国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.08(2020.04.15)を発表した。また、「【BfR】ドイツのヨウ素摂取が再び低下-ヨウ素を十分摂るためのコツ」を食品安全情報(化学物質)No.08(2020.04.15)別添として発表した。
注目記事
【FAO】食品貿易と市場へのCOVID-19の影響を緩和する
FAO/WHO/WTO共同声明:世界中の何百万人もの人々が食糧安全保障と生計を国際貿易に依存している。各国が加速するCOVID-19パンデミックを止めるための対策を行っているが、食品供給への影響を最小限にし、世界の貿易と食糧安全保障への意図せぬ影響を起こさないよう注意しなければならない。
今こそ、団結し、責任を果たし、食糧安全保障、食品安全、栄養、そして世界中の人々の一般福祉を保証するという我々の一般的な目標を着実に実行していくときである。
※ポイント:COVID-19対策としての移動制限やロックダウンによる、国際的な食品のサプライチェーンの混乱を危惧して国際機関が共同で声明を出しました。FAOはさらに、人々に与える影響が先進国と途上国では異なることを説明し、途上国では食を失い直ちに命に関わる問題になると指摘しています。
この他、COVID-19に関連した規制緩和や注意喚起などのニュースが各国から次々と発表されています。フランス食品・環境・労働衛生安全庁(ANSES)は、フランスの中毒コントロールセンターの情報をもとに、COVID-19に関連した中毒や家庭内での事故を予防するための助言を提供しています。
【RIVM】食品と飼料のサプライチェーンに関係するマイコトキシンの概要:新しい文献スクリーニング法を用いて
オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)は、食品や動物の飼料に存在する可能性のあるマイコトキシン(かび毒)に関する文献資料やリスク評価書の情報を調査してデータベースに入れた。これにより、特定の食品でどのマイコトキシンを調べればよいのかが一目でわかる。
※ポイント:RIVMはさまざまなデータの解析能力が高く、国はそれらの解析結果を活用して食品の安全性に関わる検査や対策をとても合理的に進めています。我が国の行政にとっても、そのような姿勢が大事だと改めて思いました。
【別添:BfR】ドイツのヨウ素摂取が再び低下-ヨウ素を十分摂るためのコツ
ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)が、ヨウ素摂取とヨウ素欠乏予防に関するFAQを更新した。
ヨウ素は、甲状腺ホルモンの産生と数多くの代謝過程のコントロールに必要な微量栄養素である。ドイツは土壌に含まれるヨウ素が少なく、国内で生産される農産品のヨウ素含有量では満足できる摂取量を確保するのに十分でない。ドイツでは1980年代半ばからヨウ素添加塩が推奨されてヨウ素欠乏に改善が見られていたが、現在のデータによると国民のヨウ素摂取量は再び低下しつつあり、そのため摂取量は最適ではなく、欠乏予防のための継続的で長期的な対策が必要である。
※ポイント:ヨウ素は海底の堆積物に多く存在し、食品では海藻(とくにコンブ)の含有量が高いことが知られています。そのため、ヨウ素の摂取量は居住地域や食生活に大きく影響されます。ドイツ人は欠乏症が問題になりますが、日本人の場合は海藻を摂取する頻度も量も多いため食事を介したヨウ素の摂取量は十分で、一部の人々では逆に過剰症が問題になることがあります。
このFAQにはヨウ素と健康との関係について要点がわかりやすくまとめられているので、ヨウ素の摂取について学ぶにはよい参考資料だと思います。
(安全情報部第三室)
食品安全情報へのリンク
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(化学物質)No.08(2020.04.15)
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2020/foodinfo202008c.pdf
- 食品安全情報(化学物質)No.08(2020.04.15)別添
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2020/foodinfo202008ca.pdf
