フィプロニル事件の影響は大

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.18(2017.08.30)を発表した。

注目記事

【欧州各国/MFDS】鶏卵及び鶏肉中のフィプロニル関連

●英国食品基準庁(FSA):回収製品リストを随時更新するとともにQ&Aを発表した。加工製品の回収については、問題の可能性のある卵の量が製品の15%以上の場合には回収するとしている。食品事業者は、これに従うか、あるいは使用した卵がEUの最大残留基準に従っていることを示すことが求められている。FSAは今回の問題について、健康リスクについては全く心配していない。 ●ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR):これまで急性暴露を想定し、推定される暴露量を急性参照用量(ARfD)と比較していた。しかしながら、その後の情報によるとフィプロニルの違法使用が長期間行われていた可能性があることから、鶏肉及び鶏卵を介した慢性暴露による健康リスクを評価した。先に予備的評価を行い、国内企業から得た追加データも含めて再度評価を行った。その結果、ADIを超えず健康リスクはないと考えられた。BfRは、非常に保守的に評価したため実際のリスクは計算されたよりも低いとしている。 ●フランス食品・環境・労働衛生安全庁(ANSES):欧州で報告された鶏卵中のフィプロニルの最大濃度に基づき、各年齢群がARfDを超過せずに喫食できる鶏卵数を示した。慢性暴露によるリスク評価は行わなかったが、最大残留基準を守ることで懸念されるリスクを防ぐことができるとしている。 ●韓国食品医薬品安全処(MFDS):EUで鶏卵からフィプロニルが検出されたことを受けて韓国国内の産卵鶏農場の検査を実施したところ、複数の農場の鶏卵からフィプロニルやビフェントリン等が検出され、関係製品の回収・廃棄が行われた。MFDSはトップページを変更して卵の専用サイトを開設し、連日、政府の対応を発表している。 ※ポイント:今週号も鶏卵及び鶏肉中のフィプロニルに関する記事が多く、この問題がまだ沈静化していないことがわかります。前号から新しい点は、BfRが急性暴露に加えて慢性暴露についてもリスク評価を実施したことと韓国MFDSの記事が追加されたことです。韓国では、EUでの騒動が発端となり、輸入品に限らず自国農場を検査してみたら違反が見つかりEUとは関係なく大騒ぎになりました。 政府の対応が連日発表されていますので、農場関係者の方も政府関係者の方も、これを読んで、農薬の違法使用が食品市場にどれほど大規模な影響と損害を及ぼし得るのか、事後対応がいかに大変なのかを再認識して欲しいです。

【MFDS】食品医薬品安全処、異葉牛皮消・白首烏の安全性評価の結果発表

2015年に白首烏を原料にした健康機能食品に異葉牛皮消が混入された事実が発覚したことを受けて、白首烏製品に対する国民の不安を解消する目的で毒性試験と評価を実施した。毒性試験は、白首烏と異葉牛皮消の各々の熱水抽出物又は粉末を試験物質として投与した。その結果、白首烏の熱水抽出物で製造した健康機能食品と一般食品は安全であるが、熱水抽出物ではない形態で加工した白首烏製品(粉末・錠剤など)については、表示された摂取方法で毎日一生涯最大量を摂取すると仮定すると、リスクとなる懸念がある。 MFDSは、現在は制限なく使用できる白首烏について、今後は熱水抽出物のみを食品原料に使用可能にするため、2018年上半期までに「食品の基準及び規格」を改正して施行する予定である。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.18(2017.08.30)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2017/foodinfo201718c.pdf

