寄付でも衛生とトレサは必要

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.23(2017.11.08)を発表した。また、EU食品寄付ガイドラインを食品安全情報(化学物質)No.23(2017.11.08)別添として発表した。

注目記事

【FDA】大豆タンパク質が心疾患のリスクを減らすという健康強調表示の取消しを提案

米国食品医薬品局(FDA)のSusan Mayne博士(食品安全・応用栄養センター局長)が、大豆タンパク質と冠動脈性心疾患リスクに関する健康強調表示を取り消す規則を提案すると声明した。1999年にこの強調表示が認可されて以降に発表された多くの研究において、大豆タンパク質と心疾患の関係に関して一貫性のない知見が示されてきており、健康強調表示を取り消す規則を提案する必要があると判断した。

FDAは、この規則を完成させた場合、大豆タンパク質を食べることと心疾患のリスク低減の関連を裏付ける十分なエビデンスがある場合に限り、限定的健康強調表示の利用を許可する意向である

※ポイント:FDAの健康強調表示は、専門家が確実な科学的エビデンスがあると合意した場合にのみ認可される表示で、現在は12件のみが認められています。そのうち1件について初めて削除の提案がなされたというニュースです。一方、限定的健康強調表示はいくつかの科学的エビデンスがあれば表示できるようになるものですが、強調表示の科学的エビデンスのレベルを正確に理解できるような表示(例:○は△のリスクを低減する可能性があるが、決定的ではない)が必要です。

【EFSA】欧州人における過塩素酸塩の食事暴露評価

欧州食品安全機関(EFSA)は、主に欧州16カ国の政府機関が提供した18,217件の分析結果のデータセットをもとに、ヒトにおける過塩素酸塩の暴露評価を行った。

※ポイント:過塩素酸塩は葉菜類や果実などの食品や水、環境に広く存在する物質です。甲状腺のヨウ素の取り込みを可逆的に抑制するとして、多量摂取によるリスクが注目されているので各国でモニタリングが継続されています。

【別添】EU食品寄付ガイドライン

食品寄付に係わるEU法規を明確にし、現行規制の枠組みの中で食品分配をやりやすくするためのガイドラインを発表した。とくに次の2つの達成を目的にしている。

  • 余剰食品の提供者と受領者による法規の遵守を推進すること
  • 規制機関による共通解釈を促進すること

※ポイント:

食品ロスを減らす取り組みが先進国で進められています。このガイドラインはEUの食品事業者が食品寄付をする上で守るべき内容が説明されています。その内容は、通常の食品製造・販売で守るべきこと(安全性、衛生管理、履歴管理、それらの検証など)は実施することをEU域内の共通の原則として、各加盟国が自国の状況を踏まえて各々に関連規則やガイドラインを作成することを勧めています。

【EFSA】ヒトと食料生産動物における抗菌剤耐性と抗菌剤消費の状況調査で用いられる成績指標のリストについてのECDC、EFSAおよびEMA共同の科学的意見

EU加盟国のデータに基づき、EUで統一された成績指標のリストを確立した。これらの指標は、各加盟国が自国のAMR低減状況を評価する際に役立つものである。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.23(2017.11.08)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2017/foodinfo201723c.pdf
食品安全情報(化学物質)No.23(2017.11.08)別添/EU食品寄付ガイドライン
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2017/foodinfo201723ca.pdf

今号の目次

【WHO】
1. 国際がん研究機関

【FAO】
1. コーデックス委員会:農業と貿易におけるコーデックス委員会の役割

【EC】
1. EU加盟国はもっと持続可能な農薬の使用をすべきである
2. 欧州における動物用抗生物質の販売量、2011年から2015年の間に13%減少
3. 査察報告書
4. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. 欧州人における過塩素酸塩の食事暴露評価
2. フラン及びそのメチル化体である2-メチルフランおよび3-メチルフランの経口毒性に関する重要文献の確認と収集
3. 食品中のフランとメチルフランの存在に関する公衆衛生リスク
4. ヒトと食料生産動物における抗菌剤耐性と抗菌剤消費の状況調査で用いられる成績指標のリストについてのECDC、EFSAおよびEMA共同の科学的意見
5. 新規食品関連
6. 食品酵素関連
7. 遺伝子組換え関連
8. 使用後のPETを食品と接触する材料へリサイクルするために使用される”Krones”プロセスの安全性評価

【FSA】
1. 北アイルランドにおける10回目の食品調査の検体収集についての報告
2. オペレーションOPSON 2016
3. 貝を捕獲するための区分されたそれぞれの水域を能動的に管理するシステム
4. LidlはSol & Marひまわり油漬けイカ製品に塩結晶を含むため回収

【COC】
1. 2017年10月9日の追加合同委員会

【NHS】
1. 朝食にキノコを食べることはより満腹感を得るのに役立つかも知れない

【ANSES】
1. スルホキサフロル:ANSESは入手した新データを精査する
2. 大気中の農薬の全国調査実現に関するANSESの助言
3. 空気清浄機:その効果は示されていない
4. ANSESは内分泌かく乱物質ではないかと疑われるいくつかの化学物質の専門家評価を行った

【FDA】
1. ハロウィンでブラックリコリスをおねだり
2. ハロウィンの安全性:衣装、キャンディおよびコンタクトレンズ
3. FDAが「トライヤー」と食品試料採取でどれほど悲劇を防いでいるか
4. Susan Mayne博士(食品安全・応用栄養センター局長)の声明、大豆タンパク質が心疾患のリスクを減らすという健康強調表示の取消しを提案
5. 自分の健康のための決断:必要な情報を集める
6. 警告文書

【NIH】
1. ビオチン 消費者向けファクトシート

【MPI】
1. 貝のマリンバイオトキシン警告-Taranaki/Waikato海岸線

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 食医薬分野の危機コミュニケーション能力強化のための国際シンポジウムの開催
3. 子供嗜好食品における栄養成分などの表示遵守の検査を実施する
4. 子供嗜好食品の品質認証基準の一部改訂告示(案)の行政予告通知

【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(EurekAlert)研究はヒ素が暴露が終わって何十年も経ってからがんを誘発できることを示す
・(EurekAlert)科学者がアフラトキシン耐性ピーナッツを開発
・(EurekAlert)除草剤に含まれる化合物、グリホサートへの暴露が23年で増えた
・(EurekAlert)一部の乳児用米シリアルはメチル水銀濃度が高い

別添

【EC】
1. EU食品寄付ガイドライン