国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.22(2014.10.29)を発表した。
注目記事
【ANSES】ニュートリビジランス、消費者の安全性に向けた計画
フランス食品・環境・労働衛生安全庁(ANSES)は、2010年より、強化食品、新規食品及び新規成分、食品サプリメントの摂取による有害影響の情報を集め、何が問題になっているのかを特定することを目的としたニュートリビジランス計画を実施している。
これまでANSESは、この計画で集めた情報に基づき、エネルギードリンク、紅麹由来食品サプリメント、p-シネフリンを含む多数の製品について勧告を出している。計画開始から3年以上が経過したことを受けて、ニュートリビジランス計画の予備的な概要を提供するとともに、その成功のためには医師に必須の役割があることを再確認する。
※ポイント:フランスは、食品サプリメントや強化食品などによる健康リスク対策として独自の有害事象報告システムを導入しています。想定している報告者は、医療従事者(医師、薬剤師、歯科医師等)、生産・流通業者、個人ですが、その中でもとくに医療従事者による患者の有害影響の報告が大切だとANSESは強調しています。報告方法は基本的にはオンラインで行いますが、e-mail、ファックス、郵便でも受け付けています。
我が国でも食品サプリメント等が関連する有害影響をどのように把握していくのかは重要な課題です。ANSESのニュートリビジランス計画は、一つの参考になるでしょう。
【FDA】食品と食品成分の安全性についての毒性学的課題に関するFDA-SOT会議
米国食品医薬品局(FDA)は、職員の知識向上と業務強化のために、毒性学会(SOT)の協力のもと毒性学に関するトレーニングセッションを計画した。テーマは、食品成分安全性評価のためのヒト臨床および観察データの評価の複雑性、事例研究として部分水素添加油、毒性試験とADME/PKコンピュータモデル、毒性学的エンドポイントについての特定のトピックス、リスク評価とリスク管理である。
※ポイント:登録すれば一般の人も参加できますが、一番の目的は食品安全の規制策定に携わるFDA職員の毒性学の知識を向上させることだという点がポイントです。そのために毒性の専門家集団である毒性学会の協力を得て、食品成分による健康リスクをどう考えればよいのか、臨床データがあったとしても、それらデータをどのように解釈・利用すべきかなどを学べるカリキュラムになっています。
【EFSA】食品中の、とくに野菜と果実の過塩素酸塩の存在に関連した公衆衛生リスクについての科学的意見
欧州食品安全機関(EFSA)は過塩素酸塩について健康的な成人での甲状腺ヨウ素摂取り込み抑制に基づき0.3μg/kg体重/日の耐容一日摂取量(TDI)を設定した。
※ポイント:JECFAでは第72回評価において暫定最大耐容一日摂取量(PMTDI)を0.01mg/kg bw/dayとしました。JECFAもEFSAも健康的な成人での甲状腺ヨウ素摂取り込み抑制に基づいていますが、JECFAではBMDL50(0.11mg/kg bw/day)に不確実係数10を、EFSAではBMDL5(0.0012mg/kg bw/day)に不確実係数4を適用しています。
編集部註:過塩素酸塩については以下も参照。
「パブリックコメントは何のためにあるのか」(畝山智香子、2009年2月18日)
「ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)、食品中の過塩素酸塩に関するFAQを公表」(食品安全総合情報システム、2013年10月30日)
(安全情報部第三室)
食品安全情報へのリンク
食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.22(2014.10.29)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2014/foodinfo201422c.pdf
食品安全情報(化学物質)No.22(2014.10.29)別添
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2014/foodinfo201422ca.pdf
今号の目次
食品安全情報(化学物質)No.22(2014.10.29)
食品安全情報(化学物質)No.22(2014.10.29)別添(EFSAによる内分泌活性物質特集)
【WHO】
1. ファクトシート更新:ラドンと健康
【EC】
1. DEHPの予備的意見にパブリックコメント募集
2. 食品獣医局(FVO)査察報告書:中国、オランダ
3. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)
【EFSA】
1. 「食品中アクリルアミド」についての意見募集の結果に関する会合
2. 食品中の、特に野菜と果実の過塩素酸塩の存在に関連した公衆衛生リスクについての科学的意見
