国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.06(2013.03.19)を発表した。
注目記事
【UK HPA】移動式食品販売店の衛生管理は不十分であるとの調査結果
英国健康保護庁(UK HPA:Health Protection Agency)の「英国で開催された大規模イベントにおける食品提供業者の衛生管理に関するフォローアップ調査」(Follow-up study of hygiene practices in catering premises at large scale events in the United Kingdom)によると、移動式食品販売店または屋外食品販売店で食品、水、まな板、布巾およびセキュリティ目的のリストバンドから採取した検体が糞便系大腸菌群を含む多様な細菌に汚染されていることが確認された。
地方自治体当局は、2010年に7カ月以上にわたって153件のイベントで1,662検体を採取し、これに対しHPAが腸内細菌科菌群、糞便系大腸菌群、黄色ブドウ球菌など様々な細菌の検査を行った。検体を採取したイベントの種類は、コンサート・音楽祭が50件、スポーツイベントが20件、カーニバル・祝祭・フェアが39件およびその他が44件であった。
食品検体の8%(53/659検体)の汚染状況は不適切なレベル(unsatisfactory)であり、さらに1%(7/659検体)は危害の可能性がある(potentially hazardous)レベルで、特にサルモネラ菌およびウェルシュ菌による汚染が多かった。ウェルシュ菌による食中毒は、食品(主に食肉)を調理後に温かい状態で数時間放置してから提供した場合に起こることが多い。
環境検体として、まな板、食品用容器、サービス用カウンター、調理器具、作業台表面等からスワブ検体を採取した。最も汚染がひどかったのはまな板で、検体の60%(84/141検体)が非常に不適切な(most unsatisfactory)汚染レベルで、基準を満たしていなかった。環境スワブ検体全体として、585検体のうち188検体(32%)が基準に満たなかった。
●報告書は以下サイトより入手可能
http://www.hpa.org.uk/webc/HPAwebFile/HPAweb_C/1317138362820
http://www.hpa.org.uk/webw/HPAweb&Page&HPAwebAutoListNameDesc/Page/1234432663398
【BfR】冷凍のベリー類は喫食前に十分に加熱すべき
ドイツ連邦政府と州が実施した調査結果から、冷凍のベリー類を十分に加熱せずに喫食すると胃腸炎にかかる可能性があることが明らかになった。このためドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR : Bundesinstitut fur Risikobewertung)は、以前発行したリーフレット「安全な食品」の内容を更新し、食品を提供する公共施設に対しベリー類の調理に関する注意を促す推奨事項を収載した。
2012年に幼児と学童で急性嘔吐・下痢症のアウトブレイクが発生し、これにより地域社会の公共施設での食品提供には重い責任が伴うことが明確に示された。患者約1万1000人が報告され、ドイツで発生した食品由来胃腸炎アウトブレイクとしては過去最大規模。連邦政府と州が実施した調査の結果によると、このアウトブレイクの感染源はノロウイルスに汚染された特定バッチの冷凍イチゴであった。
ベリー類は、不適切な灌漑や施肥などによってノロウイルスに汚染される可能性がある。また、ノロウイルスに感染したヒトにより、収穫や包装の段階で汚染される可能性もある。冷凍ベリー類の場合は、冷凍工程で加えられる水へのノロウイルスの混入による汚染も考えられる。
BfRのリーフレットの更新版(ドイツ語)は、BfRの以下サイトから入手可能。
●BfRの出版物
http://www.bfr.bund.de/de/publikationen.html
(食品安全情報(微生物)No.21 / 2012(2012.10.17)BfR記事参照)
(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)
食品安全情報へのリンク
食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.06(2013.03.19)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2013/foodinfo201306m.pdf
今号の目次
【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 鶏 肉の喫食に関連して複数州にわたり発生しているサルモネラ(Salmonella
Heidelberg)感染アウトブレイク(2013 年3 月5 日付更新情報)
2. 牛ひき肉に関連して複数州にわたり発生したサルモネラ(Salmonella Typhimurium)
感染アウトブレイク(最終更新)
3. 食品由来疾患患者、入院患者および死亡者の各種食品への帰因(attribution):アウト
ブレイクデータの使用による推定(米国、1998~2008 年)
4. リステリア菌(Listeria monocytogenes)の新規の流行性クローン(米国、2011 年)
【欧州委員会健康・消費者保護総局(EC DG-SANCO)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)
【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. ノルウェーの牛海綿状脳症(BSE)年間モニタリングプログラム改訂案の科学的評価
【英国健康保護庁(UK HPA)】
1. 移動式食品販売店の衛生管理は不十分であるとの調査結果
【英国食品基準庁(UK FSA)】
1. FSA に報告された牛海綿状脳症(BSE)の管理対策違反
【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. 冷凍のベリー類は喫食前に十分に加熱すべき
【ProMed mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報