アレルゲンの可能性表示問題

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.12(2020.06.10)を発表した。また、「特集:第2回世界食品安全デー(World Food Safety Day)2020年6月7日」を食品安全情報(化学物質)No.12(2020.06.10)別添として発表した。

注目記事

【BfR】「VITAL 3.0」:食物アレルゲンの参照用量についての新しくて更新された提案

 EUでは14種の主要な食物アレルゲンの表示が義務づけられている。一方、最終製品に偶然に含まれた痕跡程度のアレルゲンについては明確に規制されておらず、そのため一部の製造業者は自主的に「ごく微量含むかもしれない」といった予防的な表示を行っている。しかし、それがアレルギーのある人には食品を選択する上で不必要な制限となる可能性もある。ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)は食物アレルゲンの参照用量(ED01)を提示し、以前に導出された値と比較した。

※ポイント:BfRによると、臨床試験データをもとに更新したので現時点で可能な限り現実的な値になっているとのことです。ただし他の影響因子など解決すべき課題もあるため、直ちに表示規則に反映させるという話ではなく、さらに議論されていくようです。

【EC】農場から食卓まで戦略-公正で健康的で環境に優しい食品システム

 欧州委員会(EC)は、食品システムを公正で健康的で環境に優しいものにすることを目標にした欧州グリーンディール(European Green Deal)の中核となる「農場から食卓まで戦略(Farm to Fork Strategy)」を発表した。この戦略では持続可能な食品システムへの移行を目指しており、その戦略促進のために助言サービスや金融支援、研究革新など支援のためのさまざまな取り組みを行っている。

※ポイント:国際連合の「持続可能な開発目標」に基づき、食品分野でも「持続可能な(sustainable)」がキーワードになっています。COVID-19の危機に直面して、ECだけでなく米国食品医薬品局(FDA)も、食品供給の安全と保障の強化が重要であることを再認識し、しっかりとした弾力性のある持続可能な食品システムへと移行していく姿勢を見せています。

【別添】世界食品安全デー(2020年6月7日)

 第2回世界食品安全デー(World Food Safety Day: WFSD)を祝してFAO/WHOやEFSAなどがメッセージを発表した。テーマとして「食品安全はみんなの仕事(Food safety, everyone’s business)」を掲げ、食品の安全性を確保するには、すべての人にそれぞれの役割があり、責任を分かちあうものであるということを認識しようと呼びかけている。

※ポイント:第1回となった昨年はニューヨークの国連本部をはじめとして各地でイベントが開催されたのですが、今年はCOVID-19のためにソーシャルメディアを利用したウェブ上でのイベント開催となりました。COVID-19パンデミックにより食品流通に混乱が生じた状況を受けて、今年はとくに市場(markets)に焦点をあてて、安全で健康的な食品を供給することの重要性について意見が交わされています。

 WFSDガイダンスの日本語翻訳版が新たに公表されましたので、参考にしてください。

World Food Safety Dayガイダンス(日本語翻訳版)
http://www.fao.org/publications/card/en/c/CA7815JA

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.12(2020.06.10)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2020/foodinfo202012c.pdf
食品安全情報(化学物質)No.12(2020.06.10)別添
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2020/foodinfo202012ca.pdf

今号の目次

【WHO】
1. 国際がん研究機関(IARC)

【FAO】
1. FAO、 GAIN、より健康な世界のためのJohns Hopkins同盟は、より良い食品政策に情報提供するための新しいオンラインダッシュボードを公開
2. Codex

【EC】
1. 農場から食卓まで戦略-公正で健康的で環境に優しい食品システム
2. 農薬の持続可能な使用指令改定計画のロードマップに意見募集
3. 査察報告書
4. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 食品と接触する物質関連
2. 食品酵素関連
3. 遺伝子組換え関連
4. 様々な個体発生段階でのヒトの幹細胞及び前駆細胞に関するペルメトリンとクロルピリホスの遺伝毒性
5. 飼料添加物関連

【FSA】
1. 研究プロジェクト:リスクのコミュニケーション
2. 2020年6月のFSA理事会ペーパー

【DEFRA】
1. タイヤ粒子が我々の川や海を汚染している、研究が言う

【ASA】
1. ASA裁定
2. 処方のみの医薬品と「ビタミン注射」への規則を執行

【BfR】
1. 検査が「秘密の」ホルモンを暴く
2.「VITAL 3.0」:食物アレルゲンの参照用量についての新しくて更新された提案

【FDA】
1. 食品安全とコロナウイルス疾患2019(COVID-19)
2. コロナウイルス(COVID-19)更新
3. COVID-19パンデミック中のFDA規制対象食品施設の一時的閉鎖の自主的報告あるいは援助要請
4. FDAは意図的異物混入規則のガイダンス案のシリーズ第三段への意見募集期間を延長する
5. 連邦判事はニューヨークの企業に未承認薬販売の永久差し止め命令を出す
6. パンデミックの課題はよりスマートな食品安全新時代の重要性を強調する
7. リコール情報
8. 警告文書

【NTP】
1. 試験報告

【USDA】
1. 遺伝子組換え大豆の規制解除申請公表
2. COVID-19パンデミック中の食品の入手可能性と価格について見直す

【FTC】
1. FTCはTrueAloe とAloeCranサプリメントの誤解を招く健康強調表示に騙された消費者に総額$470,000以上の返金小切手を送っている
2. FTCはReJuvenation「アンチエイジング」錠剤を購入した消費者に総額$149,000の返金小切手を送っている
3. COVID-19に関連した警告文書

【CFIA】
1. 新進の#ジュニアCFIA科学者へ!
2. 貝採捕禁止区域

【APVMA】
1. 新しい個々の事情に合わせたガイダンス経路公表

【TGA】
1. COVID-19に関連した違法広告について

【MPI】
1. Krazy Price Mart Ltdの冷凍マダラハタ
2. 貝のバイオトキシン警告-Banks PeninsuladのPort Levy

【香港政府ニュース】
1. 食品警告:パツリン汚染のボトル入り果汁飲料を飲まないよう市民に注意を呼び掛ける
2. 食品安全センターはパツリン汚染のボトル入り果汁飲料を飲まないよう市民に注意を呼び掛ける
3. シンガポール政府より

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 食品中の3-MCPD及びメラミン基準・規格の再評価の結果発表
3. 食品用に製造されていない液体窒素を使用して、アイスクリームを製造・販売した休憩飲食店11ヶ所を摘発
4. 家庭簡便食、電子レンジで安全に調理してください
5. 食薬処、養殖ヒラメ・ウナギなどの集中点検
6. ホウレンソウ、山菜、シレギなど計5件が残留農薬基準を超過
7.「過酸化水素」を直接食べては絶対ダメ!
8. 海外からの個人輸入7食品からシルデナフィルなど不正物質の検出
9. ナトリウム、糖類を減らすイベントに参加してください
10. 回収措置

【HSA】
1. COVID-19を予防あるいは治療できると謳っているハーブ製品についての助言

【その他】
・(ProMED-mail)有毒藻類 米国:(ミネソタ)イヌ
・(EurekAlert)ナチュラル製品であっても胎児に有害な可能性
・(EurekAlert)水銀を使った金の採鉱は何マイルも下流の人達の健康を脅かす

【別添】
特集:第2回世界食品安全デー(World Food Safety Day)
2020年6月7日