国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.20(2013.10.02)を発表した。
注目記事
【FSA】カニのカドミウム対策
FSAは、各種加工工程によりカニみそのカドミウム(Cd)量を低減する方法を探るためのワーキンググループを組織した。このグループでは、カニ加工産業向けのCd低減のためのガイダンスを作成する予定である。さらに、FSAはカニみそに含まれるCd量に関する調査結果を公表した。カニみそ由来のCd量は、全体のCd暴露量への寄与率は低いものの、検体の中には高濃度に含むものも存在することから懸念されている。
※ポイント:日本でCdというとコメが問題になりますが、食品中濃度ではコメよりもカニみそ、貝類及び頭足類の内臓の方が高い傾向があります。しかしながら、Cdは長期暴露が問題なので、たまにしか食べないカニみそよりも、毎日暴露するような喫煙やコメの方が食品安全上の問題としてははるかに重要というわけです。ちなみに、食品安全委員会の評価では、1日20本の喫煙で約1~2μgのCdを体内に摂取している推定されています。
【EFSA】食品のリスク及びベネフィットについてのコミュニケーションを促すFoodRisCプロジェクト
欧州の消費者は、食品のリスク及びベネフィットについての膨大な量の、いくつかは矛盾するあるいは混乱すると認識される情報にしばしば圧倒されている。2013年9月12日、「食品関連問題についてのコミュニケーションの新しい課題」についてのFoodRisC/EFSA会合において、FoodRisCプロジェクトの研究成果が発表された。FoodRisCプロジェクトは、食品に関連する問題を効果的に普及するためコミュニケーターを援助し、明確なメッセージにより消費者の理解を促進することを目的としたEU出資の3年半のプロジェクトである。
※ポイント:この研究成果で興味深い点は、現在の食品についてのコミュニケーションにおいて、テレビや新聞といった伝統メディアに加えてソーシャルメディア(Twitter、Facebook、動画や画像共有サイト等)の影響が非常に大きいと捉えているところです。ソーシャルメディアを監視することで、消費者が食品関連の問題について、今何を問題だと考え、どのように認識しているかを知り、消費者が議論している内容が間違っていないかを確認することを薦めています。さらに、もし間違った情報が流れていた場合には、その間違った情報のみがウェブ上にいつまでも残らないように修正していかなければならないとも指摘しています。
もうひとつ興味深い点は、食品のリスクについての専門家と消費者の認識のギャップを述べているところです。このプロジェクトの調査では、専門家や食品関係者はしばしば食品のリスクを「必ずしも避けることができるとは限らない」事態と認識しているのに対し、消費者はしばしば食品のリスクを「避けられるし、避けるべきだ」と感じていると報告しています。この認識のギャップを埋め、リスク対策とはリスクをなくす(避ける)ことではなく許容できる程度まで小さくすることであると消費者へ伝えていくことが、消費者との今後のコミュニケーションで最も重要なことでしょう。
(安全情報部第三室)
食品安全情報へのリンク
食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.20(2013.10.02)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2013/foodinfo201320c.pdf
今号の目次
【EC】
1.食品獣医局(FVO)査察報告書:モザンビーク、セルビア、スロバキア、ポーランド、英国
2.食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)
【EFSA】
1.EFSAはFoodRisCプロジェクトの最終結果を歓迎する
2.イタリアによる遺伝子組換えトウモロコシMON 810のRegulation(EC)No 1829/2003第34条による緊急対策通知に関連する欧州委員会からの要請についての科学的意見
3.第49回助言フォーラム会合
4.2009~2011年の欧州食品中の3-モノクロロプロパン-1,2-ジオール(3-MCPD)分析と予備的暴露評価
【FSA】
1.カニのカドミウム対策
2.科学とエビデンスに関する主任科学者の報告書発表
3.新規食品成分の申請に関する意見募集:D-ベータ-ヒドロキシ酪酸エステル
【COC】
1.19 September 2013の議題
【NHS】
1.Behind the headlines:恐ろしいDNP「ダイエット薬」に警告
【ANSES】
1.学校での朝のおやつ
2.ECHAはビスフェノールAをより厳しく分類するというANSESの提案をパブリックコメント募集に進めた
【EVIRA】
1.栄養及び健康強調表示コントロールガイドライン
【FDA】
1.公示
2.警告文書(2013年9月17日、24日公表分)
3.FDAは食品添加物安全性事務所への電子申請についての企業向け訓練ビデオシリーズを発表
【NTP】
1.発がん物質報告書候補:情報を求める
【EPA】
1.EPAはHBCDのより安全な代用品を含む難燃剤を評価
【USDA】
1.USDAは農業の共存にパブリックコメント募集を発表
2.米国のオーガニック企業はオーガニック貿易の米日パートナーシップを賞賛
3.Genectiveのグリホサート耐性トウモロコシ、Monsantoのグリホサート耐性キャノーラ、monsantoの雄性不稔トウモロコシの規制解除
【FSANZ】
1.通知
【TGA】
1.補完医薬品:コンプライアンスレビューによりARTGから取り消されたもののリスト
【MPI】
1.単花マヌカハニーの定義オプション
2.生肉中の亜硫酸塩調査
【香港政府ニュース】
1.政府は調製粉乳の供給を確保する
2.食品から違法色素発見
【MFDS】
1.説明資料(NEWSISなど「イムネヒョン(林來玄:民主党の議員)福島県水産物先月まで輸入された」という記事関連)
2.説明資料(京郷新聞が報道した「日本全国水産物の放射能検出」関連)
3.食品医薬品安全庁、日本の水産庁関係官面談
4.海外インターネットサイトの販売商品の購入に注意!
【FSSAI】
1.食品安全基準とFAQ
【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(ProMED-mail)原因不明の病気、子ども インド(第2報):ビハール
・(ProMED-mail)テトロドトキシン中毒、ヒト フランス(レユニオン)
・(ProMED-mail)麻痺性貝毒中毒-オーストラリア(西オーストラリア)警告
・(ProMED-mail)ヒ素中毒、水 中国(貴州)
・(EurekAlert)TVの医薬品宣伝:偽りのない真実?