サプリ監視を強化するFDA

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.23(2018.11.07)を発表した。

注目記事

【FDA】 FDAは義務的リコール権限についてのガイダンスを最終化

米国食品医薬品局(FDA)は、有害な可能性のある食品について、以前は自主的リコールを製造や販売の事業者にゆだねるのみであったが、2011年に食品安全近代化法(FSMA)によって義務的リコールを命令できるようになった。この度FDAは、事業者とFDA職員が義務的リコールを理解できるようにするためのQ&A形式のガイダンスの最終版を公表した。

義務的リコールは乳児用調製乳を除く(別の法律が適用されるため)ヒト用と動物用の食品とその素材が対象であり、ダイエタリーサプリメントも含まれる。義務的リコールの判断は、FD&C Actに違反している(食品として不適であるadulterated、誤解を招くmisbranded)ことの合理的な可能性があり、その食品への暴露や使用によりヒトや動物に重篤な有害影響や死亡をもたらす合理的な可能性がある場合に下される。ただし、FDAは義務的リコールの実施前に事業者による自主的リコールの機会を提供しなければならず、事業者がそのFDAからの要請や対話に応じないなど、その後も対象食品を市場から排除する必要があるとFDAが判断した場合に義務的リコールの実行となる。

※ポイント:FSMAの施行により米国FDAの食品安全分野での権限が強くなったと言われるゆえんの一つが、この健康に有害な影響のある食品を強制的にリコールできるようになったことです。とくにダイエタリーサプリメントも対象に含まれていることは注目すべき点です。以前のFDAは、ダイエタリーサプリメントの有害事象報告を受けたとしても、販売禁止などの強制的な措置を執るには根拠となる有害事象報告を多数収集しなければならないなど大変な時間と労力を費やす必要があり、なかなか執行できずに、その間は有害事象の発生を止められないといった批判を受けていました。しかし最近は、FSMA施行によって以前よりも対応がしやすくなり、FDAによるダイエタリーサプリメントへの監視が強化されリコール措置も迅速になりつつあるように感じています。

【FDA】 FDAの植物と動物のバイオテクノロジー革新推進のための新しい計画についてFDA長官Scott Gottlieb, M.D.と長官代理Anna Abramの声明

植物と動物のバイオテクノロジーは、公衆衛生の進歩のために膨大な可能性を提供する。動物と植物のゲノムを編集できる期待される新しい技術は、ヒトと動物の健康、動物の福祉、食品の生産性や食糧安全保障を向上させる可能性がある。新しいかたちのバイオテクノロジーは、新規医薬品や新しい食品品種あるいは病気に強い作物のような新製品を作り出すために、植物や動物のような生きた生物の改変を可能にする。

FDAはこの新興分野の革新を育てる現代的規制を実現するため、新しい「植物と動物のバイオテクノロジー革新行動計画」を発表する。新しい計画では三つの重要な分野を優先課題とした:1)製品の革新を促進して現代的で効率のよいリスクに基づいた規制を適用してヒトと動物の健康を進化させる;2)革新的植物と動物のバイオテクノロジーへのFDAの対応に関するコミュニケーションと広報を強化する;3)バイオテクノロジー問題に関する国内と国際的関係者の参加を増やす。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.23(2018.11.07)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2018/foodinfo201823c.pdf

今号の目次

【EC】
1.食品安全-世界食糧デー2018年10月16日-#ゼロハンガー
2.EUでの抗菌剤耐性(AMR)との戦い:EU AMRワンヘルスネットワークがブリュッセルで会合
3.査察報告書
4.食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EMA】
1.食料生産動物で使われる抗生物質の販売はEU全体で低下した

【EFSA】
1.「専門知識の誘発のかじ取り」、「EFSAの管理用リスク評価における専門知識誘発ガイダンスの利用」、「専門知識誘発のためのシェフィールド協定の実施」についての教育課程
2.食品酵素関連
3.健康強調表示関連
4.香料グループ評価
5.農薬関連
6.飼料添加物関連

【HM Treasury】
1.2018予算 使い捨てプラスチック

【DEFRA】
1.政府はプラスチックのストロー、綿棒、かくはん棒を禁止する計画を発表

【NHS】
1.Behind the Headlines

【BfR】
1.食品中の混合物質は個々の物質よりも危険?

【RIVM】
1.放射線リスクの一般の認識:公衆とのコミュニケーションにおける意味

【FDA】
1.FDAはゴマアレルギーと食品表示について情報募集
2.FDAの植物と動物のバイオテクノロジー革新推進のための新しい計画についてFDA長官Scott Gottlieb, M.D.と長官代理Anna Abramの声明
3.FDAは義務的リコール権限についてのガイダンスを最終化
4.FDAは生産物安全性規則ガイダンス案について議論する4回の公聴会を開催する
5.FDAは栄養表示について二つのガイダンスを発表
6.警告文書

【USDA】
1.Suzanna’s Kitchen社は未承認物質を含むため家禽製品をリコール

【FSANZ】
1.食品基準ニュース 2018年10月号
2.食品基準通知

【APVMA】
1.2018年10月議会評価開会挨拶- Chris Parker博士

【TGA】
1.国際機関が偽の医薬品を取り締まる
2.安全性警告

【ACT Health】
1.購入者は注意:キャンベラ住人にスポーツサプリメントの危険な及び未知の物質に警告

【MPI】
1.Jimmy’s ブランドのパイ

【香港政府ニュース】
1.台湾政府より‐ 台湾の基準に違反する濃度の着色料Sudan IVが米国から輸入した「SPICE HUNTER 卡宴辣椒粉 (SH01171 081057-011713 RED PEPPER CAYENNE, (POWDER)) 」から検出された

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2.SBS、有名キッズカフェ「ウジ虫うようよケチャップ」申告に「みんな知らんふり」報道関連
3.聯合ニュースTVが報道した「食品製造機に工業用潤滑油もOK? 知らんふり」の記事に関連
4.食品中の糖、ナトリウムを正確に知って選択して食べてください
5.食品医薬品安全処、輸入食品の安全管理のためのコミュニケーションの場作り
6.農薬PLS施行準備の残留許容基準の設定を拡大

【FSSAI】
1.野菜や果物のシール

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(EurekAlert)牛乳中エストロゲンは成人の健康に脅威となることはありそうにない
・(EurekAlert)経口クルクミンは血管手術後の炎症削減に何の利益もない
・(ProMED-mail)農薬中毒 フランス:(ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏)農場労働者
・(ProMED-mail)メラトニン中毒 米国:(オハイオ)学生