不衛生な畑が食中毒の原因に

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.17(2015.08.19)を発表した。

注目記事

【US FDA】メキシコ産生鮮シラントロ(コリアンダー)に関する輸入警告

 米国食品医薬品局(US FDA: US Food and Drug Administration)および複数州の公衆衛生当局は、メキシコのプエブラ州産の生鮮シラントロ(コリアンダー)に関連したサイクロスポラ症アウトブレイクが米国で毎年(2012~2014年)繰り返し発生していることを明らかにしている。

 2015年7月現在、新たなサイクロスポラ症アウトブレイクが米国内で発生中であり、テキサス州保健局(TDSHS)、ウィスコンシン州保健局(DHS)および同州農務・通商・消費者保護局(DATCP)は、複数の患者クラスターに関連した疑いのある原因食品としてプエブラ州産のシラントロを特定した。

 プエブラ州の複数の施設で認められた不適切な状態には以下に挙げるものが含まれていた。

  • 畑や施設周辺に人糞やトイレットペーパーが認められる。
  • トイレ・手洗い設備の維持・備品補給(石けん、トイレットペーパー、流水、ペーパータオルなど)が不十分またはトイレ・手洗い設備自体がない。
  • 食品が接触する表面(シラントロ運搬用のプラスチック箱、シラントロをカットし束にするテーブル)の目に見える汚れと洗浄不良。
  • シラントロの洗浄などに使用する水が下水・汚水に汚染される可能性。

【PHAC】生の貝類に関連した腸炎ビブリオ

 カナダ公衆衛生局(PHAC: Public Health Agency of Canada)は、複数州の公衆衛生当局、カナダ食品検査庁(CFIA)、カナダ水産海洋省(DFO)およびカナダ保健省(Health Canada)と協力し、ブリティッシュ・コロンビア州およびアルバータ州で発生した腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)感染患者67人の調査を行っている。患者の大多数が生ガキの喫食に関連している。

 以下のような食品の安全な取り扱い方や調理法を守ることで、ビブリオ感染やその他の食品由来疾患のリスクを低下させることができる。

  • 生の貝類を喫食しない。
  • 貝類、とくにカキは喫食前に完全に加熱する。貝類は内部の温度が74℃になるまで加熱する。
  • 加熱しても殻が開かない貝類はすべて廃棄する。
  • 貝類は加熱後すぐに喫食し、食べ残しは冷蔵する。
  • 生の貝類と加熱した貝類は常に離して置く。
  • 制酸剤を服用している場合は胃酸の酸性度の低下によってビブリオ属菌の生残および増殖が起こりやすくなるため、カキなどの水産食品の喫食を避ける。
  • トイレの使用後は、必ず石けんを用いて20秒間手指を洗う。
  • 傷口や傷ついた皮膚は温かい海水や汽水、または生の貝類に接触させない。生の貝類を扱う際は保護具(手袋など)を用いる。
  • 食品を扱う前には石けんを用いて丁寧に手指を洗う。生の食品の調理後は、手指、まな板、作業台、包丁などの器具類を必ず洗浄する。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.17(2015.08.19)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2015/foodinfo201517m.pdf

今号の目次

【米国食品医薬品局(US FDA)】
1. メキシコのプエブラ州産の生鮮シラントロ(コリアンダー)に関する輸入警告(#24-23)
2. 米国食品医薬品局の食品安全チャレンジ2014 受賞者が革新的なサルモネラ検出技術を
開発

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 小規模飼育(Backyard Flock)の生きた家禽類に関連して複数州にわたり発生している
4 件のサルモネラ感染アウトブレイク(2015年7月1日付初発情報、7月31日付更新
情報)

【カナダ公衆衛生局(PHAC)】
1. 公衆衛生通知:生の貝類に関連した腸炎ビブリオ(Vibrio parahaemolyticus)感染ア
ウトブレイク
2. 公衆衛生通知:サイクロスポラ症アウトブレイク
3. 公衆衛生通知:生きた家禽のヒナとの接触に関連して発生したサルモネラ感染アウトブ
レイク(2015年7月3日、16日付更新情報、23日付最終更新)

【カナダ政府(Government of Canada)】
1. カナダ政府が食品ウイルスリファレンスセンターの設立を発表

【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. EFSA が科学的評価における不確実性に関するガイダンス案を発表

【欧州委員会健康・消費者保護総局(EC DG-SANCO)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and
Feed)

【ProMed mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報
食品安全情報(微生物)No.17 / 2015(2015.08.19)