国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.24(2014.11.26)を発表した。
注目記事
【US FDA】Solgar社が健康補助食品「エービーシードフィルスパウダー」を自主回収
米国食品医薬品局(US FDA: US Food and Drug Administration)によると、Solgar社(ニュージャージー州Leonia)は、ムコール症(mucormycosis)の原因となる可能性があるRhizopus oryzae菌(真菌)が検出されたため、予防措置としてABC Dophilus® Powder(健康補助食品)の自主回収を行っている。
病院での処置の一環として当該製品が使用された早産児(妊娠第32週未満)が胃腸ムコール症など複数の合併症を発症し、2014年10月11日に死亡した。
ムコール症は、特に早産児、乳児、小児、免疫機能が低下している人が罹患しやすい稀な感染症であるが、健康な人も罹患することがある。発症リスクが高い人が当該製品を使用していた場合には医師などの診察を受けるべきである。同社は、消費者や取引先に本製品を使用しないよう要請している。
当該製品は、薬局、小売店、卸売業者、インターネットなどを介して全米30州、英国およびイスラエルに出荷された。回収対象は、1.75オンス(50g)容器入りのABC Dophilus® Powder、UPCコード0 33984 00010 0、ロット番号074024-01R1、074024-01および074024-02、有効期限(Expiration Date)2015年7月31日の製品である。
※関連記事:食品安全情報(化学物質)No.24(2014.11.26)「回収情報:Solgar社はDophilus® PowderをClassⅠ自主回収」
【UK FSA】小児が未殺菌乳を喫飲した場合のリスク
英国食品基準庁(UK FSA: Food Standards Agency, UK)は、生乳(未殺菌乳)の喫飲に関連している可能性がある3件の大腸菌O157感染事例(インシデント)で小児5人を含む患者6人が発生したため、小児等がこのような種類の飲用乳を喫飲すべきではないとの助言を再度発表した。
今回のインシデントは3カ所の農場に関連しており、原因調査が行われている。FSAは、これらの農場による牛の飲用の未殺菌乳の販売を中止させ、一部の製品については回収を要請した。
未殺菌乳については、健康に関する注意書きを容器に表示し、殺菌処理が行われていないため有害微生物が含まれている可能性があることを消費者に示なければならない。ウェールズでは、被害を受けやすい人向けの追加の注意喚起を表示することになっている。スコットランドでは飲用の未殺菌乳の販売は禁止されている。
【US CDC】豆モヤシに関連して発生しているサルモネラ感染
米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)は、複数州の公衆衛生当局および米国食品医薬品局(US FDA)と協力し、複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Enteritidis)感染アウトブレイクを調査している。調査は継続中であるが、Wonton Foods社(ニューヨーク州Brooklyn)が製造した豆モヤシが感染源である可能性が高いことが示されている。
2014年11月21日時点で、S. Enteritidisアウトブレイク株の感染患者として10州から計63人が報告されている。患者の発症日は2014年9月30日~11月8日。情報が得られた患者42人のうち11人(26%)が入院した。情報が得られた患者37人のうち29人(78%)が、発症前1週間に豆モヤシまたは豆モヤシが使用された料理を喫食したと報告した。
豆モヤシの出荷元について追跡調査を行い、対象とした全店舗が豆モヤシをWonton Foods社から仕入れていたことがわかった。同社は公衆衛生・農務当局に協力的であり、11月21日、サルモネラ汚染の予防対策を進めている間は豆モヤシの製造および販売を自主的に中止することに口頭で同意した。
(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)
食品安全情報へのリンク
食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.24(2014.11.26)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2014/foodinfo201424m.pdf
今号の目次
【米国食品医薬品局(US FDA)】
1. Solgar社がABC Dophilus Powder(健康補助食品)を自主回収(死亡患者発生)
【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 豆モヤシに関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Enteritidis)感染アウトブレイク(初発情報)
2. イングランドおよびウェールズにおけるサルモネラ血清型Enteritidisの状況(1945~2011年)
【欧州委員会健康・消費者保護総局(EC DG-SANCO)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)
【英国食品基準庁(UK FSA)】
1. 小児が生乳(未殺菌乳)を喫飲した場合の危険性について英国食品基準庁(UK FSA)が助言を再度発表(患者発生)
2. Solgar UK社が真菌(Rhizopus oryzae)の汚染により健康補助食品ABC Dophilusを回収
3. 鳥インフルエンザに関する英国食品基準庁(UK FSA)の助言
4. 英国食品基準庁(UK FSA)が2013~2014年の年次科学報告書を発行
【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. 炭疽および食品の炭疽菌汚染の可能性に関するQ & A
【ProMed mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報