E型肝炎の防止策は加熱だけ

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.15(2017.07.19)を発表した。

注目記事

【欧州食品安全機関】食品由来E型肝炎の公衆衛生リスク

 欧州食品安全機関(EFSA: European Food Safety Authority)の報告。E型肝炎ウイルス(HEV)は、欧州連合/欧州経済領域(EU/EEA)加盟諸国においてヒトの重要な感染症の原因病原体である。HEV感染報告患者数は過去10年間に全体で10倍に増加し、この10年間で急性の臨床患者が21,000人以上および死亡者が28人報告されている。

 欧州では食品を介した伝播がHEVの主要な感染経路であると考えられ、豚およびイノシシが主な感染源である。

 現時点で、HEV保有動物由来の食肉、レバー、およびその他の製品の喫食によるHEV感染への効率的な対策は、十分な加熱処理のみである。豚肉、イノシシ肉、および鹿肉製品の生での喫食は避けるべきである。

 定量的・定性的HEV検出法の開発、ブタ群でのHEVの疫学および制御に関するさらなる研究が必要である。

【アイルランド食品安全局】E型肝炎を防ぐため豚肉を十分に加熱するように

 アイルランド食品安全局(FSAI:Food Safety Authority of Ireland)の注意喚起。アイルランド食品安全局(FSAI)は、HEV感染を避けるため豚肉を十分に加熱すべきであると助言しており、これはEFSAのこの科学的意見と一致している。

 アイルランドでは、E型肝炎は2015年末に届け出義務疾患となった。暫定データでは、2016年にアイルランド保健サーベイランスセンター(HPSC)に報告されたE型肝炎患者は90人であった。

 FSAIは食品由来E型肝炎アウトブレイクの発生を認識していないが、EFSA報告書の結論を考慮すると、アイルランドで報告された患者90人のうちの何人かは加熱不十分の豚肉または豚レバーを喫食したことで感染した可能性がある。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.15(2017.07.19)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2017/foodinfo201715m.pdf

今号の目次

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 小規模飼育(Backyard Flocks)の生きた家禽類に関連して複数州にわたり発生している2017年の10件のサルモネラ感染アウトブレイク(2017年7月13日付更新情報)

【 Morbidity and Mortality Weekly Report(CDC MMWR))】
1. 主に食品を介して伝播する病原体による感染症の罹患率と動向、および培養非依存的診断検査例の増加のサーベイランスへの影響 - 食品由来疾患アクティブサーベイランスネットワーク(FoodNet)の米国内10カ所のサイトでのデータ(2013~2016年)

【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. 食品由来病原体としてのE型肝炎ウイルス(HEV)に関連する公衆衛生リスク

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)

【アイルランド食品安全局(FSAI)】
1. E型肝炎ウイルス感染を防ぐため豚肉を十分に加熱するようアイルランド食品安全局(FSAI)が注意喚起

【オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)】
1. EU加盟国リファレンス検査機関の比較調査「食品VII(2015年)」:全卵液中のサルモネラの検出

【ProMed mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報