3. 職業上の農薬暴露:調査、評価、予防の挑戦
4. 食品と接触する物質関連
5. 香料グループ評価
【FSA】
1. FSAは2014年11月24~25日の政府化学者会議に参加
2. INTAKE24:スコットランドのオンライン24時間食事思い出しシステムの開発
3. 新しい「食品とあなた」調査の知見発表
4. Jumbo UK Ltd社はNigeria Taste Brown Beansをリン化アルミニウム汚染リスクのためリコール
【HSE】
1. 最新モニタリング結果
【NHS】
1. エネルギードリンクに警告
【ASA】
1. ASA裁定
【BfR】
1. オンライン対話フォーラム:アルミニウムについて消費者はBfRに尋ねる
【RIVM】
1. 持続可能な消費者行動:政府の役割を探る、介入、介入データベース
【ANSES】
1. ニュートリビジランス、消費者の安全性に向けた計画
【FDA】
1. 食品と食品成分の安全性についての毒性学的課題に関するFDA-SOT会議
2. FDAは食品安全近代化法提案規則追加通知公聴会を開催
3. 警告文書
4. 消費者向け情報:あるべきではない食物アレルゲンを見つける
5. FDAはシーフード製品の適切な表示のためのオンライン学習モジュールを開発
6. 消費者向け情報:医薬品とダイエタリーサプリメントの併用は健康を危険にさらす可能性がある
【EPA】
1. EPAは2, 4-D及びグリホサートを含む除草剤Enlist Duoの最終決定を発表/リスク評価は乳幼児を含むヒト健康保護を確保
2. EPAはネオニコチノイド種子処理が米国の大豆生産にはほとんどあるいは全く利益がないことを発見
3. EPAは農薬ドリフトを減らし人々や野生動物、環境を守るための自主的な星印格付け計画を開始/ 星印が多いとスプレードリフトを減らす可能性が高い
4. EPAは飲料水中のストロンチウムを規制する予備的決定を行う
5. EPAは72物質を農薬の不活性成分認可リストから削除することを提案
【FTC】
1. FTCの要請により裁判所はサプリメントメーカーによる詐欺的宣伝及び消費者の口座からの違法な引き落としを停止
【FSANZ】
1. 食物繊維強調表示規定の移行期間延長提案に情報募集
2. 食品基準通知
3. リコール情報:Manjilasタピオカチップススパイシー
【APVMA】
1. フェンチオンレビュー
【香港政府ニュース】
1. 地溝油関連記事
2. 牛肉に違法保存料が発見される
【MFDS】
1. 日本産輸入食品の放射能検査の結果
2. 説明資料(「基準値89倍“農薬バナナ”大型マートで販売」記事に関連)
3. 説明資料(SBS「子ども用歯磨き粉に発がん疑い物質」報道関連)
4. 勃起不全治療薬の類似物質が検出された食品の回収措置
5. 食品の放射能安全管理「民間の専門家委員会」開催の結果
【HSA】
1. HSAは表示に記載のない化学成分を含む違法製品「AMACE for him」について警告
【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(EurekAlert)中国生産物の異物混入事件が社会的信頼を損なう
・(EurekAlert)がん患者は医師にダイエタリーサプリメントの使用について話すのをためらうべきではない
・(EurekAlert)セリアック病患者向けの一部のコメベースの食品には相当量のヒ素が含まれる
内分泌活性物質(特集ページ)
1. 内分泌系とは何か?何故、健康に重要なのか?
2. 内分泌活性物質とは何か?「内分泌攪乱物質」と同じか?
3. 何故内分泌攪乱物物質が心配されているのか?
4. 感受性の高い時期とは何か?
5. 内分泌活性のある物質は食品やその他の製品中に存在するのか?
6. 内分泌攪乱物質と内分泌活性物質についてEFSAは何を求められたのか?
7. どうしてEFSAはこの作業を求められたのか?
8. EFSAの意見はこれらの物質についての議論に何を追加したか?
9. どうやって科学者は「内分泌攪乱影響」を同定できるのか?
10. 現在の試験法はこれについて適切なデータを提供するか?
11. いわゆる「低用量影響」についてこの意見ではEFSAはどう述べている?
12. この意見は「化学物質混合物」問題に対応している?
13. 消費者にとって内分泌活性物質に関するEFSAの科学的助言は何を意味する?
14. 具体的にはこの仕事はどう使われる?
15. EFSAは内分泌攪乱物質を禁止するかどうか決めたのか?
16. この意見のためにEFSAは作業をどのように計画し、実行したのか?
17. EFSAは求められた専門知識をどのように確認したのか?
18. 内分泌活性物質に関するEFSAの作業グループに任命された専門家のための選考過程は何だったのか?
19. 内分泌活性物質に関するEFSAの作業グループの構成はどうなっている?
20. EFSAは科学的助言の独立性をどのように保証するのか?