アボカドとトウガラシの調査

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.03(2019.02.06)を発表した。

注目記事

【米国】アボカドとトウガラシの有害細菌汚染率

 米国食品医薬品局(US FDA: US Food and Drug Administration)は、生鮮アボカドおよびトウガラシの有害細菌汚染率を明らかにするためにサンプリング調査を実施し、今回その結果に関する報告書2報を発表した。

 FDAは、トウガラシのサンプリング調査として、国産および輸入トウガラシ検体を採取し、サルモネラ、大腸菌O157:H7およびその他の志賀毒素産生性大腸菌(STEC)について検査・分析を行った。検査した計1,615検体のうち、46検体(2.85%)がサルモネラ陽性、1検体がSTEC陽性であったが、追加検査の結果、このSTEC株は重度の疾患の原因にはなり得ないことが明らかになった。

 生鮮アボカド(ホール)のサンプリング調査では、FDAは国産・輸入アボカド計1,615検体を採取し、サルモネラおよびリステリアについて検査・分析を行った。その結果、12検体(0.74%)がサルモネラ陽性であった。リステリア検査にFDAは主としてアボカドの果肉部分を使用したが(喫食部位は果肉であるため)、一部の検体については皮を使用した。果肉部分の検査では1,254検体のうち3検体(1%未満)、皮の検査では361検体のうち64検体(17.73%)がリステリア陽性であった。

 FoodSafety.govの以下のWebページでは、すべての農産物について、切り分けや喫食の前に洗浄するよう消費者に助言している。
https://www.foodsafety.gov/recalls/recent/listeria.html

【米国】食料品チェーンで販売されたパスタサラダのサルモネラ

 米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)、複数州の公衆衛生・食品規制当局および米国食品医薬品局(US FDA)は、食料品チェーンHy-Veeの店舗で販売されたパスタサラダ(Spring Pasta Salad)に関連して複数州にわたり発生したサルモネラ(Salmonella)感染アウトブレイクを調査した。

 本アウトブレイクは終息したと考えられる。

 2018年9月5日までに、S. Sandiegoアウトブレイク株の感染患者92人、Salmonella enterica IIIbの感染患者7人、およびこれら両株の重複感染患者2人の計101人が10州から報告された。患者の発症日は2018年6月21日~8月7日であった。患者の年齢範囲は1~89歳、年齢中央値は50歳であった。情報が得られた95人のうち25人が入院したが、死亡者は報告されなかった。

 疫学的エビデンスは、食料品チェーンHy-Veeの店舗で販売されたパスタサラダ(Spring Pasta Salad)が本アウトブレイクの感染源である可能性が高いことを示した。2018年7月16日、Hy-Vee社(アイオワ州West Des Moines)は全店舗からパスタサラダ(Spring Pasta Salad)を撤去した。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.03(2019.02.06)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2019/foodinfo201903m.pdf

今号の目次

【米国食品医薬品局(US FDA)】
1. 米国食品医薬品局(US FDA)がアボカドおよびトウガラシのサンプリング調査に関する報告書を発表

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 七面鳥生肉製品に関連して複数州にわたり発生している多剤耐性サルモネラ(Salmonella Reading)感染アウトブレイク(2018年12月21日付更新情報)
2. 食料品チェーンHy-Veeの店舗で販売されたパスタサラダ(Spring Pasta Salad)に関連して発生したサルモネラ感染アウトブレイク(最終更新)
3. Kellogg社のシリアル製品Honey Smacksに関連して複数州にわたり発生したサルモネラ(Salmonella Mbandaka)感染アウトブレイク(最終更新)

【カナダ公衆衛生局(PHAC)】
1. 公衆衛生通知:パン粉付き冷凍生鶏肉製品などの生の鶏肉に関連して発生しているサルモネラ感染アウトブレイク(2019年1月25日、2018年12月17日付更新情報)

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)

【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. 伝達性海綿状脳症(TSE)の2017年のサーベイランス結果に関する欧州連合(EU)要約報告書

【デンマーク国立血清学研究所(SSI)】
1. 抗菌剤耐性問題の世界的な解決に向けて新しい国際研究機関をデンマークに設立