国立医薬品食品衛生研究所が集めた食品の安全性に関する国際機関や各国公的機関等の最新情報から。ヨーロッパの事例で、家畜への使用が禁止されている動物用医薬品を確認するための既存の方法が有効でない可能性が示唆されている。オーストラリアで食品と飲料品の情報を集約してオンラインで公開するデータベースの構築がスタートした。マイクロプラスチックのヒトへのリスクはまだ評価できない。
注目記事
【EFSA】ゼラチン中のニトロフラン類とその代謝物の存在
ゼラチン中からEU規則の介入参照値を超えるセミカルバジド(SEM)が検出されたことを受けて、それが何に由来する可能性があるのか、欧州食品安全機関(EFSA)が既存の情報をもとに調査した。SEMはニトロフラン類の一つであるニトロフラゾンの代謝物として知られているが、入手可能な文献によると、その他の発生源もあることが報告されている。そのため、SEMを動物性食品におけるニトロフラゾンの違法使用を判定するためのマーカーとして利用できないことが示唆される。検出されたSEMが何に由来するのか判定できるようにするには、より詳細な調査が必要である。
※ポイント:ニトロフラン類を食料生産動物に使用することは禁じられており、その違法使用の確認試験では代謝物をマーカーとするのが一般的です。ただしSEMは他の発生源からも生成し、以前には瓶の蓋のプラスチックパッキンの発泡剤や小麦粉の改良材として当時使用されていたアゾジカルボンアミドが発生源として問題になったことがあります。今回のゼラチン中のSEMについては、発生源として製造工程中の次亜塩素酸による殺菌処理か、成分の反応が有力視されていますが、明確な答えは出ていないようです。
【FSANZ】新しい協力はオーストラリアのブランド食品データベースに関する作業開始を告げる
オーストラリア・ニュージーランド食品基準局(FSANZ)は、国内で販売されているブランド食品と飲料品の情報を集約してオンラインで公開するデータベースの構築に向けて作業を開始した。目標は、2023年までに、全国の小売店で販売されている包装食品および飲料の85%の情報をデータベースに登録することである。データとして、GTIN(Global Trade Item Number:商品識別コード)、製造業者、ブランドおよび食品名、栄養成分表、記載成分、包装量と分量、および表示されている場合はHSR(Health Star Rating)など、包装上のさまざまな情報が含まれる。データの公開は、提供者の許可を得た上で2022年後半にFSANZのウェブサイトで実施される予定である。
※ポイント:国と業界が協力した壮大なプロジェクトです。消費者が十分な情報を得た上で購入する食品を選択できるようにすることが第一目的のようですが、食品摂取量データなど他のデータと組み合わせることで、色々と有効活用できると思います。他国でも同様のデータベースが作成されており、日本バージョンもできることを期待しています。
【COT】マイクロプラスチック暴露によるリスクの可能性についてのサブ声明:経口ルート
英国毒性委員会(COT)は、入手可能なデータに基づき、経口ルートによるマイクロおよびナノプラスチック(NMPs)への暴露によるヒトの潜在的なリスクについて、完全な評価を行うことはまだ不可能である、と結論した。この結論は他機関の結論と一致していることに注意すべきである。最も重要なデータギャップは、NMPsの分析法(適切な標準品とともに)と、ヒトに関連するトキシコキネティクスおよび毒性の情報がないことである。
(安全情報部第三室)
食品安全情報へのリンク
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(化学物質)No.24(2021.11.24)
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2021/foodinfo202124c.pdf
今号の目次
【WHO】
1. 国際がん研究機関(IARC)
【FAO】
1. Codex
【EC】
1. 食品ロスと廃棄についての EU プラットフォーム
2. ヨーロッパのがん克服計画:委員会は履行ロードマップを発表
3. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)
【EFSA】
1. フタル酸類:意見案及び暴露プロトコル案についてパブリックコメント募集
2. ゼラチン中のニトロフラン類とその代謝物の存在
3. 植物のin vivo 及び in vitroランダム突然変異誘発技術
4. 栄養プロファイリングの背後にある科学―意見募集
5. ネオニコチノイド:EFSA は2020/21年にテンサイへの緊急使用を評価する
6. インフォグラフィック文書
7. YouTube 動画
8. 農薬関連
9. 食品添加物関連
10. 新規食品関連
11. 飼料添加物関連
【FSA】
1. 英国における食品の統一的なエコラベル制度の実現に早急な進展が求められる
2. 健康で持続可能な食生活: 消費者調査
3. 気候変動が食生活に与える影響と規制当局の責任とは? -Susan Jebb 教授
4. Food and You2: 第1-2回主要な調査結果報告が発表された
【FSS】
1. FSS 理事会-11月17日
2. 持続可能性をすべての活動に組み込む
【DEFRA】
1. 英国の動物用抗生物質販売は過去6年で半分以下になった
【COT】
1. マイクロプラスチック暴露によるリスクの可能性についてのサブ声明:経口ルート
(2021)
【BfR】
1. 研究プロジェクト
2. 革新的、動物を使わない化学物質のリスク評価法が興味の中心
3. 安全なタトゥーインクのために:BfR イベントは科学者、立法者、製造業者の意見交換を促す
4. 内分泌攪乱物質:肥満と糖尿病の原因?
【DAFM】
1. 農業、食品、海洋2021年次レビューと展望
【FDA】
1. FDA は食品安全栄養調査の結果を発表
2. 食うべきか食わざるべきか: 食品の装飾製品は安全ではない
3. さらにゼロに近づける行動計画:有害元素暴露の影響と異なる重要な発達段階での栄養
4. FDA は消費者がますますオンラインで食品を購入するようになり、食品安全保護の強化に努める
5. 次の段階:COVID-19対策の今後の展開について
6. 警告文書
【EPA】
1. EPA は人々を飲料水中の PFOA と PFOS から守るために科学を進歩させる
【CDC】
1. ターメリックスパイスに関連する子供の鉛中毒—ラスベガス、2019年
【USDA】
1. 季節のスナック:リンゴ、スパイス、そして‘NatureSeal’は素晴らしい
【FSANZ】
1. 新しい協力はオーストラリアのブランド食品データベースに関する作業開始を告げる
2. 食品基準通知
【TGA】
1. 違反情報
【MPI】
1. リコール情報
【香港政府ニュース】
1. FEHD、香港税関及び AFCD は疑わしい出所からの上海蟹の販売を取り締まるための電撃作戦を実施した(写真付)
2. 違反情報
【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. さらに便利で新しくなった「私の手の中」アプリをご覧下さい
3. コーヒー専門店でもカフェイン含有量を確認して選択してください
4. 第5次、子供の食生活安全管理総合計画(‘22〜’24年)を発表
5. 輸入食品情報、今すぐ写真で簡単に確認してください
6. 秋季珍味のエビ、正しく知っておいしく召し上がってください!
7. 効率的な HACCP 管理のためのハザード分析情報の提供
8. 高齢者対象食品の不当広告に注意してください!
9. 家庭でテンジャン(韓国味噌)を安全に漬けてください!
【SFA】
1. 企業とその取締役食肉・魚類衛生法に関し複数の違反があり、告発される
2. SFA は持続可能な都市の食料生産に関する研究開発(R&D)のための第2回助成金募集を開始
3. リコール情報
【FSSAI】
1. コーヒーとチコリの混合物のコンプライアンスのための2021年11月11日の文書
【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から12件
・Eurekalert1件