国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.15(2021.07.21)を発表した。
注目記事
【米国】包装済み野菜サラダに関連のサルモネラ感染
米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)https://www.cdc.gov/は、BrightFarmsブランドの包装済み野菜サラダに関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Typhimurium)感染アウトブレイクに関する情報を発表した。
患者の年齢範囲は19〜61歳、患者1人が入院し、死亡者は報告されていない。
聞き取り調査のデータおよび顧客カード記録は、患者6人が発症前にBrightFarmsブランドの「Sunny Crunch」「50/50Spring & Spinach」「Harvest Crunch」「Butter Crisp」など、さまざまな種類の包装済み野菜サラダを喫食または購入したことを示している。FDAは追跡調査を実施し、患者が購入した当該サラダの供給元がイリノイ州Rochelle のBrightFarms社の温室農場である可能性が高いことを特定した。
CDCは、回収対象となっているBrightFarmsブランドのいかなる包装済み野菜サラダについても、喫食・販売・提供をしないよう注意喚起を行っている。
【ドイツ】農場環境におけるカンピロバクター低減戦略
ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR: Bundesinstitut für Risikobewertung)は、One Healthアプローチによるカンピロバクター感染の予防・制圧のための研究プロジェクト「PAC-CAMPY(Preventing and Combating Campylobacter Infections: a One Health Approach)」(http://www.pac-campy.de/index.html)に参加している。
PAC-CAMPYプロジェクトは、家禽生産チェーンの各段階で対策を講じ、カンピロバクターへの曝露機会を減らすことで感染患者数を減少させるという包括的目標を追求するものである。このプロジェクトは、家禽群内および食鳥処理時のカンピロバクターの定着・拡散を抑えることでヒトの感染を低減させることにとくに重点を置いている。
このため、可能な低減戦略を検討し、環境中での生残を含めたカンピロバクターの耐性を調査する。また、モデル動物としてマウスおよび鶏を使用し、全ゲノムシークエンシング(WGS)法によりカンピロバクターの宿主特異性の解析を行い、C. jejuniが誘発する免疫反応に化学物質が及ぼす影響について調査する。この包括的な「One Health アプローチ」は、食品由来病原菌としてのカンピロバクターをより深く理解し、動物・環境・ヒトでの汚染率および罹患率をより正確に把握するために大きく寄与することが想定されている。
本プロジェクトにはドイツ連邦教育研究省(BMBF)が資金提供し、分野横断的なアプローチが用いられる。種々の任務が含まれるワークパッケージに、さまざまなプロジェクト協力機関が取り組む。BfRの研究者は、カンピロバクターの遺伝的多様性への遺伝子伝播の影響を調査しており、この遺伝的多様性を抑制することでカンピロバクターの生残性を低下させるための戦略を策定する。
(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)
食品安全情報へのリンク
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(微生物)No.15(2021.07.21)
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2021/foodinfo202115m.pdf
今号の目次
【世界保健機関(WHO)】
1. 国際食品安全当局ネットワーク(INFOSAN)2021年第1四半期報告(2021年1〜3月)
【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1.BrightFarmsブランドの包装済み野菜サラダに関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Typhimurium)感染アウトブレイク(2021年7月16日付更新情報、15日付初発情報)
2. 加熱調理済み鶏肉に関連して複数州にわたり発生しているリステリア(Listeria monocytogenes)感染アウトブレイク(2021年7月14日付更新情報)
【欧州疾病予防管理センター(ECDC)、欧州食品安全機関(EFSA)】
1. 欧州連合(EU)域内のヒト、動物および食品由来の人獣共通感染症細菌と指標細菌の抗菌剤耐性に関する年次要約報告書(2018/2019年)
【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and
Feed)
【アイルランド食品安全局(FSAI)】
1. アイルランド食品安全局(FSAI)が2020年に発令した食品警報および食品アレルゲン警報は計167件
【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. PAC-CAMPY プロジェクト:実際の農場環境におけるカンピロバクター低減のための戦略
【ProMED-mail】
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