オーストラリアで中国産香辛料回収

国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.25(2012.12.12)を発表した。オーストラリアでは中国産香辛料製品がサルモネラ汚染のため回収されている。WHOは微生物汚染を低減するための野菜・果物栽培のマニュアルを発表した。EFSAは、欧州連合(EU)域内の食品安全システムにおける同機関の役割をまとめた小冊子を発行した。FSISは家禽製品製造業者の食品安全計画改善について新しい施策を発表した。

注目記事

【FSANZ】オーストラリアで中国産香辛料製品をサルモネラ汚染のため回収

 Ontrack Pty社およびBig W(Woolworths)社は、香辛料の詰合せ製品「Truly Gifted Spice Rack 12 Bottle Spice Set」(375g入り)の一部がサルモネラに汚染されていたとして、首都特別地域(ACT)、ニューサウスウェールズ州、タスマニア州およびビクトリア州で製品を回収している。

 回収対象は賞味期限が2013年11月30日の製品で、原産地は中国(原材料はインド産)。この製品は、上記4地域のBig Wチェーン店のみで販売された。

【WHO】果物および野菜をより安全に栽培するための5つの鍵

 世界保健機関(WHO)は、マニュアル「果物および野菜をより安全に栽培するための5つの鍵:微生物汚染の低減により健康を増進」の最終版を発行した。

 このマニュアルは、自家用または地元での販売用として生鮮果物・野菜を栽培する農業従事者の食品安全教育を支援するために企画された。2006年に発行されたマニュアル「食品をより安全にするための5つの鍵(Five Keys to Safer Food)」のコンセプトを踏まえ、効果的な食品安全行動の導入を推進するため、重要な行動規範を提示している。

 本マニュアルに含まれる行動規範の例。

・トイレ、おむつ交換、動物に触った後などには手を洗い、乾いた清潔なタオルで拭く。
・着替えと入浴はこまめに行う。
・農地を動物が徘徊するのを防ぐ。
・家畜は、農地より低い場所で、フェンスで囲んだ区域で飼育する。
・農地とその周辺のゴミは撤去しましょう
・使用する農地に関連するすべての水源を確認する。
・収穫や貯蔵のための器具を使用前にきれいな水で洗浄して乾燥させる。
・収穫の前後および収穫時に農作物の貯蔵容器を地面に置かないようにする。
・果物や野菜に付いた目に見える泥や破片は農地で取り除く。
・果物と野菜は素早く冷蔵する。
・動物、子ども、および作業員以外の人が収穫・貯蔵区域に入ることを制限する。

 それぞれの行動規範について、マニュアルでは理由も解説している。

【EFSA】フードチェーンの全体にわたって消費者を守る科学

 欧州食品安全機関(EFSA)は、欧州連合(EU)域内の食品安全システムにおけるEFSAの役割を簡潔にまとめた小冊子「フードチェーンの全体にわたって消費者を守る科学(Science protecting consumers from field to fork)」を発行した。

 フードチェーン全体にわたって存在する食品関連リスクから欧州の消費者を守るため、種々の法律および規則が施行されている。それらの多くが、EFSAがリスク管理者に提供している助言によってどのように支えられているかについて、この小冊子は簡潔に説明している。

【FSIS】家禽製品の安全性向上と消費者保護のため予防を中心とする新しい取組み

 米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS)は、家禽製品の製造業者に必須な食品安全計画の改善により消費者を保護する新しい施策を発表した。

 鶏・七面鳥の生のひき肉および同様の製品の製造業者は、それぞれのHACCP計画の見直しが求められる。各業者は家禽製品に関連して発生した数件のサルモネラアウトブレイクの情報を考慮に入れたうえで、今後90日以内にHACCP計画の見直しを実施しなければならない。

(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)

食品安全情報へのリンク

食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html

食品安全情報(微生物)No.25(2012.12.12)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2012/foodinfo201225m.pdf

今号の目次

【世界保健機関(WHO)】
1. 果物および野菜をより安全に栽培するための5つの鍵:微生物汚染の低減により健康を増進

【米国農務省食品安全検査局(USDA FSIS)】
1. 米国農務省(USDA)が家禽製品の安全性向上と消費者保護のため予防を中心とする新しい取組みを発表

【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. サラダ製品に関連して複数州にわたり発生した志賀毒素産生性大腸菌O157:H7感染アウトブレイク(最終更新)
2. Sunland社製のピーナツバターに関連して複数州にわたり発生したサルモネラ(Salmonella Bredeney)感染アウトブレイク(最終更新)

【欧州委員会健康・消費者保護総局(EC DG-SANCO)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and Feed)

【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. 「フードチェーンの全体にわたって消費者を守る科学」を発行
2. 皮付き羊燻製肉の製造方法に関する英国食品基準庁(FSA)の研究についての欧州食品安全機関(EFSA)の科学的意見:技術的問題の解釈の明確化

【Eurosurveillance】
1. 2011年にベルギーで発生したリステリア症アウトブレイクへの対応における欧州疫学情報共有システム(EPIS)の有効利用

【英国健康保護庁(UK HPA)】
1. ノロウイルスの季節的流行に関する最新情報

【オランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)】
1. オランダにおける感染性疾患の発生状況(2011年)

【オーストラリア・ニュージーランド食品基準局(FSANZ)】
1. サルモネラ汚染のため中国産(原材料はインド産)香辛料製品を回収
食品安全情報(微生物)No.25 / 2012(2012.12.12)