牛肉製品ウマ肉混入事件終結

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.09(2013.05.01)を発表した。

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【EC】欧州委員会はウマDNAとフェニルブタゾンの検査結果を公表

 EUの全加盟国を対象に実施した牛肉含有製品中のウマDNA及びフェニルブタゾンの検査結果が公表された。27カ国では計7259検体の検査が行われ、4144検体がウマDNA、3115検体がフェニルブタゾンの検査であった。その結果、ウマDNAは193検体が陽性(4.66%)、フェニルブタゾンは16検体から痕跡程度の量が検出された(0.51%)。この問題については、食品偽装事件であり、食品安全上の問題ではないとしている。

※ポイント:欧州でスキャンダルになった牛肉製品へのウマ肉混入事件は、今回の結果発表で一段落のようです。同時に問題となったフェニルブタゾンの残留についても、欧州食品安全機関(EFSA)及び欧州医薬品庁(EMA)が評価しており、食用動物への使用は継続的に禁止すべきであるが、今回の事件で確認された残留頻度及び濃度ではヒトへの健康リスクは非常に小さいと結論しています。今後は、今回の事件を教訓に、どのようにフードチェーン管理制度を強化するか検討される予定です。

【EC】リスク評価をリスク管理にとってより適切なものにするために

 SCHER(健康及び環境リスクに関する科学委員会)、SCENIHR(新興及び新規健康リスクに関する科学委員会)及びSCCS(消費者の安全性に関する科学委員会)が共同作業部会を設立し、リスク管理にとって適切で望ましいリスク評価について議論した。

※ポイント:リスク評価はどうあるべきかを検討した報告書です。報告書の中で勧めているのは、リスク評価はリスク管理及び政策決定に適切なものであること、より有効な政策にたどり着くために評価者と管理者が透明性を持ちつつよく対話をすること、社会経済学者の意見を取り入れて費用対効果を考慮する必要があるということです。

【BfR】魚の喫食後の嘔吐、下痢、冷たいものに触れたときの痛み

 ドイツにおいて、市販魚の喫食によるシガテラ(シガトキシン中毒)のアウトブレイクが初めて確認された。2012年末、レッドスナッパー(※)切り身の喫食によりシガテラ様の症状を呈した14症例が北ドイツ中毒センターからBfRへ報告され、残品検査でシガトキシンの含有が確認された。原因魚は、ドイツの輸入業者がインドの販売者から輸入したレッドスナッパーの切り身であった。

※ポイント:シガテラは、熱帯・亜熱帯海域の主に珊瑚礁に生息する魚類の喫食により生じる致死率の低い食中毒です。カリブ海、インド洋及び太平洋の南北回帰線に挟まれた地域が多発地域です。日本の多発地域は沖縄県から鹿児島県にかけての南西諸島です。以前は、これらの多発地域に特化した問題でしたが、流通する魚種の多様化と流通地域の拡大にともない、徐々に局地的な問題ではなくなりつつあります。地球温暖化による海水温の上昇により、発生地域が拡大しているのではないかとの指摘もあります。そのため、EUではシガテラ対策に取り組み始めていますし、米国FDAでは魚中のシガテラ毒の基準設定とともに一次加工業者向けガイダンスを作成するなどの対策を行っています。

※レッドスナッパー:ゴマフエダイ(Lutjanus argentimaculatus)。インド、西太平洋、日本の南西海域などに分布。アカシビ(九州)、カースビ(沖縄)とも(FoodWatchJapan編集部註)。

(安全情報部第三室)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(化学物質)No.09(2013.05.01)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2013/foodinfo201309c.pdf

今号の目次

【EC】
1. 欧州委員会はウマDNAとフェニルブタゾンの検査結果を公表:食品安全上の問題はないが虚偽表示に対しては将来的により厳しい罰則が適用される
2. リスク評価をリスク管理にとってより適切なものにするために
3. ミツバチと農薬:委員会はミツバチ保護を強化する計画を推進
4. 食品獣医局(FVO)査察報告書:インド、ポーランド等
5. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)

【EFSA】
1. EU機関はウマ肉に検出されたフェニルブタゾンの消費者への懸念は低いと考える;ウマのトレーサビリティ及び残留動物用医薬品の監視の改善を推奨
2. 食品添加物としてのアントシアニンの再評価に関する科学的意見
3. 動物由来食品に認可されていない薬理活性のある物質が検出された場合、対策のための参照点を設定する際に考慮すべき方法論的基本原則と科学的手法についてのガイダンス
4. 公的コントロール以外で得られたヒト用の食品や飲料中アクリルアミドデータの募集
5. 遺伝子組換え生物関連
6. 香料グループ評価

【FSA】
1. 牛肉製品へのウマ肉混入について
2. アクリルアミド及びフランの調査結果発表
3. チーア種子に意見募集

【BfR】
1. 魚の喫食後の嘔吐、下痢、冷たいものに触れたときの痛み
2. リスクを一目で
3. 食品中の残留農薬の累積影響は明確でわかりやすい基準に基づいて評価されるべき

【FSAI】
1. EU全域の牛肉製品調査の結果発表

【EVIRA】
1. Eviraの無作為検査でウマ肉について新しい知見はない

【FDA】
1. FDAは乳製品のラベルについて意見を募集
2. 事業者向けガイダンス案:シガテラのハザードがある珊瑚礁の魚種を購入する場合
3. 添加物や成分についての消費者向け情報
4. 警告文書(2013年4月16、23日公表分)
5. 公示

【NTP】
1. イチョウ抽出物の毒性・発がん性試験(強制経口投与)報告書

【EPA】
1. EPAは発電所から水路に排出される有害汚染物質の削減を提案

【USDA】
1. 米国の食品企業は製品の健康さに焦点を再びあわせる

【CFIA】
1. バター、チーズ及びクリームのプロゲステロン検査:消費者にとって健康リスクとはならない
2. メラミンを検査した乳及び大豆ベースの製品は全て食べても安全
3. 生鮮ブドウを検査-99%以上から亜硫酸は検出されず

【FSANZ】
1. ファクトシート:清涼飲料のベンゼン
2. 食品基準改正140
3. 食品基準通知

【TGA】
1. 安全性助言

【香港政府ニュース】
1. 痩身用製品に警告

【MFDS】
1. ペット(PET)ボトル、これが知りたいです!
2. 食品医薬品安全省、PMMAなど15の新種物質を麻薬に指定
3. ベンゾピレン超過検出‘ごま油’製品回収措置
4. ベンゾピレン超過検出‘乾物類’製品回収措置

【その他】
・(ProMED-mail)リシン 米国:(ワシントンDC)手紙
・(ProMED-mail)原因不明の腎疾患、男性-複数国:野外労働者、ヒ素
・(EurekAlert)ダイエタリーサプリメントの規制にさらなる努力が必要