国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.20(2020.09.30)を発表した。また、ニュージーランド一次産業省(MPI:Ministry of Primary Industry)によるグリホサートに関するレポートを食品安全情報(化学物質)No.20(2020.09.30)別添として発表した。
注目記事
【EFSA】2019年の新興リスクに関するEFSAの活動
欧州食品安全機関(EFSA)の新興リスク同定活動に貢献する知識ネットワークには、新興リスク情報交換連絡会、新興リスクに関する利害関係団体協議会、EFSAの科学ユニット、科学パネル、科学委員会、作業グループが含まれている。
2019年は17の新興問題の候補を検討し、そのうち13を新興問題として同定した。同定された新興問題のうち化学物質ハザードおよびその他に分類されたものは次の通り:新興食物アレルゲンの同定、ダニ媒介赤肉アレルギー(α-galアレルギー)、卓上塩に含まれるマイクロプラスチックおよびナノプラスチック、カンナビジオールおよびカンナビジオール含有製品、ターメリック(ウコン)含有フードサプリメントによる肝臓毒性、食品や飼料中の花による健康上の懸念。
※ポイント:新興問題に関する年次報告書は、EFSAの公表資料の中でも毎年気に掛けている報告書の一つです。同定された新興問題の中には、自分が知らなかった、あるいは重要だと気づいていなかった問題もあり、勉強になります。
たとえば、今回同定された問題のうち「ダニ媒介赤肉アレルギー」はご存じない方も多いのではないでしょうか。症例は米国の南・東・中部地域、オーストラリア、欧州とアジアの一部で報告されていて、全大陸で発生数が増えており世界的な問題になりつつあると指摘されています。
【EFSA】食品中のPFAS:EFSAはリスクを評価し耐容摂取量を設定する
食品中のパーフルオロアルキル化合物(PFAS)に関連した健康リスクについてEFSAが科学的評価を実施した。今回の評価においてEFSAは、PFASのうちパーフルオロオクタン酸(PFOA)、パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)、パーフルオロノナン酸(PFNA)、パーフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)のグループ耐容週間摂取量(TWI)として4.4ng/kg体重/週を設定した。食品を介した暴露には「魚肉」「果物および果物製品」「卵および卵製品」が主に寄与していた。
※ポイント:EFSAは2018年にもPFASの評価報告書を公表しており、その時の評価内容と異なる重要ポイントが2つあります。1つ目は、PFOSとPFOAのみに個別のTWIを設定していたのを今回は4つのPFASのグループTWIにしたこと、2つ目は重要な影響(クリティカルエンドポイント)をコレステロールの増加から、ワクチン接種に対する免疫反応の低下に変更したことです。設定されたグループTWIは以前のPFOSとPFOAの各TWIよりも低く保守的な印象を受けます。
【FDA】FDAはFSMA食品トレーサビリティ規則案を発表、よりスマートな食品安全の新時代の大きな一里塚
米国食品医薬品局(FDA)は、特定の食品について追加のトレーサビリティ記録要件を定める規則案と、その提案された要件の対象となる食品を示す「食品トレーサビリティリスト」の案を公表した。この規則案が最終化された場合には、農場が作成・保管しなければならないデータと情報、サプライチェーンで次の業者に渡す必要のある情報が標準化される。
(安全情報部第三室)
食品安全情報へのリンク
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(化学物質)No.20(2020.09.30)
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2020/foodinfo202020c.pdf
- 食品安全情報(化学物質)No.20(2020.09.30)別添
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2020/foodinfo202020ca.pdf
今号の目次
【FAO】
1. コーデックスはCOVID-19期間中の食品安全確保と貿易基準の駆動力である、FAO事務局長は言う
2. Codex
【EC】
1. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)
【EFSA】
1. 食品中のPFAS:EFSAはリスクを評価し耐容摂取量を設定する
2. ルーマニア国民の青年、成人、高齢者の食品摂取調査
3. データ収集とデータモデリングに関するアドバイザリーフォーラム特別作業部会の報告書
4.2019年の新興リスクに関するEFSAの活動
5. 農薬モニタリング計画:人口の変化を考慮したサンプル数の再配分
6. 新規食品関連
7. 農薬関連
【FSA】
1. FSA理事会:2020年9月16日
【RIVM】
1. オランダにおける食品と飲料水からの硝酸と亜硝酸の複合暴露
2. 総アルミニウム暴露は健康に有害ではない
【ANSES】
1. 水を飲む良い方法
2. ANSES年次報告書
【FSAI】
1. EU離脱:2021年1月1日までに準備すること
【FDA】
1. FDAはFSMA食品トレーサビリティ規則案を発表、よりスマートな食品安全の新時代の大きな一里塚
2. FDAは栄養及びサプリメント成分表示にさらなる柔軟性を提供
3. FDAの2018会計年度の農薬分析は一貫した傾向を示す
4. FDAは最初の食品安全同等性認定を最終化する-スペインとオランダとの貝類取引再開
5. FDAは特定の家禽類におけるZoaShield25%の使用を認可
6. FDAは水銀を含む歯科用アマルガムに関して高リスク集団向けの勧告を発表
7. 警告文書
【NTP】
1. スコーピングレビュー3報告
【FTC】
1. FTCはStimTein関節痛緩和錠剤を購入した消費者に$110,000以上を返金
2. NutraClick LLC社は2016年の裁判所命令に違反したというFTCの申し立てに和解するため、ネガティブオプションマーケティング禁止に合意し104万ドルを支払う
3. FTCは高齢者向けに詐欺的に宣伝された「魔法の」痛み止めを購入した消費者に$76,000以上を返金
【CFIA】
1. 食品リコール警告:麻痺性貝中毒の原因となるマリンバイオトキシンのため特定のアサリが安全でない可能性がある
【FSANZ】
1. 食品基準通知
【TGA】
1. 医薬品広告コンプライアンス:2019-20年次報告書
【hccc】
1. 医療苦情法s94Aによる警告-アーユルベーダ医薬品の重金属濃度について
【NZMH】
1. Medsafeは肝障害と関連する違法に販売されている医薬品の供給を予防する
【香港政府ニュース】
1. ニュースレター
2. 違反情報
【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 液状茶を健康機能食品に変身・違法搬出した業者摘発
3. 健康機能食品の新しい機能性評価ガイドブックを用意
4. オキアミ油製品、輸入者自ら安全性を立証すれば輸入可能
5. 調製乳製品、オンライン虚偽・誇大広告点検結果発表
6.2019年食品産業の生産実績規模81兆77億ウォン
7. タルトチェリー製品、オンライン虚偽・誇大広告点検結果発表
【FSSAI】
1. 食用油のビタミンAとDの強化は義務と考えられる
【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(ProMED-mail)麻痺性貝毒(第2報):フィリピン(サマル島)イガイ、致死
・(ProMED-mail)原因不明の死、象-ボツワナ(第三報):有毒藻類
・(EurekAlert)科学者がプラスチック汚染に警鐘を鳴らす
・(EurekAlert)研究が「脳を活性化させる」サプリメントに複数の未承認薬物を発見
・(EurekAlert)調理したニンジンがアレルギー反応を引き起こせる
別 添
【MPI】グリホサート