ベビーリーフ関連のO157

国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。米国でホウレンソウのベビーリーフ関連の大腸菌O157:H7感染アウトブレイクが発生している。同じく米国でタマネギに関連のサルモネラ感染アウトブレイクが発生している。カナダでは感染源がまだ特定されていないサルモネラ感染アウトブレイクが発生している。

注目記事

【米国】ホウレンソウのベビーリーフ関連のO157

 米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)、複数州の公衆衛生・食品規制当局および米国食品医薬品局(US FDA)は、複数州にわたり発生している大腸菌 O157:H7感染アウトブレイクを調査するため、さまざまなデータを収集している。

 ミネソタ州当局は、患者1人の自宅から採取したJosie’s Organicsブランドのベビーホウレンソウ1パックの残りから大腸菌O157:H7を検出した。当該ホウレンソウは賞味期限(“best by” date)が2021年10月23日(October23,2021)であった。現在、この検体についてWGS解析が実施されており、結果が得られた時点で報告される予定である。

 CDCは、Josie’s Organicsブランドの包装済みベビーホウレンソウのうち賞味期限(“best by” date)が2021年10月23日(October23,2021)の製品について、喫食・販売・提供を行わないよう注意喚起している。

【米国】タマネギに関連のサルモネラ

 米国疾病予防管理センター(US CDC)、米国食品医薬品局(US FDA)および複数州の公衆衛生・食品規制当局は、タマネギに関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ
(Salmonella Oranienburg)感染アウトブレイクを調査するため、さまざまなデータを収集している。

 疫学調査および追跡調査によるデータは、本アウトブレイクがタマネギに関連していることを示している。

【カナダ】感染源が特定されていないサルモネラ感染アウトブレイク

 カナダ公衆衛生局(PHAC: Public Health Agency of Canada)は、複数州の公衆衛生当局、カナダ食品検査庁(CFIA)およびカナダ保健省(Health Canada)と協力し、5州(ブリティッシュ・コロンビア、アルバータ、サスカチュワン、マニトバ、オンタリオ)にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Enteritidis)感染アウトブレイクを調査している。

 本アウトブレイクの感染源はまだ特定されておらず、調査は継続されている。アウトブレイクの調査官は、可能性のある感染源・汚染経路に関する情報を収集している。患者の多くが発症前に生鮮農産物を喫食したと報告した。しかし、感染源を特定するためにはさらなる情報が必要である。新規患者の報告が続いていることから、本アウトブレイクは継続していると考えられる。

 2021年11月10日までに、S. Enteritidis 感染が検査機関で確定した患者計46人がブリティッシュ・コロンビア(18人)、アルバータ(18)、サスカチュワン(3)、マニトバ(6)およびオンタリオ(1)の各州から報告され、調査が行われている。オンタリオ州で報告された患者はアルバータ州への旅行に関連している。患者の発症日は2021年9月下旬〜10月中旬である。患者3人が入院した。死亡者は報告されていない。

 CFIA は食品安全調査を実施している。汚染食品が特定された場合、CFIA は必要に応じて製品回収などの公衆衛生保護のための措置を講じる予定である。現時点では、本アウトブレイクに関連した食品回収警報は発出されていない。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.24(2021.11.24)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2021/foodinfo202124m.pdf

今号の目次

【世界保健機関(WHO)】
1. 世界保健機関(WHO)の「食品安全のための世界戦略(案)(Draft WHO Global Strategy for Food Safety)」に関する一般意見募集の要約報告書

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. ベビーホウレンソウに関連して複数州にわたり発生している大腸菌 O157:H7感染アウトブレイク(2021年11月15日付初発情報)
2. タマネギに関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella
Oranienburg)感染アウトブレイク(2021年11月16日付更新情報)
3. スティックサラミに関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella I
4,[5],12:i:-)感染アウトブレイク(2021年11月12日付更新情報)
4. 加熱調理済み鶏肉に関連して複数州にわたり発生したリステリア(Listeria monocytogenes)感染アウトブレイク(2021年9月10日付最終更新)

【カナダ公衆衛生局(PHAC)】
1. 公衆衛生通知:カナダの複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella
Enteritidis)感染アウトブレイク(2021年11月12日付初発情報)

【欧州疾病予防管理センター(ECDC)】
1. 基質特異性拡張型βラクタマーゼ(ESBL)・プラスミド性 AmpC型βラクタマーゼ・カルバペネマーゼ産生性サルモネラの抗菌剤感受性試験および検出に関する第4回外部精度評価(2018年)

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and
Feed)

【Eurosurveillance】
1. 全ゲノムシークエンシング(WGS)法を利用したカンピロバクター症サーベイランス:持続的な大規模アウトブレイクの検出(デンマーク、2019年)

【ProMED-mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報(43)(42)(41)