妊婦のサプリ摂取リスクあり

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.15(2017.07.19)を発表した。

注目記事

【EU】内分泌攪乱物質:市民と環境を守る方向に大きな一歩

加盟国代表が投票により、植物保護製品分野での内分泌攪乱物質の同定のための科学的基準に関する欧州委員会の提案を採用した。承認された植物保護製品規制での基準はWHOの定義を基本にしている。それは内分泌攪乱作用があることがわかっている(known)あるいはあると想定される(presumed)ものを同定している。また内分泌攪乱物質と同定するためには、動物実験やin vitro、in silicoの研究を含むすべての妥当な科学的根拠を考慮し、根拠の重み付けアプローチを採用すべきとしている。同じ基準が殺生物剤(バイオサイド)にも採用されるだろう。

※ポイント:EUでの内分泌攪乱物質への取り組みが、さらに進んだようです。これまでは内分泌攪乱物質の定義や判断基準について提案の段階でしたが、今回は決定です。次の段階は、この基準をもとにどのような法として採択するかです。植物保護製品及び殺生物剤の新規の評価及び再評価に内分泌攪乱物質に関する項目が正式に含まれるようになり、そのためのデータ提出も要求されることになるでしょう。

【ANSES】食品サプリメントと妊婦:ANSESは必要性が認められないのに、複数のビタミンとミネラルを組み合わせて摂ることに対して警告する

フランス食品・環境・労働衛生安全庁(ANSES)の国家ニュートリビジランス計画では、妊婦用食品サプリメントの絡んだ新生児の高カルシウム血症と先天的な甲状腺機能低下症の事例が報告されている。これらの報告を受けて、ANSESは妊婦用のビタミンDやヨウ素を含む食品サプリメント摂取に関連するリスクを評価した。その結果に基づく助言として、ANSESは、必要性が認められないのに妊婦がビタミンとミネラルを複数摂取することに対して警告する。

※ポイント:国家ニュートリビジランス計画というのは、消費者や医療従事者からの自主報告の形式ですが、フードサプリメントや新規食品、強化食品・飲料品などの摂取による有害影響の詳細データを医薬品の副作用報告と同じように収集しようという取り組みです。そのデータ分析によって見えていなかった健康被害と原因が分かるようになり、これまで、紅麹、p-シネフリン含有減量用サプリメント、エナジードリンクなどの摂取に関する注意喚起につながっています。

【EFSA】EFSAは食品に添加されるグルタミン酸の安全性をレビュー

欧州食品安全機関(EFSA)は、食品添加物として使用されるグルタミン酸とグルタミン酸塩の安全性を再評価した。グルタミン酸とその塩(E620-625)は、グルタミン酸塩類と総称されるが、EUでは食品添加物として認可されている。再評価の結果、EFSAは6つのグループ許容一日摂取量(ADI)として30mg/kg体重/日を導出した。暴露評価の結果、高暴露の全集団においてADIを大幅に超えていた。この科学的情報は欧州委員会及び加盟国のリスク管理者に提供される。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.15(2017.07.19)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2017/foodinfo201715c.pdf

今号の目次

【WHO】
1. ファクトシート:食品中残留農薬、食品添加物

【FAO】
1. コーデックス委員会

【EC】
1. EUと日本は経済連携協定に基本合意
2. 内分泌攪乱物質:市民と環境を守る方向に大きな一歩
3. おもちゃのアルミニウムについてパブリックコメント募集
4. インターネットで販売されているある種の食品の公的コントロールの協調的管理計画に関する委員会勧告案
5. AMR:EUでの抗生物質の7%は処方なしで使用されている
6. 査察報告書:ドイツ、リトアニア
7. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. EFSAの次のBPA再評価についての意見をどうぞ
2. 化学物質によらない方法を含む他の利用可能な手段に含むことのできない植物の健康への深刻な危険を管理するための除草剤としてのイソキサフルトールの必要性に関するデータ評価
3. 農薬:経皮吸収に新しいデフォルト値提案
4. EFSAは食品に添加されるグルタミン酸の安全性をレビュー
5. 食品添加物としてのタラガム(E 417)の再評価
6. 食品添加物としてのコンニャクガム(E 425 i)及びコンニャクグルコマンナン(E 425 ii)の再評価
7. 食品添加物としてのペクチン(E 440i)及びアミド化ペクチン(E 440ii)の再評価
8. ヒトと動物の麦角アルカロイドへの食事暴露
9. 汚染物質と食品添加物のデータ提出に求められる特別な要件
10. 危機管理に関するEFSA2017ワークショップ―植物の健康
11. 動物実験の必要性を減らす可能性のある新しいツール
12. 遺伝子組換え関連
13. 農業灌漑と帯水層再補充への水再利用に求められるEUの提案する最低限の品質についての科学的技術的援助要請
14. パブリックコメント募集:抗酸化物質、酸化的傷害と心血管系の健康に関連する健康協調表示のガイダンス更新

【FSA】
1. 新規食品関連
2. 未承認食品添加物のためHealthAid Concentrated AIR-OXY(安定化好気性酸素)リコール

【DEFRA】
1. PRiF:食品中残留農薬:2016年四半期報告
2. PRiF:食品中残留農薬:学校果物野菜計画2016-2017

【NHS】
1. Behind the headlines

【BfR】
1. 実験動物の保護支援:動物を少なくして苦しみを減らしつつよりよい結果
2. 世界中のリスクの専門家のさらなる教育とネットワーク形成
3. グリホサート:EFSAと ECHAがChristopher Portierに反応する
4. 食品中の汚染物質:出来るだけ早くリスクを同定し評価する

【RIVM】
1. 2015年に除外に登録された農場の農業と水質
2. 血中PFOA測定:オランダ、DordrechのDuPont/Chemours周辺住民の血清
3.年次報告書2016オンライン発表
4. REACH事務局2016年次報告:化学物質の面倒をみる
5. 食品政策のための包装の表面への栄養ロゴの価値:独立した包装表面ロゴ委員会による助言

【ANSES】
1. 食品サプリメントと妊婦:ANSESは必要性が認められないのに、複数のビタミンとミネラルを組み合わせて摂ることに対して警告する

【FSAI】
1. 香料物質2-トランス-4,5-エポキシデセナール(FL: 16.071)を規則1334/2008/ECの香料物質ユニオンリスト付属文書Iから削除

【FDA】
1.「対話」シリーズ:消費者-人々と動物の両方-を守る専門家の知見
2. リコール情報
3. 警告文書

【NIH】
1. 運動能力に関するダイエタリーサプリメント

【FSANZ】
1. 食品基準通知
2. 食品基準改定No. 171

【MPI】
1. Akaroa海岸公衆衛生警告-貝のマリンバイオトキシン

【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 食品に使用することができない主な農林産物ポスター配布通知
3.「ラーメン商品でGMO検出」関連の調査結果
4. リコール制度、消費者に優しい画期的な改善!
5. 2017年の後半期食・医薬品安全政策はこうように変わります
6. 食品用金属製キッチン用品の正しい使い方!

【FSSAI】
1. インドの食品と栄養の風景を変える15の重要分野についてのFSSAIの報告書