パンデミック下のFDAの業務

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.13(2021.06.23)を発表した。

注目記事

【米国】パンデミック下のFDAの業務と今後の活動ロードマップ

 米国食品医薬品局(US FDA: US Food and Drug Administration)は、報告書「Resiliency Roadmap forFDAInspectional Oversight(FDA の検査管理業務再開のためのロードマップ)」を発表した。この報告書には、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック下におけるFDAの検査実施、より安定した業務遂行のための計画の詳細、今後の優先事項などが概説されている。

https://www.fda.gov/media/148197/download

 2020年3月、FDA は、定期的サーベイランスとしての国内外施設への立ち入り検査をすべて一時的に延期し、“極めて重要(mission critical)”な検査については可能であれば継続することを発表した。

 本報告書は、移動制限、またはFDAとその管轄機関の職員の安全が確保できないことにより過去1年間(2020年3月〜2021年3月)に完了できなかった検査について概要を説明している。また、医薬品不足が発生した施設の検査や、新薬または COVID-19治療の可能性のある医薬品の認可に必要な検査などFDAが過去1年間に完了した“極めて重要”な検査の件数、市販前・認可前の申請の支援、食品由来疾患アウトブレイクへの対応、非表示のアレルゲンなどの食品安全リスクを報告している。

【イギリス】サルモネラ汚染の可能性がある特定のメロンについて

 英国食品基準庁(UK FSA: Food Standards Agency, UK)は、サルモネラ汚染の可能性がある特定のメロンの喫食を避けるよう消費者に助言している。

 英国では最近、複数のサルモネラ感染患者が発生しており、可能性のある感染源として、2021年5月28日以前に販売されたコスタリカ産、ホンジュラス産およびブラジル産の丸ごとのハネジュー、カンタロープおよびガリアメロンが考えられている。

 現在、当該メロンは販売されていないが、英国内の多数の小売店に在庫として貯蔵されていると考えられる。

 FSAのインシデント対応の責任者は、予防措置として当該メロンは喫食せずに廃棄すべきであり、これらのメロンに接触した手指や物の表面をすべて十分に洗浄することが重要で、これにより交差汚染や疾患のリスクが抑えられるとしている。

 この助言の対象は上記のメロンのみである。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.13(2021.06.23)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2021/foodinfo202113m.pdf

今号の目次

【世界保健機関(WHO)】
1. 食品安全を向上させ人々を疾患から保護するため世界保健機関(WHO)が活動を強化

【米国食品医薬品局(US FDA)】
1. 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する更新情報:パンデミック下における米国食品医薬品局(US FDA)の検査・評価業務および今後の活動を概説するロードマップを発表

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 小型のカメに関連して発生しているサルモネラ(Salmonella Typhimurium、S. Poona)感染アウトブレイク(2021年6月17日付更新情報)

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and
Feed)

【欧州疾病予防管理センター(ECDC)、欧州食品安全機関(EFSA)、欧州連合リステリア
リファレンス検査機関(EURL Lm)】
1. ECDC-EFSA-EURL Lm合同報告書:欧州リステリアタイピング調査(ELiTE)

【英国食品基準庁(UK FSA)】
1. 英国食品基準庁(UK FSA)が安全性確保のための予防措置として特定のメロンに関する助言を発表

【アイルランド食品安全局(FSAI)】
1.2021年5月12日開催の「Breakfast Bite」セミナーのテーマは“食品安全研修”

【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. 欧州域内でサルモネラ感染症が増加:衛生規範の遵守により家禽を安全に調理可能

【ProMED-mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報(12)(11)(10)