国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。欧州委員会が6種類のハーブとスパイスを分析したところ、6%〜48%のサンプルに混入リスクがあると判断された。フランスでは公共飲料水供給ネットワークの4%が今でもアスベストセメント製であることを受けて、アスベストを飲み込むことによるハザードの可能性について科学的文献レビューを実施した。
注目記事
【EC】食品偽装:欧州委員会はハーブとスパイスの真正性に関する初のEU域内調査の結果を発表
欧州委員会(EC)は、不純物が混入したハーブやスパイスがEU市場に存在している可能性があるとの情報を受けて、EU加盟国21カ国、スイスおよびノルウェーが参加した、ハーブとスパイスの真正性に関する初の協調管理計画の調査結果を公表した。6種類のハーブとスパイス1,885サンプルを分析した結果をISO(国際標準化機構)規格に照らして評価したところ、混入リスクがあると判断されたサンプルの割合は、コショウ17%、クミン14%、クルクマ11%、サフラン11%、パプリカ/チリ6%であった。オレガノは、48%のサンプルに汚染リスクがあり、そのほとんどがオリーブの葉であったことから、最も脆弱であると特定された。この結果をもとにECは、事業者に改善措置の実施を求め、各国規制当局には公的管理の強化を要請した。
【ANSES】亜酸化窒素中毒の増加
フランス食品・環境・労働衛生安全庁(ANSES)とフランス保健製品安全庁(ANSM)は、一般的に「笑気ガス」として知られる亜酸化窒素の誤用による中毒事例について、フランス中毒管理センター(PCC)および薬物依存および中毒モニタリングの評価情報センター(CEIP-As)への報告件数が、前回(2019年)の調査時よりも増加しているとして注意を喚起した。
とくに、亜酸化窒素を含むキッチン用サイフォンのカートリッジなどを用いたガスの吸入により陶酔感を得ようとする誤用事例が懸念される。使用者は主に若年層であり、未成年の割合も増加している。
ガスは中枢神経系に作用するため、反復して頻繁に吸入すると、頭痛やめまいなどのほか、心拍障害、窒息リスク、精神障害および神経障害などのより深刻な影響も引き起こす可能性がある。2021年6月1日、フランスでは亜酸化窒素の誤用を防ぐための法律が成立し、未成年者への亜酸化窒素の販売あるいは提供が違法となった。
【ANSES】アスベストを飲み込むことによるハザードの可能性についての最初の文献レビュー
アスベストによる健康リスクについては主に吸入暴露に焦点が当てられてきたが、フランスでは公共飲料水供給ネットワークの4%が今でもアスベストセメント製であることを受けて、ANSESが、アスベストの経口摂取と消化器がんの発症との関連を確認するために最初の科学的文献レビューを実施した。その結果、既存の文献には時代や方法論の限界があり、因果関係の有無を判断するには根拠が不十分と判断された。ただし、確かではないが、食道がん、胃がん、結腸がんについては関連の可能性を示す兆候はあるとされた。
【FDA】FDAは食品検査のための試験所認定の最終規則を発行
米国食品医薬品局(FDA)は、食品安全近代化法(FSMA)に基づき、食品検査のための試験所認定(LAAF)プログラムの最終規則を発行した。現在、食品検査は主に民間試験所によって実施されており、その規格や管理の程度がさまざまである可能性がある。
LAAFプログラムが完全に実行されると、最終規則に定められた特定の状況ではLAAF認定試験所のみ食品検査を実施できるようになる。
(安全情報部第三室)
食品安全情報へのリンク
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(化学物質)No.25(2021.12.08)
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2021/foodinfo202125c.pdf
今号の目次
【WHO】
1. WHO 化学物質リスク評価ネットワーク指導者コミュニティ-化学物質リスク評価の訓練のデザインのしかたについてのウェビナー
2. 三者と UNEP は OHHLEP の「ワンヘルス」定義を支持する
3. 国際がん研究機関(IARC)
【FAO】
1. 農業食料システムをショックに対してより回復力あるものにする:COVID-19パンデミックからの教訓
2. FAO は薬剤耐性に対抗する新しい計画を発表
3. Codex
【EC】
