国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.13(2020.06.24)を発表した。
注目記事
【欧州】ブランチングされた冷凍果物・野菜・ハーブのリステリア
欧州食品安全機関(EFSA: European Food Safety Authority)発。欧州連合(EU)において2015〜2018年にわたり、冷凍ブランチング(湯通し等)野菜(bfV:blanched frozen vegetables)に関連して複数国にわたるリステリア(Listeria monocytogenes ST6)感染アウトブレイクが発生した。
bfVの加工工程においてL. monocytogenesの汚染および増殖に影響を及ぼす主な要因は、原材料・プロセス水の衛生レベル、食品加工環境の衛生状況、保存時および加工工程(ブランチング、冷却など)での時間(time)と温度(Temperature)の組み合わせ(t/T)などである。
加工後の重要な要因には、bfV特有の性質、解凍・保存時のt/T、加熱して喫食する場合の加熱条件が挙げられる。
実施可能な管理対策を分析したところ、危害分析重要管理点方式(HACCP)を完全に適用することは可能ではない、または適用したとしても食品安全がさらに向上することはないと考えられた。むしろ、食品加工環境の洗浄と消毒、水質管理、t/T管理、製品情報や消費者の意識啓発などの各前提条件プログラム(PRP)およびオペレーション前提条件プログラムを適用すべきである。
製造工程の最終段階でのL. monocytogenes汚染が低レベル(<10CFU/g)である場合、表示されている推奨事項(5℃で24時間までの保存など)が厳密に守られていれば、喫食時の汚染レベルは安全基準である100CFU/gと同程度になる。
想定される運用条件下(12℃で48時間までの保存)の場合は、最終段階でのL. monocytogenes汚染レベルをかなり低く抑えなければならない(25g検体で検出されないレベル)。
L. monocytogenesの通常モニタリングプログラムは、リスクベースの手法に従ったものとし、傾向分析の結果に基づいて定期的な見直しを行い、食品加工環境モニタリングを冷凍野菜産業における重要な対策とするように考案すべきである。
【欧州】エルシニア症の疫学レポート
欧州疾病予防管理センター(ECDC: European Centre for Disease Prevention and Control)は、「エルシニア症 -2017年次疫学報告書」を発表した。
- 2017年は欧州連合/欧州経済領域(EU/EEA)加盟28カ国がエルシニア症確定患者計6,890人を報告した。
- EU/EEA全体での人口10万人あたりの報告率は1.8であり、2013〜2017年はほぼ一定の水準であった。
- 年齢層別の患者報告率は0〜4歳児で最も高かった(人口10万人あたりの報告率は7.7)。
- 報告率が最も高かった国は、フィンランド、リトアニア、およびチェコ共和国であった。
(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)
食品安全情報へのリンク
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(微生物)No.13(2020.06.24)
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2020/foodinfo202013m.pdf
今号の目次
【世界保健機関(WHO)】
1.2020年世界食品安全デー
【カナダ公衆衛生局(PHAC)】
1. 公衆衛生通知:Carnivoraブランドの冷凍生ペットフードに関連して発生している大腸菌O157感染アウトブレイク(初発情報)
【欧州疾病予防管理センター(ECDC)】
1. エルシニア症 -2017年次疫学報告書
【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)
【欧州食品安全機関(EFSA)】
1.2020年世界食品安全デー(World Food Safety Day2020):“食の安全は皆が関わるべき問題である、現在もこれからも”
2. 加工過程でブランチング(湯通し等)された冷凍果物・野菜・ハーブのリステリア(Listeria monocytogenes)汚染による公衆衛生リスク
【英国食品基準庁(UK FSA)】
1. 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行に際して家庭での食品安全に関するQ&Aを発表
【スコットランド食品基準庁(FSS)】
1. 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的流行に際して適正な食品安全規範をいかにして守るか
【オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)】
1. 欧州連合サルモネラリファレンス検査機関(EURL-Salmonella)のタイピング能力試験(2018年)
【ProMED mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報2020(05)