水源堆積物からO157検出

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.04(2019.02.20)を発表した。

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【米国】ロメインレタス関連のO157:H7の顛末

 米国疾病予防管理センター(US CDC)、複数州の公衆衛生・食品規制当局、カナダ当局および米国食品医薬品局(US FDA)は、カリフォルニア州北部・中部のCentral Coastal栽培地域由来のロメインレタスに関連して複数州にわたり発生した志賀毒素産生性大腸菌(STEC)O157:H7感染アウトブレイクを調査した。

 患者の発症日は2018年10月7日〜12月4日であった。情報が得られた患者54人のうち25人が入院し、このうち2人が溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症した。死亡者は報告されなかった。

 疫学・追跡調査および検査機関での検査により得られたエビデンスは、カリフォルニア州北部・中部のCentral Coastal栽培地域由来のロメインレタスが本アウトブレイクの感染源である可能性が高いことを示した。

 FDAは、CDCおよび複数州の当局と協力し、追跡調査で特定されたカリフォルニア州の農場および冷却施設を調査した。CDCは、そのうちの1カ所であるAdam Bros. Farming社の農場(カリフォルニア州Santa Barbara郡)について水検体および堆積物検体の分析を行った。その結果、この農場にある農業用水源の堆積物検体から大腸菌O157:H7アウトブレイク株が検出された。

 全ゲノムシーケンス解析の結果、この農業用水源から検出された大腸菌O157:H7株は患者由来分離株と遺伝学的に近縁であることが示された。また、本アウトブレイクの患者から分離された大腸菌O157:H7株は、米国では葉物野菜に、カナダではロメインレタスに関連しているとされた2017年のアウトブレイクの患者から分離された大腸菌株と遺伝学的に近縁であることが示された。

 ただし、今回のアウトブレイクは、2018年3〜6月にロメインレタスに関連して米国およびカナダの複数州にわたり発生した大腸菌O157:H7感染アウトブレイクとは関係がない。2018年3〜6月のアウトブレイクの患者は、DNAフィンガープリントが今回のアウトブレイク株とは異なる大腸菌O157:H7株に感染していた。

 FDAは、大腸菌の当該株が農業用水源に流入した経緯および当該農場のロメインレタスの汚染経路について、さらなる情報を得るため調査を継続している。本アウトブレイクに関連したAdam Bros. Farming社由来のロメインレタスはもはや市場に流通していない。FDAは、追跡調査で特定されたその他の農場について調査を継続している。2019年1月9日時点で本アウトブレイクは終息したと考えられる。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.04(2019.02.20)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2019/foodinfo201904m.pdf

今号の目次

【米国食品医薬品局(US FDA)】
1. サルモネラ(Salmonella Agbeni)感染患者に関連している可能性により回収対象となっているDuncan Hinesブランドのケーキミックスを調査(2019年1月31日、2018年11月7日付更新情報)

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. サルモネラ(Salmonella Agbeni)感染アウトブレイク(最終更新)
2. ロメインレタスの喫食に関連して発生した志賀毒素産生性大腸菌(STEC)O157:H7感染アウトブレイク(最終更新)

【カナダ公衆衛生局(PHAC)】
1. 公衆衛生通知:ロメインレタスに関連して発生した大腸菌感染アウトブレイク(最終更新)

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)

【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. 食品由来寄生虫に関連した公衆衛生リスク

【アイルランド食品安全局(FSAI)】
1. 抗菌剤の使用および抗菌剤耐性に関してOne Healthの観点からの報告書

【オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)】
1. オランダにおける人獣共通感染症の発生状況(2017年)

【ProMed mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報2019(3)