国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.11(2017.05.24)を発表した。
注目記事
【EFSA】汚染物質発生データについての2016年データ収集の概要
EFSAは食品および飼料中の汚染化学物質の実態データを毎年、継続的に収集し、データベースに蓄積している。今回、2015年にサンプリングした食品および飼料中化学汚染物質の分析結果の2016年収集分を解析した。全体として837,154件の分析結果がEFSAへ提出された。この分析は様々な欧州団体が集めた124,987件の検体について実施された。本報告書には、物質ごとに、データの提供国、食品(FoodEx1)および飼料分類とその内訳をまとめている。
※ポイント:対象となった汚染物質の種類を見ると、EFSAが非常に多くの種類についてデータを収集して蓄積していることが分かります。このように汚染物質の実態データを統一の形式で継続的に蓄積していることがEFSAのリスク評価の基盤となっています。
【ANSES】ミネラルオイルによる食品汚染を減らすためにANSESは勧告を発表
ミネラルオイル(ミネラルオイル炭化水素- MOHs)はミネラルオイル飽和炭化水素(MOSHs)とミネラルオイル芳香族炭化水素(MOAHs)から成る原油由来の複合混合物である。それらは紙のインクや接着剤、段ボール製食品梱包材に存在するため、これらのミネラルオイルは食品に移行することがある。特定のMOAHsに遺伝毒性と変異原性の性質が示されていることから、フランス食品・環境・労働衛生安全庁(ANSES)はこれらの化合物による食品汚染の低減に関する勧告を発表した。
※ポイント:欧州ではミネラルオイルによる食品汚染が食品安全上の問題の一つとして考えられていて、EFSA(2012)の評価でもMOAH暴露について懸念が示されています。特に暴露に大きく寄与しているのが食品包装へのリサイクル材の使用なので、ANSESもリサイクルされる雑誌や新聞、他の印刷紙をMOAHフリーにすること、MOAH汚染に関連するリサイクル工程や低減技術に関する研究を勧めています。
【USDA】USDAは未承認GEペチュニアの流通を確認
USDAの動植物衛生検査局(APHIS)は、最近オレンジ、赤、紫色の花を作るために遺伝子組換え(GE)されたいくつかのペチュニア品種が、アフリカ、アジア、中央アメリカ、欧州、南米、オーストラリア、イスラエル、メキシコから米国に輸入されて7 CFR part 340で求められる適切な認可を得ずに州をまたいで流通していたことを知った。APHISはブリーダーや栽培者と緊密な連絡をとって販売取り下げを行っている。消費者は対応する必要はない。
※ポイント:食品ではないですが、複数国で流通していたことが確認されて世界各地で販売停止などの対応が報告されているので例外的に取り上げました。ヒトと環境へのリスクはないとしています。国内での対応については次のサイトをご参照ください。
- ※農林水産省・環境省:未承認の遺伝子組換えペチュニアの取扱いについて
- http://www.maff.go.jp/j/press/syouan/nouan/170510.html
(安全情報部第三室)
食品安全情報へのリンク
- 食品安全情報
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
- 食品安全情報(化学物質)No.11(2017.05.24)
- http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2017/foodinfo201711c.pdf
今号の目次
【WHO】
1. 国際がん研究機関(IARC)
【EC】
1. 消費者安全性に関する科学委員会(SCCS):方法論に関するワーキンググループの2017年5月3日の会合の議事録
2. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)
【EFSA】
1. 汚染物質発生データについての2016年データ収集の概要
2. 食品添加物としての脂肪酸(E 570)の再評価
3. 新しい食品酵素暴露ツールは評価の道を開く
4. 予定しておいて-リスク評価における根拠の統合についてのEFSA/EBTC合同科学会議:リンゴとオレンジを組み合わせる科学-10月25-26日、リスボン
