冷凍鶏肉製品の調理方法確認を

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.18(2021.09.01)を発表した。

注目記事

【米国】イタリアンスタイルの食肉製品関連のサルモネラ

 米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)は、イタリアンスタイルの食肉製品に関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Infantis、S. Typhimurium)感染アウトブレイクに関する情報を発表した。

 各州・地域の公衆衛生当局は、患者が発症前1週間に喫食した食品について聞き取り調査を行い、患者の同意を得て購入記録の収集も行った。情報が得られた患者25人のうち22人がイタリアンスタイルのさまざまな食肉製品を喫食したと報告した。具体的な製品名を記憶していた患者または顧客カード記録により購入履歴が示された患者計15人のうち14人が、Fratelli Beretta ブランドの包装済み食肉詰め合わせ製品「Uncured Antipasto」を喫食していた。

 疫学データは、イタリアンスタイルの食肉製品がこれら2件のアウトブレイクの感染源である可能性が高いことを示している。原因食品の具体的なブランド名および製品名を特定し、両アウトブレイクが同一のブランドおよび製品に関連しているかどうかを特定するため調査が行われている。

 各州・地域の公衆衛生当局は、患者が発症前1週間に喫食した食品について聞き取り調査を行い、患者の同意を得て購入記録も収集した。情報が得られた患者16人のうち14人が、サラミ、プロシュート、コッパ、ソプレッサータなどのイタリアンスタイルの食肉製品を喫食したと報告し、複数のブランド名が報告された。

 CDCは、サルモネラ症の重症化リスクが高い人に対し、具体的な製品が特定されるまで、イタリアンスタイルの食肉製品を内部温度が華氏165度(74℃)になるまで加熱または蒸気が出るまで加熱してから喫食すべきであると助言している。

【米国】冷凍加熱済みエビ関連のサルモネラ

 米国疾病予防管理センター(US CDC)は、冷凍加熱済みエビに関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Weltevreden)感染アウトブレイクに関する情報を発表した。

 患者の年齢範囲は30〜80歳。情報が得られた患者6人のうち3人が入院した。死亡者は報告されていない。

 各州・地域の公衆衛生当局は、患者が発症前1週間に喫食した食品について聞き取り調査を行った。聞き取りが実施された患者7人全員がエビの喫食を報告した。

【イギリス】大人の半数は衣付き冷凍鶏肉製品の調理方法を確認せず

 英国食品基準庁(UK FSA: Food Standards Agency, UK)、スコットランド食品基準庁(FSS)および Ipsos MORI 社は、衣付き冷凍鶏肉製品に関連した消費者行動に関する調査の結果を発表した。

 この調査は、チキンナゲット、チキングージョン、チキンディッパー、チキンポッパー、チキンキエフなどの衣付き冷凍鶏肉製品に関連してサルモネラ感染事例が発生していることを受けて委託実施された。これらの製品は表面が加熱調理済みに見える可能性があるが、生の鶏肉を使用している場合が多く、サルモネラ菌を死滅させるため十分に加熱する必要がある。

 この調査では、16〜75歳の回答者の約3分の2が最近自宅で衣付き冷凍鶏肉製品を調理または喫食したと回答した。

・当該製品の調理を行う回答者の約3分の2が「未加熱の衣付き冷凍鶏肉製品を調理台や食器など他の物の表面に接触させてしまうことが時々ある」と回答した。

・当該製品の調理を行う回答者の半数以上が「衣付き冷凍鶏肉製品の取り扱い後に必ず手を洗う」と回答した。

・当該製品の調理を自分自身で行う回答者の約4分の1が当該製品を調理前に「解凍する」と回答した。当該製品を「解凍する」と回答した人のうち半数は、室温で解凍すると回答した。

 冷凍パン粉付き鶏肉製品に関する食品安全上の助言は以下の通りである。

  • これらの製品は生の鶏肉として取り扱い、加熱調理後は蒸気が出ていることを確認し、細菌の拡散を防止するため当該製品が接触した表面を洗浄する。
  • 調理前にオーブンが設定温度まで上昇したことを確認する。
  • 製品包装に記載された調理方法を確認し、正確な温度および指示通りの時間で加熱調理を行う。
  • 当該製品の取り扱い後は、手、調理器具および接触面を洗浄する。
  • 解凍が必要な製品については、包装に記載された保存方法の説明に従い、必ず冷蔵庫内で解凍する。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.18(2021.09.01)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2021/foodinfo202118m.pdf

今号の目次

【米国食品医薬品局(US FDA)】
1. レッドオニオンに関連して発生したサルモネラ(Salmonella Newport)感染アウトブレイクの調査に関する報告書を発表

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 冷凍加熱済みエビに関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella
Weltevreden)感染アウトブレイク(2021年8月13日付更新情報)
2. イタリアンスタイルの食肉製品に関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ
(Salmonella Infantis、S. Typhimurium)感染アウトブレイク(2021年8月26日付更新情報、24日付初発情報)

【欧州疾病予防管理センター(ECDC)】
1. 志賀毒素産生性大腸菌(STEC)感染症―2019年次疫学報告書

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and
Feed)

【英国食品基準庁(UK FSA)】
1. 衣付き冷凍鶏肉製品を調理する成人のほぼ半数(46%)は包装に記載された調理方法を事前に必ずしも確認していない

【ProMED-mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報(30)(29)