国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.07(2021.03.31)を発表した。
注目記事
【欧州】欧州委員会(EC)指令における人獣共通感染症の報告方法マニュアル
欧州食品安全機関(EFSA: European Food Safety Authority)発。
欧州委員会(EC)指令2003/99/ECの枠組みにおける人獣共通感染症とその病原体およびその他の病原微生物に関する2020年の情報の報告方法マニュアルについて。この報告方法マニュアルは、欧州委員会(EC)指令2003/99/EC、EU規則2017/625、施行に関するEU規則2019/627およびEC委任規則(Commission Delegated Regulation)(EU)2018/772の枠組みにおいて、人獣共通感染症、動物・食品・飼料中の人獣共通感染症病原体、および食品中のその他の病原性微生物や汚染微生物を欧州連合(EU)加盟国が報告するためのガイダンスである。
本マニュアルの目的は、収集されたデータが適切でEU加盟国間での比較が可能となるように、各加盟国の報告方法を統一し、その効率化を図ることである。本マニュアルは、欧州食品安全機関(EFSA)が管理する現行のデータ収集システムに含まれるすべての人獣共通感染症およびその病原体を対象としている。表形式によるデータ報告およびテキスト形式による情報報告の方法が詳細に規定されている。各加盟国が使用するサンプリング法とモニタリング法、およびモニタリング結果の記載についても指示が収載されている。データ要素については、EU全体での経時的な傾向の観察および原因分析が可能となるように特に言及されている。本マニュアルは、特に2020年の情報の報告を対象としたガイダンスである。
【欧州】欧州連合(EU)域内の人獣共通感染症に関するOne Healthの観点からの報告書
欧州疾病予防管理センター(ECDC: European Centre for Disease Prevention and Control)および欧州食品安全機関(EFSA)による本報告書は、欧州の36カ国(欧州連合(EU)加盟28カ国、非加盟8カ国)により2019年に実施された人獣共通感染症モニタリングの結果を記載したものである。
報告患者数が最も多かった人獣共通感染症はカンピロバクター症で、次がサルモネラ症であった。志賀毒素産生性大腸菌(STEC)は患者数が3番目に多く、2015年から2019年にかけて増加した。エルシニア症患者数は4番目に多く、2015〜2019年に大きく変動していない。リステリア症の確定患者数は長期間にわたって増加が続いた後、2015〜2019年には大きな変化がみられない。
食品由来アウトブレイクは計5,175件が報告された。病因物質としてはサルモネラが依然として最も多く検出されたが、S. Enteritidisによるアウトブレイク件数は減少した。原因食品を示す強固なエビデンスがあるアウトブレイクのうち、「病因物質—食品」の組み合わせでは「ノロウイルス—魚・魚製品」によるものが最も多かった。
本報告書には、ウシ結核、ブルセラ症、トリヒナ症、エキノコックス症、トキソプラズマ症、狂犬病、ウエストナイル熱、Q熱、および野兎病についても最新情報が記載されている。
(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)
食品安全情報へのリンク
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(微生物)No.07(2021.03.31)
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2021/foodinfo202107m.pdf
今号の目次
【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. デリミート(調理済み食肉)に関連して複数州にわたり発生したリステリア(Listeria monocytogenes)感染アウトブレイク(最終更新)
【カナダ公衆衛生局(PHAC)】
1. 公衆衛生通知:卵に関連して発生しているサルモネラ(Salmonella Enteritidis)感染アウトブレイク(2021年3月18日付更新情報)
【欧州疾病予防管理センター(ECDC)/欧州食品安全機関(EFSA)】
1. 欧州連合(EU)域内の人獣共通感染症に関するOne Healthの観点からの報告書(2019年)
【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)
【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. 欧州委員会(EC)指令2003/99/ECの枠組みにおける人獣共通感染症とその病原体およびその他の病原微生物に関する2020年の情報の報告方法マニュアル
【英国食品基準庁(UK FSA)】
1. 英国の市販牛肉・豚肉の抗菌剤耐性大腸菌汚染レベルに関する最新の調査結果
【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. ドイツとモロッコが食品安全のため協力
【オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)】
1. 食品関連病原体による疾患の実被害(オランダ、2019年)
【フィンランド食品局(FFA)】
1. 食品安全における連携強化に向けて欧州のプラットフォームの構築が前進