の放射性セシウムの上限値である100Bq/kgを撤廃してもリスクの増加は無視できると結論づけ、意見を募集している。
注目記事
【WHO】WHOヒト健康リスク評価ツールキット:化学的ハザード、第二版
本ツールキットは、化学物質による健康リスク評価を行うにあたり必要となる情報をどのように特定し、入手すればよいのか、そしてその情報をどのように評価に利用すればよいのかを記したロードマップである。さらに、FAO/WHOやOECDを含む国際組織や各国機関によって開発され世界的に認められたリスク評価に関する情報リソースを紹介し、それらへの認識を高め利用を推進することも目的としている。初版(2010年)以降に発表されてきたリスク評価の新しい方法論やツール、ケーススタディも紹介している。
WHO Human Health Risk Assessment Toolkit: Chemical Hazards, second edition
※ポイント:化学物質のリスク評価の進め方を具体的に示したマニュアルのような一冊です。評価に利用できるデータバンクやポータルサイト、ガイドライン、報告書などの情報源が網羅されているので、どのようなものがあるのか知るだけでも目を通す価値はあると思います。
【FDA】証明されていない健康への効果効能を表示しているベーピング製品に注意
ビタミンやエッセンシャルオイルを含む特定の「ウェルネス」ベーピング製品が、証明されていない健康への効能効果を表示して違法に販売されており、使用すると有害である可能性があると米国食品医薬品局(FDA)が注意を呼び掛ける。これらの吸入製品は、激しい咳を誘発し、気道を狭め、会話や呼吸を困難にする可能があり、一部の製品にはヒトに有害な化学物質が含まれていることが確認された。
※ポイント:日本でもさまざまな吸入製品が販売されています。食品ではないですが、それらの製品を使用することのリスクを考えていただきたく、注意喚起のためご紹介しました。
【FSA】福島県産品の輸入規制変更に向けた意見募集を開始
英国食品基準庁(FSA)は、福島県から輸入される少数の食品に課されている規制について、意見を求める。COMARE(英国保険省の環境における放射線の医学的側面に関する専門委員会)の支援を受けたFSAの科学者は、日本から英国に輸入される食品の放射性セシウムの上限値である100Bq/kgを撤廃しても、英国の消費者の線量やそれに関連するリスクの増加は無視できると結論づけた。2022年2月11日まで意見を募集する。
【ご挨拶】
2021年の最終号となります。今年一年を振り返ると、世界各地におけるゲノム編集や細胞培養などの新技術を用いた食品に関する制度作り、食品ロス削減への取組、パーフルオロアルキル化合物の使用制限に向けた取組、大麻成分を含む製品への注意喚起、EUでは食用昆虫のリスク評価と初認可、食品添加物の二酸化チタンのリスク評価、さまざまな食品に拡大したエチレンオキシドの残留、米国では乳幼児用食品中の有害元素の低減化計画への取組に関する記事が目立ちました。
来年も引き続き食品安全の海外情報をご紹介していきますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。皆さま、よいお年をお迎えください。
(安全情報部第三室)
食品安全情報へのリンク
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(化学物質)No.26(2021.12.22)
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2021/foodinfo202126c.pdf
今号の目次
【WHO】
1. WHO は新たな約束で栄養目標への作業を加速する
2. 低から中所得国では1人1年あたり1ドルの投資で700万人の命が救える
3. WHO ヒト健康リスク評価ツールキット:化学的ハザード、第二版
【FAO】
1. 農業食料システムのプラスチック:良いこと、悪いこと、さらにひどいこと
2. Codex
【EC】
1. ハーブとスパイス(2019-2021)Q&A
2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)
【EFSA】
1. グリホサートパブリックコメント募集結果:400以上の提案が集められた
2. ビスフェノール A:EFSA の意見案は耐容一日摂取量の引き下げを提案する
3. YouTube 動画
4. 新規食品関連
5. 食品添加物関連
6. 飼料添加物関連
7. 遺伝子組換え関連
8. 食事調査
【FSA】
1. FSA は「含まれている可能性がある」に関する意見を募集
2. FSA 長官が環境衛生協会の年頭会議で講演する
3. FSA 理事会は消費者保護のために CBD 食品への対応を支持
4. 福島県産品の輸入規制変更に向けた意見募集を開始
5. 研究プロジェクト
6. 北アイルランドの食事や飲料の持ち帰り購入について
7. 食品衛生評価制度(FHRS):Food and You2: Wave2
【DEFRA】
1. 食品中残留農薬:2021年四半期モニタリング結果
【ASA】
1. 誤解を招く環境クレームと社会的責任に関する新しい広告ガイダンス
【BfR】
1. ウナギにアリザリンレッドで印をつける:健康リスクを評価するには追加研究が必要
2. 飼料中 PFAS 最大濃度:BfR は分析法の改良を助言
【RIVM】
1. 殺生物剤製品認可の例外実証のためのシステム
2. 手の消毒用有効物質のリスト
3. ゴミ焼却炉排ガス中パー及びポリフッ化物質
4. オランダの地下水の PFAS 全国調査
5. カビ毒であるデオキシニバレノールの構造類似体のトキシコキネティクスについての文献調査
6. 生態とヒト健康リスク評価を革新する:つなげる概念と事例(IRAC)-同定フェーズ、並行、統合
7. 新:NEVO オンライン2021
【ANSES】
1. 量り売り販売:助言と除外製品2. 環境職業健康のための国家研究プロジェクト:2021年の公募の結果
3. サージカルマスク:化学汚染物質の健康閾値は超過しない
4. グラフェンを含まないマスクを優先して
【FSAI】
1. リコール情報
【FDA】
1. スキンケア製品に関連する水銀中毒
2. FDA は消費者に対し、鉛とヒ素濃度が高いためBlack Oxygen Organics のFulvic Care 粉末や錠剤を使用しないよう助言する
3. FDA は中国の新しい施設登録要件に基づく食品の輸出を促進するための措置を講じる
-政令248
4. FDA は食中毒アウトブレイク時の対応を強化する独立レビューである計画を発表する
5. インターネットや店舗で販売されている減量用製品、男性用精力製品など有害である可能性がある
6. FDA はピーナッツアレルギーに関連する健康強調表示に関する通知のレビューを完了
7. 証明されていない健康への効果効能を表示しているベーピング製品に注意
8. FDA は食料生産動物用抗菌剤の販売又は流通に関する年次概略報告書2020を発表
9.2023年会計年度用の VQIP 申請ポータルを開始する
10. 警告文書
【NTP】
1. 毒性試験
【FSANZ】
1. 食品基準通知
2. パーフルオロ化合物
【APVMA】
1. 新しい農業獣医用化合物規制
【MPI】
1. リコール情報
2. カンタベリーのアカロア港での公衆衛生警告
【香港政府ニュース】
1. プレスリリース
2. 法令違反
【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 食薬処、高齢層対象の食品不当広告被害の予防強化
3. 食薬処、輸入食品法重大違反行為の申告も報奨金を支給
4. 2020年子供食生活安全指数の調査結果を発表
5. 犬、食用の公式終息に対する社会的議論機構を作って集中議論
6. 食薬処、国家間の食品安全情報交流のためのネットワークを強化
7. 廃鉱山の重金属汚染、農水産物の安全管理を強化
8. 対外依存度が高い食品・医療品目の安定的供給のための体系点検
9. 高齢者用・がん患者用のオーダーメード型特殊食品が登場!
【SFA】
1. 食品安全のためにデータを処理する
【その他】
・ProMED-mail
・世界保健機関(WHO:World Health Organization)http://www.who.int/en/