乳用牛の多剤耐性サルモネラ

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.25(2016.12.07)を発表した。

注目記事

【米国疾病予防管理センター】乳用牛子牛との接触に関連の多剤耐性サルモネラ

 米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)は、ウィスコンシン州の保健当局・農務当局・検査機関、その他複数州の当局、および米国農務省動植物衛生検査局(USDA APHIS)と協力し、複数州にわたり発生している多剤耐性サルモネラ(Salmonella Heidelberg)感染アウトブレイクを調査している。

 疫学・追跡調査および検査機関での検査の結果は、ウィスコンシン州の家畜市場由来の乳用牛の雄の子牛が感染源である可能性が高いことを示している。乳用牛の雄の子牛は去勢していない若い雄牛で、食肉用に飼育されることが多い。

 患者に対し、発症前1週間の食品喫食歴および動物との接触歴に関する聞き取り調査が行われた。回答した19人のうち15人(79%)が乳用牛の雄の子牛またはその他の牛との接触を報告した。一部の患者は、体調不良になったのは飼育していた乳用牛の雄の子牛が疾患を発症した後、または死亡した後であったと回答した。

 WGS解析(全ゲノムシークエンシング)の結果、本アウトブレイク関連の患者15人とウシ8頭に由来する分離株に複数種の抗菌剤耐性遺伝子が特定された。この2分離株はゲンタマイシン、アジスロマイシンおよびメロペネムに感受性で、アモキシリン/クラブラン酸、アンピシリン、セフォキシチン、セフトリアキソン、クロラムフェニコール、ナリジクス酸、ストレプトマイシン、スルフィソキサゾール、テトラサイクリン、およびトリメトプリム/スルファメトキサゾールに耐性であった。シプロフロキサシンには低感受性であった。抗生物質耐性は、治療の選択肢を制限し、入院、血流感染および治療不成功のリスクの上昇に関連することが知られている。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.25(2016.12.07)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2016/foodinfo201625m.pdf

今号の目次

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 乳用牛の雄の子牛との接触に関連して複数州にわたり発生している多剤耐性サルモネラ(Salmonella Heidelberg)感染アウトブレイク(初発情報)
2. Good Earth Egg Company社製の殻付き卵に関連して複数州にわたり発生したサルモネラ(Salmonella Oranienburg)感染アウトブレイク(最終更新)

【欧州委員会健康・食品安全総局(EC DG-SANTE)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)

【Eurosurveillance】
1. イタリア南部で志賀毒素2型(Stx2)産生性大腸菌O26:H11感染に伴い地域全体にわたり発生した溶血性尿毒症症候群(HUS)アウトブレイク(2013年夏)

【英国食品基準庁(UK FSA)】
1. 英国食品基準庁(UK FSA)が抗菌剤耐性に関するエビデンスのレビューを発表
2. 食品サーベイランスサミットへの参加呼びかけ

【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. サルモネラやリステリアなどに関する新旧の食品安全問題

【デンマーク国立血清学研究所(SSI)】
1. 3種類の稀な寄生虫感染症のデンマークにおける状況

【ProMed mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報