今号の目次
【WHO】
1. コロナウイルス(COVID-19)一般向け助言:俗説バスター
【FAO】
1. 食品貿易と市場へのCOVID-19の影響を緩和する
2. FAO事務局長はCOVID-19に直面して集合的協調的アプローチを呼びかける
3. コロナウイルスは途上国の飢餓を悪化させる可能性がある
【EC】
1. 委員会実施規則(EU)2020/466:コロナウイルス疾患(COVID-19)により加盟国のコントロールシステムに深刻な断絶がある間のヒト、動物、植物の健康と福祉へのリスクを阻止するための暫定措置について
2. 査察報告書
3. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)
【EFSA】
1. 化学物質ハザードデータとモデリング強化
2. インターネットベースのソフトウェアによる規制対象製品申請の電子提出
3. 食品中の残留農薬:閲覧可能なグラフで傾向を追跡する
4. 動物及び食品中の残留動物用医薬品:安全レベルの遵守は依然として高い
5. 農薬関連
6. 新しい助成金の機会:能力育成
【DEFRA】
1. コロナウイルスアウトブレイク時の食品再分配に現金支援
【DWI】
1. 展望と戦略目標2020-2025
【ASA】
1. コロナウイルスの広告を報告して
2. 動物の健康用製品の主張を審査する
【BfR】
1. 新しい研究が示す:血中PFOA濃度の高い1才の子どもはワクチン抗体濃度が低い
【RIVM】
1. 水泳用の水と魚のPFOA、PFOS及びGenXのリスク限度値についての助言
2.6価クロムによる有害健康影響と病気:POMS場所の喉頭がんに関する科学文献とリスク評価の更新
3. 食品と飼料のサプライチェーンに関係するマイコトキシンの概要:新しい文献スクリーニング法を用いて
【ANSES】
1. ANSESはレゾルシノールをヒトへの内分泌攪乱物質と同定することを提案
2. COVID-19:殺菌に関連する中毒やその他のリスク状況に注意
【FSAI】
1. 原産国表示-主原材料
2. ビタミンD
3. 乳児用ミルクの広告とマーケティングのより厳しい規則についてのガイダンス発表
【FDA】
1. FDAはCOVID-19パンデミック中のチェーンレストランや同様の食品小売施設のメニュー表示要件について柔軟性を提供する
2. FDAはCOVID-19パンデミック中の食品小売施設で消費者に販売される殻付き卵の包装と表示に関して暫定的柔軟性を提供する
3. FDAはCOVID-19のためFSVPによる輸入業者査察を暫定的にリモートで行う
4. FDAはCOVID-19のため試験所認定プログラムの規則案についての意見募集期間をさらに延長する
5. 魚及び魚製品のHACCPガイド第4版の改訂
6. 警告文書
【NTP】
1. ブチルパラベンとレスベラトロールの毒性試験のデータ表公表
2. ニュースレター:植物製品(botanicals)の安全性が新しいコンソーシアムでとりあげられる
【FTC】
1. FTCのデータはコロナウイルス関連の消費者苦情の急増を示す
【TGA】
1. 安全性警告
【Ahpra】
1. COVID-19についての虚偽で誤解を招く広告
【香港政府ニュース】
1. 違反情報
【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 成人は一日コーヒー4杯、青少年のエネルギードリンクは2缶以内で摂取して下さい
3. 回収措置
【SFA】
1. 食品表示及び包装情報
2. 食品規則改定案に意見募集
【HSA】
1. HSA 警告:Kopi Jantan Ali Macca’, ‘Kopi Panggung Al-Ambiak Natural Herbs Coffee’及び‘Berry Jaga Chewable Candy’に強力な勃起不全治療薬が含まれる
【FSSAI】
1. COVID-19の間、輸入通関と食品検査室はFSSAIにより必須サービスに分類される
【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(EurekAlert)新しい研究はEPAの水銀解析に「深刻な欠陥がある」ことを発見
別添
【BfR】ドイツのヨウ素摂取が再び低下-ヨウ素を十分摂るためのコツ