国立医薬品食品衛生研究所は、食品安全情報(微生物)No.13(2012.06.13)を発表した。米国食品医薬品局(FDA)は韓国産貝類を提供しないよう注意喚起を行っている。米国疾病予防管理センター(US CDC)は、米国のO145アウトブレイクは終息した可能性があるとしている。同じく生マグロの中落ちのサルモネラについては、今後の散発の可能性を指摘。さらにドッグフード由来のサルモネラに関連して、ペットフードの微生物汚染に注意するよう呼びかけている。
注目記事
【FDA】韓国産貝類を市場から撤去するよう要請
米国食品医薬品局(FDA)は、韓国から米国に輸入されたカキ、二枚貝、ムール貝およびホタテガイの生鮮、冷凍、および缶詰などの加工品すべてを提供しないよう注意喚起している。
FDAは去る5月1日に複数州間認可貝類出荷業者リスト(ICSSL:Interstate Certified Shellfish Shippers List)から韓国の貝類の認可出荷業者を除外したが、それ以前に韓国から米国に輸入された貝類もこの注意喚起の対象に含まれる。
これらとその加工製品は、ヒトの糞便への暴露によってノロウイルスに汚染されている可能性がある。缶詰の場合は加熱処理によって死滅すると考えられるが、ヒトの糞便に汚染された水域で採捕された貝類を含むため、食用として適切ではないとしている。
FDAは、この問題について韓国当局と解決方法を協議している。
【CDC】O145、サルモネラのアウトブレイク情報
《O145》
2012年6月22日付の情報では、O145アウトブレイク株への感染が確認された患者は、6州の計15人(アラバマ2、カリフォルニア1、フロリダ1、ジョージア5、ルイジアナ5、テネシー1)となった。情報が得られた患者の発症日は2012年4月15日~5月12日。4人が入院し、ルイジアナ州で死亡者1人が報告されている。
報告患者の最新の発症日から約6週間が経過しているため、本アウトブレイクはすでに終息した可能性がある。
米国疾病予防管理センター(CDC)は引き続き各州の公衆衛生当局と協力し、新たな患者および感染源の特定を行っている。
《生マグロ中落ち削ぎ落とし製品関連のサルモネラ》
2012年6月21日の情報では、サルモネラ(Salmonella BareillyおよびSalmonella Nchanga)のアウトブレイク株に感染した患者は、合計で27州およびワシントンDCの390人となった。患者390人の発症日は2012年1月1日~6月3日。情報が得られた291人のうち47人が入院した。死亡者は報告されていない。
2012年4月の患者発生のピーク以来、新たに発生する患者数は大幅に減少している。しかし、当該の生キハダマグロ冷凍製品は品質保持期間が長いため、アウトブレイクは低レベルながら今後も数カ月間続くかもしれないとしている。
《乾燥ドッグフード関連のサルモネラ》
2012年6月13日付情報では、アウトブレイク株の感染患者は、米国13州の20人(ニューヨーク1、ペンシルベニア2、オハイオ2、ミシガン1、バージニア1、ノースカロライナ3、サウスカロライナ1、アラバマ2、イリノイ1、ミズーリ3、カリフォルニア1)およびカナダの2人。
情報が得られた患者の発症日は2011年10月~2012年5月11日。17人のうち6人が入院した。死亡者の報告はない。
乾燥ペットフードに関連するヒトのサルモネラ症としては、米国で記録された2件目のアウトブレイク。
消費者はドッグフードやキャットフードがサルモネラに汚染されている場合があることを認識すべきであり、人間用の食品とペットフードを同じ場所で取り扱ったり、保管すべきではなく、またペットフードを取り扱った後には必ず手を洗うべきとしている。
(注目記事のまとめ:FoodWatchJapan編集部)
食品安全情報へのリンク
食品安全情報
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(微生物)No.13(2012.06.27)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2012/foodinfo201213m.pdf
今号の目次
【米国食品医薬品局(US FDA)】
1. 韓国産のカキ、二枚貝、ムール貝およびホタテガイを市場から早急に回収するよう要請
【米国疾病予防管理センター(US CDC)】
1. 複数州にわたって発生している志賀毒素産生性大腸菌O145感染アウトブレイク(2012
年6月22日付更新情報)
2. 生のマグロ中落ち削ぎ落とし製品に関連して複数州にわたって発生しているサルモネ
ラ(Salmonella Bareilly およびSalmonella Nchanga)感染アウトブレイク(2012年
6月21日付更新情報)
3. 乾燥ドッグフードに関連して複数州で発生しているサルモネラ(Salmonella Infantis)
感染アウトブレイク(2012年6月13日付更新情報)
4. 中間報告:乾燥ドッグフードに関連して発生しているサルモネラ(Salmonella Infantis)
感染アウトブレイク(米国およびカナダ、2012年)
【カナダ食品検査庁(CFIA)】
1. カナダ政府が食品安全法を提案
【欧州疾病予防管理センター(ECDC)】
1. ECDCの2011年次報告書
【欧州委員会健康・消費者保護総局(EC DG-SANCO)】
1. 食品および飼料に関する早期警告システム(RASFF:Rapid Alert System for Food and
Feed)
【欧州食品安全機関(EFSA)】
1. 欧州連合(EU)域内の人獣共通感染症、その病原体および食品由来アウトブレイクの
傾向と感染源に関する年次要約報告書(2009年版および2010年版)についてのレビュ
ー(科学的意見):特にサルモネラ、カンピロバクター、ベロ毒素産生性大腸菌、リス
テリア(Listeria monocytogenes)および食品由来アウトブレイクのデータについて
2. 食品を介して感染するサルモネラ、カンピロバクター、指標大腸菌および指標腸球菌の
抗菌剤耐性のモニタリングおよび報告に関するEU内で統一された方法の技術仕様案
3. EFSAがリスク評価の方法論の統一を図るため革新的なネットワークを設置(第1回会
合)
【英国食品基準庁(UK FSA)】
1. 食費の節約のために食品安全リスクを冒す人がいることが判明
【ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)】
1. 腸管出血性大腸菌(EHEC)の感染予防に関する小冊子を発行:生乳(未殺菌乳)、生
肉および発芽野菜の取り扱いには注意が必要
【ProMed mail】
1. コレラ、下痢、赤痢最新情報