国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.18(2018.08.29)を発表した。
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【米国】七面鳥関連の多剤耐性サルモネラ
米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)および複数州の公衆衛生・食品規制当局は、七面鳥生肉製品に関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Reading)感染アウトブレイクを調査している。
患者の発症日は2017年11月20日~2018年6月29日である。患者の年齢範囲は1歳未満~91歳で、情報が得られた患者78人のうち40人が入院したが、死亡者は報告されていない。
患者に対し、発症前1週間の食品喫食歴およびその他の曝露歴に関する聞き取り調査が実施された。既に聞き取りが行われた患者61人のうち37人が、購入した七面鳥生肉(ひき肉、カット肉、丸鶏など)の調理または料理の喫食を報告した。患者が購入したと報告した七面鳥生肉のブランド名や購入店舗はさまざまであった。
アウトブレイク株のWGS解析の結果、患者28人および食品・動物40検体由来の計68株については抗生物質耐性の存在が予測されなかった。しかし、患者由来の33株および食品・動物検体由来の49株は、アンピシリン、ストレプトマイシン、スルファメトキサゾール、テトラサイクリン、ゲンタマイシンおよびカナマイシンのうちの一部もしくはすべてに耐性を示す遺伝子を有していた。
これらの抗生物質は通常はサルモネラ感染症の治療には用いられないため、この耐性は大多数の患者の治療に使用される抗生物質の選択に影響を及ぼすものではないと考えられる。
消費者は、七面鳥生肉には細菌汚染の可能性があることを認識すべきで、これらの製品からのサルモネラ感染を防ぐ手順に常に従うべきである。
(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)
食品安全情報へのリンク
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(微生物)No.18(2018.08.29)
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2018/foodinfo201818m.pdf
今号の目次
【汎アメリカ保健機構(PAHO)】
1. コレラの流行に関する更新情報(2018年8月6日付)
【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 七面鳥生肉製品に関連して複数州にわたり発生している多剤耐性サルモネラ(Salmonella Reading)感染アウトブレイク(初発情報)
2. マクドナルドの店舗で販売されたサラダ製品(Fresh Express Salad Mix)の喫食に関連して米国の複数州にわたり発生している2018年のサイクロスポラ症アウトブレイク(2018年8月23日、16日付更新情報)
【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)
【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. 食品リスクの認識と評価(第7回BfR夏季アカデミー開催)
【オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)】
1. 食品関連病原体による疾患の実被害(オランダ、2017年)
【デンマーク国立血清学研究所(SSI)】
1.2016~2017年のデンマークのサルモネラ感染症
【ProMed mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報