国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(化学物質)No.06(2013.03.19)を発表した。
注目記事
【EFSA】年次農薬報告書は、残留農薬の法令遵守率は依然高いと報告
欧州食品安全機関(EFSA)は、EU加盟27カ国、アイスランドおよびノルウェーにおける2010年の食品中残留農薬の概要をまとめた4回目の年次報告書を発表した。本報告書によると、2010年は参加国全体で97%以上が最大残留基準(MRL)を遵守していた。また、長期暴露によるリスクはなく、短期暴露によるリスクは99.6%の検体で排除できた。さらに、本報告書では新しいアプローチとして、毒性学的性質が類似した化合物の複合暴露を検討する累積リスク評価を実験的に行っている。
※ポイント:EUの残留農薬モニタリング報告書は、各国が独自に行っている検査(国内プログラム)と、全参加国が共通の食品/農薬に対し行っている検査(EU共通プログラム)の2種類の結果が示されているので、少々わかりづらくなっています。
EFSAは、新しい試みとして累積リスク評価を実験的に行っていますが、これは毒性学的影響が同類のもののみを対象にしています。今回は、有機リン系農薬とN-メチルカルバメート系農薬を例としています。累積暴露なので、不検出の値をどう捉えるかで累積量が大きく変わってしまうため、いかに現実的な値を得られるかが大きな問題だと述べています。
【EFSA】「エネルギー」ドリンク報告書
EFSAは、欧州の子どもおよび青年を含む特定集団の“エネルギー”ドリンク(またはエナジードリンク/ED)摂取量に関するデータを初めて収集した委託研究の報告書を発表した。本研究では、EDに含まれる一部の成分(主にカフェイン、タウリン、D-グルクロノラクトン)の一時的および慢性的摂取量推定も行っている。最もEDを消費している年齢集団は青少年で、3~10歳の子どもがEDから摂取するカフェインの量は平均21.97mg/日であり、これは1日のカフェイン総摂取量の43%に相当すると推定されている。
※ポイント:これは、欧州でのEDとその含有活性成分の摂取状況を調査した初めての報告書です。著者らは、ここ数年でED市場が急激に拡大していることから、消費もさらに増加する可能性を指摘しており、いずれは調査を更新する可能性も示唆しています。今回は実態調査ですので、このデータをもとに今後EFSAがリスク評価を行うものと思われます。
【RIVM】PM2.5モニタリング戦略
EU規制では2008年からPM2.5の測定が求められており、EU指令2008/50/ECに基づくオランダの指定観測地の数は20カ所である。しかし、RIVMは28カ所を推奨している。
※ポイント:食品安全とは関係ないのですが、最近ホットな話題なので参考として取り上げてみました。オランダの観測地点は28カ所ですが、我が国の環境省によると日本は500カ所以上だそうです。国の面積は日本の方が約10倍ですが、それを考えても多いです。
目次(各機関名のリンク先は本文中の当該記事です)
(安全情報部第三室)
食品安全情報へのリンク
食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.06(2013.03.19)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2013/foodinfo201306c.pdf
今号の目次
【WHO】
1. WHO欧州事務局:新しいWHOの報告書は欧州の健康改善が不平等なことを明らかにし、進歩の指標として福祉の測定を求める
【EC】
1. 栄養強調表示の条件
2. ミツバチ/ネオニコチノイド-委員会への提案が多数決では決定せず
3. FVO査察報告書:トルコ、ニカラグア、スペイン、フォークランド諸島
4. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)
【EFSA】
1. 「エネルギー」ドリンク報告書
2. EUの機関がウマ肉のフェニルブタゾンによるリスクについて助言
3. 年次農薬報告書は、残留農薬の法令遵守率は高いままであることを報告
4. 提出された追加データを考慮したエリスリトール(E 968)の詳細食事暴露評価についての声明
5. 食品に栄養目的で添加されるヨウ素源としてのポピーシードオイルのヨウ化エチルエステルの安全性についての声明
6. EFSAは新しいデータに基づきネオニコチノイドの結論を明確化
7. 食品と接触する物質関連
8. 飼料添加物関連
【FSA】
1. FSA理事会
2. 牛肉製品へのウマ肉混入について
3. Dalgety湾の水産物は放射性粒子を含まない
4. FSAはパスカライトパウダーの鉛に警告
【DH】
1. 我々の塩の摂取量を減らすための塩戦略
【CRD】
1. 食品中残留農薬に関する専門委員会(PRiF):残留農薬モニタリング 2012年第3四半期の報告書
【HPA】
1. ヒトの放射線感受性についての新しい報告書
【BfR】
1. 生乳にアフラトキシン濃度の増加が検出された
2. アフラトキシンの乳、卵、肉及び内臓への移行
【RIVM】
1. ボネール島Goto湖の化学物質フォローアップ:測定及びリスク評価
2. 食事と注意欠陥・多動性障害(ADHD)
3. PM2.5モニタリング戦略
【FSAI】
1. 加工肉の誤表示調査報告書についてのCoveney TD大臣の声明
【FDA】
1. 警告文書(2013年3月5日、12日公表分)
2. Green Planet社は男性の性機能増強用ダイエタリーサプリメントとして販売されているNight Bulletを、有害な可能性のある活性成分を非表示で含むため全国で自主回収する
【FSANZ】
1. 食品基準通知
【香港政府ニュース】
1. 未登録医薬品で男性逮捕
【KFDA】
1. 食品医薬品安全庁、輸入農産物の官能検査強化
2. 適切なアルミ食器の使用方法を紹介!
3. 中国産冷凍さなぎ流通.販売禁止及び回収措置
4. フタル酸エステル類(phthalates)へのヒト暴露量は全年齢群で安全なレベル!
【その他】
・(ProMED-mail)メタノール中毒 リビア(トリポリ)致死的
・(Eurekalert)空腹だとメキシコ湾の藻は毒性が高くなる
・(Eurekalert)カナダ人は食事中の塩を減らすための介入を支持