国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.15(2020.07.22)を発表した。
注目記事
【FDA】FDAはよりスマートな食品安全新時代の青写真を発表
米国食品医薬品局(FDA)が「よりスマートな食品安全の新時代」(New Era of SmarterFood. Safety)の青写真を発表した。これは、食品安全のためのアプローチを近代化させるために、FDAが今後10年以上にわたり取り組む予定の作業計画を表したものである。
青写真では次のような4つのコアエレメントを提示している:
1)技術が可能にするトレーサビリティ:トレーサビリティの強化を目的とした、対象範囲の拡大や手続きの標準化、生産者や業界への技術導入の推進、デジタル技術の活用、など。
2)予防のためのより賢いツールとアプローチとアウトブレイク対応:ビッグデータを利用したアウトブレイクの根本原因解析や予測解析の強化、国内の関係者(連邦政府と州、官民など)との相互信頼の構築や情報・データの共有、オンライン技術を利用した査察やトレーニング、リコールの実施や通知方法の近代化、など。
3)新しいビジネスモデルと小売り近代化:新しいビジネスモデルを利用して生産・配送される食品の安全性確保、伝統的な小売り食品の安全性に係わるアプローチの近代化、など。
4)食品安全文化:食品システム全般における食品安全文化の推奨、食品安全についての教育の強化、など。
※ポイント:これは最近ご紹介した記事の中でも重要度が高いと思います。世界の食品安全分野を先導する米国FDAの将来構想を示したもので、食品安全近代化法(FSMA)の理念である「科学とリスクに基づく予防」の実現のために、時代の変化に合わせて現代の技術やツールを最大限に活用して食品安全への取り組みを向上させるというFDAの強い意志が感じられる内容になっています。
また、連邦政府と州などの地方自治体や民間との協力体制の強化と情報・データの共有、そして食品安全の教育の強化も重要視されています。FDAはCOVID-19パンデミックにより生じた課題も反映させたことを強調しています。
【FSS】FSSはCOVID-19パンデミックの閉鎖中に食品犯罪の「明確な」兆候に警戒するよう消費者に呼び掛ける
FSS(Food Standards Scotland)は、COVID-19パンデミック中に食品犯罪が増える可能性があることを意識するよう、消費者に呼び掛ける。食品業界の多くは規則を守って現状によく対応しているが、パンデミックを利用しようとする人もごく少数存在する。スコットランド食品犯罪・事件対策ユニットは、ロックダウンを悪用した食品詐欺の被害者になるのを防ぐのに役立つ、3つの、鍵となる「明確な」兆候を示す。
※ポイント:COVID-19パンデミック関連では、その予防や治療を謳った詐欺製品に関する記事が多かったのですが、これは悪質な業者がロックダウンに乗じて適切に扱っていない食品を個人や小売店向けに直接販売する可能性についての注意喚起です。「通常よりも安すぎるものには注意しましょう」というのはよく言われることですが、「有名ブランドの製品であるかのように偽装されたアルコール飲料に注意しましょう」というのはスコットランドらしさが出ている注意喚起で面白いなと思いました。
(安全情報部第三室)
食品安全情報へのリンク
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(化学物質)No.15(2020.07.22)
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2020/foodinfo202015c.pdf
今号の目次
【WHO】
1. イベント 化学物質とCOVID
2. 飢餓が増え栄養不良が続き、2030年までに飢餓ゼロ達成は疑わしい、国連報告が警告
【FAO】
1.Codex
【EC】
1. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)
【EFSA】
1. 新興リスク同定のための規定と計量(DEMETER):最終報告書
2. EFSAの管理者暴露計算機の再現と拡張
3. リスク評価とリスク管理内のコミュニケーション(COMRISK):最終報告書
4. パルマサマースクール2020「One Health」:バーチャル体験
5. 遺伝子組換え関連
6. 農薬関連
【FSA】
1. Food we can trust-making it happen: ウェストミンスター食品栄養フォーラムでのスピーチ
【FSS】
1. FSSはCOVID-19パンデミックの閉鎖中に食品犯罪の「明確な」兆候に警戒するよう消費者に呼び掛ける
【ASA】
1. アルコール:運動、精神、身体能力を強化
2. フードサプリメント、COVID-19、そして免疫系
【BfR】
1. ある種の食品の3-MCPDとグリシジル脂肪酸エステルの高濃度による健康リスクの可能性
【ANSES】
1. Le Monde誌2020年6月19日の記事に対するANSESからの情報
【FSAI】
1. FSAIは初めて1〜5才の健康的食生活助言を発表
2. キャッスルメイン産のカキ、イガイの警告
3. 回収情報
【FDA】
1. FDAはよりスマートな食品安全新時代の青写真を発表
2. シーフード
3. FSAM意図的異物混入規則による小規模事業者の査察は2021年3月から開始
4. コロナウイルス(COVID-19)更新
5. 危険な HCG減量用製品は避けよう
6. リコール情報
7. 警告文書
【NTP】
1. ニュースレター
2. テクニカルレポート公表
【USDA】
1. 事業者が食品を寄付することへの連邦インセンティブ
2. オーガニック執行強化規則案
3. GEトウモロコシの規制解除申請の予備的植物害虫リスク評価と環境評価案公表
【FTC】
1. FTCは「Thrive」サプリメントの販売業者にCOVID-19を治療、予防、リスクを下げるという根拠の無い宣伝をすることを止めるよう命令
【CFIA】
1. 食品安全検査報
【TGA】
1. 安全性警告
【MPI】
1. 貝のバイオトキシン警告-Hawke’s Bay 拡大警告
2. PMN Kacang Wangi ブランドのピーナッツクラッカー
【香港政府ニュース】
1. 食品安全センターはソウギョのサンプルに微量のマラカイトグリーンを検出する
2. インディアンレタスのサンプルから基準値超過の残留農薬が検出された
3. 包装済み冷凍ベラのサンプルに基準値超過のメチル水銀が検出された
4. ニュースレター
【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2.「ミツバチのさなぎ」新しい食品原料と認定
3. 輸入食品安全情報、携帯電話スキャンだけで確認推進
4. 食品業界が守らなければならない物理的距離を置くことの実践方法
5.7月1日から原乳国家残留物質検査プログラム施行
6. クロムなど栄養成分9種、摂取時の注意事項など新設
7. オーダーメード型食品産業の活性化のために食品類型新設・改編
8. エアフライヤー、フライドポテトは190℃30分以内で調理
9. 回収措置
【FSSAI】
1. メディアコーナー
【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(ProMED-mail)レクチン中毒-デンマーク
・(ProMED-mail)有毒藻類-米国(第2報):(ユタ)イヌ、警告
・(ProMED-mail)アフラトキシン ケニア:イヌ、汚染食品疑い