5. EFSAはタンパク質含有量が低いフォローアップミルクについての助言を発表する
6. タンパク質加水分解物から作られた乳児用および/またはフォローアップミルクの認可申請の準備と提出のための科学的技術的ガイダンス
7. タンパク質加水分解物から製造された乳児用および/またはフォローアップミルクの認可申請の準備と提出のための科学的技術的ガイダンス案についてのパブリックコメント募集結果
8. 物理的化学的特性と分析法において一般的に繰り返される問題についての農薬ピアレビュー会議の結果
9. 健康強調表示
10. 新規食品関連
11. 食品と接触する物質関連
12. 遺伝子組換え関連
13. 香料グループ評価
14. 主な遺伝毒性エンドポイントを含む農薬とその代謝物質に特定したデータベースの編集
15. 科学的な協力についてのEFSAの2016年年次報告
【FSS】
1. FSSのHebridean(ヘブリディーズ諸島産)シーソルトに関する声明
【NHS】
1. Behind the headlines
【BfR】
1. 抗菌剤耐性:学際的な努力が成功
【RIVM】
1. オランダの飲料水生産におけるリスクアナリシスとリスク管理
2. オランダの鉛の食事暴露
3. 鉛及びカドミウムのバイオモニタリング:ヒト暴露と影響評価に価値を加えるかについての予備的研究
4. 食品添加物亜硝酸塩と硝酸塩の摂取量評価
5. 住民の血液分析は長期PFOA暴露を確認
【ANSES】
1. ミネラルオイルによる食品汚染を減らすためにANSESは勧告を発表
2. ANSESは農薬への有害反応の報告を促進する
【FDA】
1. FDAはある種の果物ジュースや野菜ジュースを食用色素として認可するガイダンス案を取り下げる
2. 食品中過塩素酸塩の調査データ:2005-2006 及び2008-2012トータルダイエットスタディ結果
3. 海外供給者認証計画(FSVP)規則についてさらなる情報を探している?
4. FDAはある種の鉛検査の結果が不正確であるリスクについてアメリカ人に警告
5. リコール:Dynamic Technical Formulations, LLCはアンダリンとオスタリンが存在するとしてTri-Ton の全国的リコールを発表する
6. FSMA共同トレーニングフォーラム:規制の前と間に教育する
【CDC】
1. ホームデイケアセンターでの水銀中毒-2015年フロリダ、Hillsborough郡
【USDA】
1. USDAは未承認GEペチュニアの流通を確認
【CPSC】
1. Nature’s Truthが鉄サプリメントボトルが子どもが開けられないようする規制に従わないためリコール
【Health Canada】
1. オンタリオ、ソーンヒルのYonge and John Medical Pharmacyから未承認の精力剤製品が押収された
2. オタワのRixxx Adult Storeで販売されている未承認の精力剤が健康に深刻な影響を及ぼす可能性がある
3. 外国製品警告
【CFIA】
1. 食品リコール警告
2. 消費者向け助言:ルーピンはピーナッツアレルギーのある消費者にアレルギー反応を起こすかもしれない
【FSANZ】
1. 食品基準改定
2. 食品基準通知
3. 食品基準ニュース
【APVMA】
1. クロルピリホス化学物質レビュー
【TGA】
1. 安全性警告:Man XXX Herbal カプセル
【MPI】
1. MPIはマヌカハニーの意見募集を延長する
【MFDS】
1.日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 貝類毒素発生及び検査の現状
3. 子供の日に備え子供嗜好食品の全国一斉点検の結果
4. 食品医薬品安全処、「子供の安全食品探検隊」発足
5. 食品中の重金属(鉛、カドミウム)安全管理強化
【HSA】
1. HSAは他国の不正な健康製品に関して発表された海外警告情報を更新
【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(EurekAlert)フィラデルフィアのほとんどの家庭の台所は重大な基準違反とされるだろう
・(EurekAlert)消費者はグルテンフリー食品に誤解させられている、研究が発見
・(EurekAlert)GMOはどう規制されているあるいはいないのか(動画)
・(EurekAlert)甲状腺がんのスクリーニングは薦めない