国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.06(2018.03.14)を発表した。
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【カナダ/米国】ロメインレタス関連とされたO157感染アウトブレイクは収束
カナダ公衆衛生局(PHAC: Public Health Agency of Canada)は、2017年11月~12月初旬に発生した大腸菌(STEC)O157:H7感染アウトブレイクについて、2018年2月9日に情報を更新。この中に新規患者の報告はなく、本アウトブレイクの調査は終了した。
本アウトブレイクでは東部5州から計42人の大腸菌O157感染患者が報告された。患者の発症日は2017年11月~12月初旬で、17人が入院し、1人が死亡した。
患者の大多数が発症前にロメインレタスを喫食したことを報告した。カナダ食品検査庁(CFIA)は公衆衛生当局と協力し、患者が曝露したロメインレタスの出荷元を特定するための調査を行った。また、汚染源特定のための食品安全調査の一環として、CFIAはさまざまなロメインレタス検体の大腸菌汚染検査を実施したが、検査した検体はすべて陰性で、汚染源は特定されなかった。
米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)のPulseNet(食品由来疾患サーベイランスのための分子生物学的サブタイピングネットワーク)は、カナダ公衆衛生局(PHAC)が本アウトブレイクを発表した2017年12月11日、米国内で計5人のSTEC O157:H7感染患者からなるクラスターが発生していることを探知した。
2018年1月25日までに、STEC O157:H7アウトブレイク株感染患者が15州から計25人報告された。患者の発症日は2017年11月5日~12月12日であった。患者9人が入院し、カリフォルニア州の患者1人が死亡した。
12月28日までに米国の患者13人の聞き取り調査が行われ、13人全員がさまざまな種類の葉物野菜の喫食を報告した。患者の56%は具体的にロメインレタスの喫食を報告した。この数値は、FoodNet(食品由来疾患アクティブサーベイランスネットワーク)による健康な人に対する調査(https://www.cdc.gov/foodnet/surveys/FNExpAtl03022011.pdf)で回答者の46%が調査前1週間にロメインレタスを喫食したと報告した結果と比べ有意に高いわけではなかった。この結果にもとづき、本アウトブレイクで患者の方が健康な人に比べロメインレタスを喫食した可能性が高いとは言えないと結論付けられた。
アウトブレイクは、可能性の高い感染源の特定に必要な十分な情報量が得られる前に終息することがときどきある。公衆衛生当局は個々のアウトブレイクを徹底的に調査しており、調査および迅速な解決のための新しい方法の開発に継続的に取り組んでいる。
(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)
食品安全情報へのリンク
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(微生物)No.06(2018.03.14)
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2018/foodinfo201806m.pdf
今号の目次
【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. チキンサラダの喫食に関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Typhimurium)感染アウトブレイク(2018年3月8日付更新情報)
2. クラトム(kratom)の摂取に関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella I 4,[5],12:b:-)感染アウトブレイク(2018年3月2日付更新情報)
3. 葉物野菜に関連して複数州にわたり発生した志賀毒素産生性大腸菌O157:H7感染アウトブレイク(最終更新)
【カナダ公衆衛生局(PHAC)】
1. 公衆衛生通知:ロメインレタスに関連して発生した大腸菌感染アウトブレイク(最終更新)
【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)
【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. 欧州連合(EU)域内の人獣共通感染症、その病原体および食品由来アウトブレイクの傾向と感染源に関する年次要約報告書(2016年)
【デンマーク国立血清学研究所(SSI)】
1. デンマークにおける2017年の感染症
【ProMed mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報