今号の目次

【WHO】 1. 国際がん研究機関(IARC) 2. ファクトシート:アスベスト:アスベスト関連疾患を無くす 【FAO】 1. 無視されてきた、あまり利用されてこなかった作物種を促進する 【EC】 1. 査察報告書(Food and Feed Safety Audit Report) 2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF) 【EFSA】 1. 飼料中のゼアラレノンとその修飾型の存在に関する動物の健康リスク 2. 食品添加物として使用する際のアナトー着色成分ビキシン、ノルビキシン(E 160b)の暴露評価 3. リボフラビンの食事摂取基準についての食品、栄養、アレルギーに関するEFSAのパネル(NDA)の科学的意見案についてのパブリックコメント募集結果 4. T-2及び HT-2毒素へのヒト及び動物の食事暴露 5. EFSAの危機管理の必要性を扱う複数年時(2017-2020)のトレーニングパッケージの提案 6. 遺伝子組換え関連 7. 飼料添加物関連 【FSA】 1. 卵のフィプロニル更新 2. 新規食品申請 【COT】 1. COT/COM/COC年次報告書 【NHS】 1. Behind the headlines 【ASA】 1. ASA裁定 【BfR】 1. フィプロニル汚染食品のより長期摂取による健康リスクの初期予備的評価 2. フィプロニルで汚染された食品の長期摂取が引き起こす健康リスク評価の改訂 【RIVM】 1. 化学物質規制をバイオベースの経済に拡大する 2. 廃棄物中の極めて懸念の高い物質の濃度規制値 【ANSES】 1. フィプロニルで汚染された卵の摂取に関する健康リスク評価 【DGCCRF】 1. フィプロニル汚染卵 【EVIRA】 1. 企業は卵と卵製品を追跡する努力を積極的に行う 【FDA】 1. FDAは事業者がFSMAの要求に従うのを援助するために食品安全計画ビルダーを発表 2. FDAはFSMA意図的異物混入規則のもとでの小規模事業者のためのコンプライアンスガイドを発表 3. 警告文書 【CDC】 1. フィールドからの報告:戸外で堆肥ガスに暴露されたあとの農場労働者の死亡-ウィスコンシン、2016年8月 【USDA】 1. お弁当:手を抜くが安全性については手抜きしない 2. USDAは新しいAPHIS法令遵守データベースと検索ツールを発表 【NIH】 1. ビオチン 【FTC】 1. 3つのダイエタリーサプリメント販売業者がFTCとメイン司法長官に罰金を払う 【CFIA】 1. 2017-08-16 食品安全検査報告 【FSANZ】 1. 食品基準通知 2. 表示されていないピーナッツのため豆ペーストリコール-さらなるリコールの可能性 【APVMA】 1. 未登録動物用化学製品を販売した企業に重い罰金 2. 科学週間とAPVMAのレギュラトリーサイエンスを祝福する 3. 運営文書 【香港政府ニュース】 1. EUからの輸入卵販売保留 【MFDS】 1.日本産輸入食品の放射能検査の結果 2. 食品医薬品安全処、異葉牛皮消・白首烏の安全性評価の結果発表 3. ベンゾピレンが基準を超過して検出された「エゴマ油」製品の回収措置 4. 卵のフィプロニル関連記事(4-1. 説明資料、4-2. 釈明資料、4-3. 政府発表) 【AVA】 1. RIBENA® Concentrate の自主回収 【FSSAI】 1. FSSAIは食品の安全性と衛生と健全性に焦点をあてたインドの豊かな文化遺産を保存するプラットフォームを作る 【その他】 ・食品安全関係情報(食品安全委員会)から ・(ProMED-mail)食中毒、致死 ガーナ:(VOLTA)フグ疑い ・(ProMED-mail)シガテラ魚中毒-ベリーズ:バラクーダ、警告 ・(EurekAlert)有毒ホルムアルデヒドは我々の細胞内で作られる、科学者が発見 ・(EurekAlert)アナフィラキシー様の食品反応の診断に関するクレームラインは2007年から2016年の間に377%増加した ・(EurekAlert)トウモロコシのジャンプする遺伝子を追跡する ・(EurekAlert)研究:高用量ビタミンB摂取と肺がんに明確な関連 ・(EurekAlert)パキスタンのインダス平原の地下水に高濃度のヒ素汚染が発見される ・(EurekAlert)Guelphの研究が絶滅危惧のサメやエイが世界的食品市場でさらに脅かされていることを示す