国立医薬品食品衛生研究所が月2回発表している「食品安全情報」(化学物質)。EFSAがリスク評価に用いるデフォルト値(既定値として用いる標準値)のガイダンスを公表。日本との違いに注意。EFSAはまた、コメの農薬の最大残留基準値(MRL)を緩和。科学的根拠に基づいて日本に足並みをそろえた形。
注目記事
【EFSA】実測データがない場合に使用するデフォルト値についてのガイダンス
欧州食品安全機関(EFSA)は、リスク評価のさまざまな段階で必要となるデフォルト値について検討し、その統一化へ向けての意見を公表した。たとえば、体重、不確実係数の考え方、遺伝毒性試験への暴露マージン(MOE)の利用などである。
※ポイント:まず興味深かったのは体重のデフォルト値です。欧州食品安全機関(EFSA)は、ヨーロッパの成人の平均的な体重としてデフォルト値を70kgとしています。もちろん女性も含めての値です。一方、日本人の場合には50kgや53.5kgという値が評価で使用されています。地域によって体格や体重、食生活などが異なるのは当たり前のことなのですが、ここで大切なのは、暴露量など何かを評価したり比較する時にはバックグラウンドとなる地域性を必ず考慮に入れなければいけないということです。
【EFSA】コメのイソプロチオランに新しい最大残留基準値を設定
欧州食品安全機関(EFSA)は、コメの農薬イソプロチオランについて、日本で認可されていることに適合させるために最大残留基準値(MRL)を緩和してもヨーロッパの消費者への健康上の懸念とはならないと結論し、新しいMRLを設定することについての理由つき意見書を発表した。
※ポイント:TPPとの関連では、残留農薬について日本よりも海外の規制の方が緩いのではないかと問題視する向きも多いようですが、逆のパターンも存在します。今回のコメのイソプロチオランがその一例です。そして今回EFSAが下した結論のように、国際社会でのルールとして、国民へのリスクが低いことが科学的な根拠に基づいて示された場合には、国際的な協調が求められるということです。
食品安全情報へのリンク
「食品安全情報」
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.06(2012.03.21)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2012/foodinfo201206c.pdf
今号の目次
【EC】
1. SCFCAH-遺伝子組換え食品及び飼料と環境リスク
2. 食品獣医局視察報告書:インド、アイルランド、フランス、ホンジュラス、カナダ
3. 食品及び飼料に関する緊急警告システム(RASFF)
【EFSA】
1. 食品添加物としてのブチルヒドロキシトルエンBHT(E 321)の再評価に関する意見
2. 実測データがない場合にEFSAの科学委員会が使用するデフォルト値についてのガイダンス
3. ルテインの使用量に関する新しいデータにもとづくルテイン製品の安全性評価についての声明
4. 食品添加物としてのβ-アポo-8’-カロテナール(E 160e)の再評価に関する科学的意見
5. 食品添加物としての混合カロテン(E 160a(i))の再評価に関する科学的意見
6. 米のイソプロチオランに新しいMRLを設定することについての理由つき意見書
7. 香料グループ評価
【COT】
1. 2012年3月20日の議題とペーパー
【BfR】
1. BfRナノシルバー会議のプレゼンテーションの概要
【FSAI】
1. 調査の結果、小規模事業者は食品安全規制は注文が多いが事業には役立つと考えていることを明らかにした
【FDA】
1. 食品表示とあなた ビデオ
2. FDAはAeroShotカフェイン吸入剤のメーカーに警告文書を発行
3. 警告文書(2012年3月6日、13日公表分)
【NTP】
1. NTPとEPAによるRamazzini研究所の齧歯類がんバイオアッセイの病理検体レビューの要約報告書
【TGA】
1. 適応及び表示を支持するための根拠のレベルと種類についてのガイドライン
2. オーストラリア補完医薬品規制ガイドライン
3. 評価された登録補完医薬品リスト更新
4. 警告 Xiyouji Qingzhi痩身カプセル
【香港政府ニュース】
1. 漢方薬リコール
【KFDA】
1. 基準に適合しない機構‘おたま’回収措置
2. 外食! ナトリウムなど栄養成分確認して適切に召し上がってください。栄養政策課
【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(EurekAlert)あなたの飲み物に入っているカフェイン-それはほんとうに「天然」か?
・(EurekAlert)飲料水の硝酸塩はカリフォルニア地方の健康リスクとなる