CDCがレストランレビューから未報告食中毒を探知するテストを実施

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.17(2014.08.20)を発表した。

注目記事

【USDA FSIS】家禽製品の新しい検査システム

 米国農務省食品安全検査局(United States Department of Agriculture Food Safety and Inspection Service/FSIS)は、米国民が喫食する鶏肉・七面鳥肉製品をより安全なものにするための重要な一歩を発表した。家禽業者はサルモネラおよびカンピロバクターをコントロールするための新しい要件を遵守することが必要となり、科学的根拠にもとづき家禽関連施設に食品安全検査官をより合理的に配置する「家禽製品の新しい検査システム(New Poultry Inspection System : NPIS)」の施行により、毎年最大5,000人の食品由来疾患患者の発生が防止されると推定される。

 FSISは今後、サルモネラおよびカンピロバクター汚染について、発生した後にこれらに
対処するのではなく、発生の予防を優先するようすべての家禽関連業者に求めていく。また、サルモネラおよびカンピロバクター汚染が適切に管理されていることを示すために、すべての家禽関連施設に生産工程の2つの段階で独自の微生物学的検査を実施することを初めて要求する。以上の要件は、今後も継続されるFSISによる検査とは別に課されるものである。

 一般公募の意見に従い、新たにNPISを導入する生産施設のライン速度は最高で1分間に140羽までとし、現行の検査プログラムでの最高速度を維持した。また、NPISに従って操業する家禽関連業者はすべて、業務関連の負傷や疾病の早期報告を推奨するプログラムを維持しなければならず、FSISの職員は、生産施設の従業員に害を及ぼす可能性がある職場ハザードについて、その報告方法(職業安全衛生管理局(OSHA)への内密の直接電話報告を含む)に関する新しい指示を受けることになっている。

 連邦公報(Federal Register)に掲載される予定の最終規則はFSISの以下のサイトから入手可能。
http://www.fsis.usda.gov/poultryinspection

【CDC】レストランレビューで未報告食中毒を探知

 米国疾病予防管理センター(US CDC: Centers for Disease Control and Prevention)によると、ニューヨーク市保健・精神衛生局(DOHMH)は、レストラン関連の胃腸炎アウトブレイクの調査を行っていた際、DOHMHにまだ報告されていない疾患例をレストランの顧客がビジネスレビューサイトYelp(http://www.yelp.com)に投稿していたことに気がついた。未報告のアウトブレイクの検出にYelpサイトが使用できるかどうかを調べるため、DOHMHはコロンビア大学およびYelpと協力し、食品由来疾患を示唆するレストランレビューをYelpサイトでリアルタイムに見つけるための試験プロジェクトを実施した。

 2012年7月1日から2013年3月31日までの間、本プロジェクト用に開発されたソフトウェアを使用して約294,000件のYelpレストランレビューの分析が行われた。これにより、食品由来疾患を専門とする疫学者による追加評価が必要と考えられるレビュー893件が特定された。

 試験プロジェクトの結果は、オンラインのレストランレビューが未報告の食品由来疾患アウトブレイクおよび食品取扱に問題のあるレストランの探知に役立つ可能性があることを示している。しかし、このような方法による疾患報告の調査には多大な時間および人員が必要と考えられる。

【EFSA】卵の保存期間延長によるリスク

 欧州食品安全機関(EFSA: European Food Safety Authority)は、家庭または小売店での卵の保存期間を延長するとサルモネラ食中毒のリスクが上昇するという最新の科学的意見を発表した。

 EFSAの専門家は、そのまま、または他食品の成分として喫食される卵の販売期限(sell-by date)および賞味期限(best-before date)を延長することによりもたらされる結果について検討した。

 家庭用の卵の販売期限を21日から28日に延長した場合、卵によるS. Enteritidis感染のリスクは非加熱の卵で40%、軽く加熱した卵で50%上昇する。最悪のシナリオとして販売期限を42日、賞味期限を70日(現行では28日)とした場合、リスクは非加熱と軽く加熱した卵の双方で現行の約3倍に上昇する。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(微生物)No.17(2014.08.20)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2014/foodinfo201417m.pdf

今号の目次

【世界保健機関(WHO)】
1. 2013年の世界のコレラ患者発生状況

【米国農務省(USDA)】
1. 米国農務省(USDA)が食品安全のための追加の要件として家禽製品の新しい検査システムを発表

【米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS)】
1. マサチューセッツ州の会社が大腸菌O157:H7汚染の可能性がある牛ひき肉製品を回収

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 小規模飼育(Backyard Flock)の生きた家禽類に関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella Infantis、S. Newport、S. Hadar)感染アウトブレイク(2014年8月8日付更新情報)
2. オンラインのレストランレビューを利用した食品由来疾患未報告患者の探知

【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. 卵の保存期間 . 欧州食品安全機関(EFSA)が公衆衛生リスクを評価
2. 非定型BSE感染性の詳細な検査のためのプロトコル

【欧州委員会健康・消費者保護総局(EC DG-SANCO)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)

【英国食品基準庁(UK FSA)】
1. 食品安全に関する消費者調査結果の二次分析報告書
2. 大腸菌O157による交差汚染の防止に関するガイダンスを改訂

【デンマーク国立血清学研究所(SSI)】
1. リステリアアウトブレイクでデリミートに感染源の疑い(患者20人、死亡者12人)

【ProMed mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報