1. 回避可能な問題である食品ロスと廃棄に取り組む
2. 食品供給と食料安全保障を確保するための危機管理計画
3. 食品偽装:欧州委員会はハーブとスパイスの真正性に関する初の EU 域内調査の結果を発表
4. 査察報告書
5. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)
【EFSA】
1. YouTube 動画
2. 農薬関連
3. 飼料添加物関連
4. 食品接触物質関連
【FSA】
1. FSA は「Spread Awareness, Stop Resistance(意識を高め、耐性をなくす)」キャンペーンを支持する
2. FSA は新しい学生向けガイドを作成し、学生のキッチンでの安全を手助けする
3. FSA と UKRI が一般市民と協力して食の安全を探る
4. FSA は2020〜2021年の年次報告書及び会計報告書を公表
【FSS】
1. ビタミン「太陽光」
【DEFRA】
1. 意見募集
【COT】
1. COT の会合:2021年12月7日
【ASA】
1. ASA 裁定
【ANSES】
1. 亜酸化窒素中毒の増加
2. 殺鼠剤:フランスで認可されているもののみ使う
3. アスベストを飲み込むことによるハザードの可能性についての最初の文献レビュー
【DGCCRF】
1. ゴマ、オオバコ、スパイス及びこれらの成分を含むその他のリコール品
【FSAI】
1. 食品会議は食品安全文化の重要性を概説する
2. リコール情報
【Ruokavirasto】
1. 企業は2022年に食品コントロールのためのサービス料を払う
【FDA】
1. よりゼロに近づける行動計画:異なる重要発達段階での有害元素暴露と栄養の影響
2. CORE アウトブレイク調査の表
3. FDA は N-アセチル-L-システインをダイエタリーサプリメントとして使用することに関連する情報を求める
4. FDA は食品検査のための試験所認定最終規則を発行
5. FDA は農産物安全性規則において農業用水の要件変更を提案する
6. FDA は Reagan-Udall 財団に食料動物の抗菌薬使用データ収集について関係者の意見を求める
7. 警告文書
8. リコール情報
【NTP】
1. 毒性及びがん原性試験
【USDA】
1. Robert M. Kerr Food 農業製品センターからの請願
2. USDA は動物の健康の文脈での抗菌薬使用と耐性について研究するためにいくつかのパートナーと協力する
【CPSC】
1. リストを作って二回チェック:このホリデーシーズンを安全に祝うコツ
【CFIA】
1. カナダの首席獣医官が「2021年世界抗菌薬啓発週間」の重要性を強調する
2. 警告情報
【FSANZ】
1. 食品基準通知
【APVMA】
1. 再確認:スプレードリフトパイロット計画への参加
【MPI】
1. MPI が国際競争力のあるヘンプ種子加工工場設立プロジェクトを支援
2. 公衆衛生警告
3. リコール情報
【香港政府ニュース】
1. 栄養表示の信頼性を高める
2. 食品中のヘキサブロモシクロドデカン(HBCDD)について
3. FEHD は上海蟹の違法販売と疑わしい出所からの毛蟹販売に引き続き取り組む(写真付)
4. CFS は lap-mei の季節食品サーベイランスプロジェクトの検査結果を発表する
5. 違反情報
【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2.「海外直輸入食品オール(ALL)すぐに」で購入してください!
3. 食薬処、ナトリウム・糖類減らすオンライン広報館オープン!
4. ASEAN 農・畜・水産物衛生安全公務員、メタバースで会う
5. 輸入者が願う食品情報を一箇所に!
6. 食薬処、FAO・WHO と共に食品由来の薬剤耐性管理国際規範を用意
7.「分かりやすい食品などの自家品質検査要領」用意・配布
8. 食品使用不可のスズメバチ・ヒアリを原料として浸漬酒・蜂蜜漬けを製造・販売した
5箇所を摘発・措置
9. 食薬処、輸出準備から通関まで主要国の食品安全規制情報提供
10. 受験生対象「記憶力増進」など不当広告行為の点検結果11. 食薬処、流通中の塩を検査します。
12. その多くのヒラメ、クロソイ・・・どこで流通しているのか?
【SFA】
1. 食いしん坊の天国に食べ物がないのは、災いのもと
2. 持続可能に、より多く生産する
【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から5件