国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.02(2013.01.23)を発表した。
注目記事
【US FDA】感染性胃腸炎を起こす病原体を検出する検査キット
米国食品医薬品局(US FDA)は2013年1月14日、感染性胃腸炎の原因となる一般的なウイルス・細菌・寄生虫のうち11種類を、患者由来の1検体で同時に検査できる初の検査キット「xTAG GPP」の市販を認可した。
検出する病原体は下表のとおり。なお、偽陽性のリスクがあるため、「xTAG GPP」検査でのすべての陽性検体には追加検査による確認が必要である。
細菌 | カンピロバクター、Clostridium difficile毒素A/B、大腸菌O157、腸管毒素原性大腸菌(ETEC)毒素LT/ST、サルモネラ、赤痢菌、志賀毒素産生性大腸菌(STEC)stx1/stx2 |
ウイルス | ノロウイルス、ロタウイルスA |
寄生虫 | クリプトスポリジウム、ジアルジア |
【Eurosurveillance・UK HPA】遺伝子型GII.4の新しい変異株のノロウイルス
スコットランドでは2012年後半からノロウイルスの活動が大幅に上昇し、ノロウイルスのシーズンが通常より早く始まっている。2013年1月3日付「Eurosurveillance」誌は、いくつかの国でノロウイルス遺伝子型GII.4の新しい変異株「Sydney 2012」が出現したことを報告している。
英国健康保護庁(UK HPA)はノロウイルス感染に関する最新の報告患者数を発表した。2012年第27週~2013年第1週の検査機関確定患者数は4407人だった(昨シーズン同時期から56%の増加である。
今シーズンはSydney 2012と呼ばれるノロウイルスの新しい変異株が流行している。Sydney株は英国健康保護庁(UK HPA)のサーベイランスで今シーズンの初めに検出された。その時点では優勢な株ではなかったが、その後の検査により、現在では優勢株であることが明らかになっている。
Sydney 2012株はオーストラリアで初めて検出された後、フランス、ニュージーランドおよび日本でも見つかっている。この新しい株への感染によって症状が他の株より重症化することはなく、予防法は他の株の場合と同じである。
(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)
食品安全情報へのリンク
食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.02(2013.01.23)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2013/foodinfo201302m.pdf
今号の目次
【米国食品医薬品局(US FDA)】
1. 感染性胃腸炎の原因となる11種類の病原体を同時に検出できる初めての検査キットの市販を認可
【米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS)】
1. ウィスコンシン州の会社が大腸菌O157:H7汚染の可能性がある牛ひき肉製品を回収
【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. ハリネズミ(hedgehog)に関連して複数州にわたって発生しているサルモネラ(Salmonella Typhimurium)感染アウトブレイク(2013年1月9日付更新情報)
【カナダ公衆衛生局(PHAC)】
1. カナダの沿海州およびオンタリオ州で発生している大腸菌O157:H7アウトブレイク(2013年1月18日付更新情報)
【欧州疾病予防管理センター(ECDC)】
1. キューバのコレラに関する迅速リスク評価の更新 ― 欧州からの旅行者の感染リスクは引き続き低レベル
【欧州委員会健康・消費者保護総局(EC DG-SANCO)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)
【Eurosurveillance】
1. 遺伝子型GII.4の新しい変異株の出現に関連したノロウイルス活動の上昇(2012年、スコットランド)
2. 溶血性尿毒症症候群(HUS)の発症リスクが非常に高いベロ毒素産生性大腸菌感染アウトブレイク(デンマーク、2012年9~10月)
【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. 非動物性食品中の病原体のリスクに関する科学的意見(パート1:アウトブレイクデータの解析および食品/病原体の組み合わせのリスク順位付け)
【英国健康保護庁(UK HPA)】
1. ノロウイルスの季節性流行に関する最新情報(2013年1月15日付更新情報)
2. ノロウイルスの新しい株
【英国食品基準庁(UK FSA)】
1. BSE検査規則違反2件
【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. ドイツでとさつされる8歳を超える健康なウシは今まで通りBSE検査を継続すべき
【フィンランド食品安全局(Evira)】
1. フィンランドの2000~2010年の人獣共通感染症に関する報告書
2. フィンランドのヒツジは古典的スクレイピーに対する遺伝的抵抗性をほとんど持っていない
【オーストラリア・ニュージーランド食品基準局(FSANZ)】
1. リステリア汚染の可能性によりソフトチーズを回収
【ビクトリア州保健局(Department of Health, Victoria, Australia)】
1. ソフトチーズ製品に関連したリステリア症患者が増加
【ProMed mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報