国立医薬品食品衛生研究所が月2回発表している「食品安全情報」(化学物質)。欧州食品安全機関は、遺伝毒性試験戦略について意見を出した。また、EUは新しい食品表示規制を合意したが、これにはレストランのアレルゲン表示や、飲料のカフェインの表示などについての新たな義務を含む。そして、キノコ中毒に注意。
注目記事
【EFSA】食品と飼料の安全性試験に採用できる遺伝毒性試験戦略についての科学的意見
欧州食品安全機関(EFSA)は、食品と飼料の安全性試験に採用できる遺伝毒性データの作成と評価について、細菌の復帰突然変異試験※1とin vitro小核試験※2からなる、基本的な一連のin vitro試験から始める段階的アプローチを推奨している。
※1 復帰突然変異試験:細菌を使って遺伝子突然変異誘発性の有無を検索する比較的簡便な試験。Ames試験。
※2 in vitro小核試験:小核試験は、調べようとする物質を投与したときに、遺伝子に生じた切断が修復されずに残る小核の発生状況を調べる試験。in vitroは「試験管の中」を意味し、生体から取り出した環境を言う。これに対して生体内での現象はin vivo。
参考:用語集(食品安全委員会)
【DEFRA】EUの食品表示規制が新しくなる
EUでは新しい食品表示規制が合意された。新しい表示規制では、生鮮および冷凍肉の原産地表示、主成分の原産地表示、レストランを含む包装されていない食品のアレルゲン情報の表示、カフェインを多く含む飲料の追加表示などが、食品の製造業者や販売業者に義務づけられる予定である。
【NIH-ODS】ノコギリヤシは尿症状にプラセボ以上の効果はない
米国国立衛生研究所(NIH)が資金提供した研究で、ノコギリヤシのダイエタリーサプリメントは、良性前立腺肥大(BPH)による排尿障害を緩和しないことが確認された。
【HPA】中毒専門家が野生キノコに警告
英国健康保護庁(HPA)が、野生キノコの採取と摂取について注意を喚起している。英国の全国中毒情報サービス(NPIS)には、今年になってからキノコ中毒についてすでに120件以上の問い合わせがあり、そのうち45件は症状が中程度または重症であった。
英国に限らず、秋になると気になるのはキノコによる食中毒である。国(地域)によって生息しているキノコの種類は異なるが、そのうち食べても大丈夫なのは、ごく一部の種類のみである。今年も、日本国内で9月中旬から、自ら採取したキノコや朝市で販売されたキノコによる食中毒が報告されている。よくわからないキノコは食べないよう、ご注意いただきたい。
食品安全情報へのリンク
「食品安全情報」
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/index.html
食品安全情報(化学物質)No.20(2011.10.05)
http://www.nihs.go.jp/dsi/food-info/foodinfonews/2011/foodinfo201120c.pdf
今号の目次
【EC】
1. 2008年食品照射年次報告書
2. FVO視察報告書
3. 食品および飼料に関する緊急警告システム(RASFF)
【EFSA】
1. 起源に関わらず全ての組み合わせをカバーするためのトウモロコシMON 89034 × 1507 × NK603(application EFSA-GMO-NL-2009-65)についてのEFSAのGMOパネルの科学的意見を捕捉する声明
2. 食品と飼料の安全性試験に採用できる遺伝毒性試験戦略についての科学的意見
3. 食品サプリメントのビタミンC源としての新しい製造工程で作られたトレオン酸を含むL-アスコルビン酸カルシウムの安全性についての声明
4. 「低カロリースナック」と「低カロリー食による腹部脂肪細胞を小さくすることに寄与する」に関連する健康強調表示の立証についての科学的意見
5. イソロイシル-プロリル-プロリン(IPP)とバリル-プロリル-プロリン(VPP)と正常血圧維持に関連する健康強調表示の立証についての科学的意見
6. ビタミンDと転落リスクに関連する健康強調表示の立証についての科学的意見
7. 香料グループ評価
8. 飼料添加物に関する科学的意見
9. サイレージ添加物に関する科学的意見
【FSA】
1. 動物試験を削減させる研究
2. Dounreayの海産物のサンプリングによる廃棄を減らす
3. 遺伝子食品
【DEFRA】
1. DefraはGM小麦の試験を承認
2. 英国はフードファイトに勝利
【DH】
1. 食品サプリメント:ガイドラインとFAQ
【HPA】
1. 中毒専門家が野生キノコに警告
【BfR】
1. 小さい子ども向け乳飲料の栄養価
2. 小さい子ども向け乳飲料の微量栄養素
3. 2010年報告書
【RIVM】
1. 除外中の草地の農業と水質:除外モニタリングネットワークの枠組みでの2009年の結果
【ANSES】
1. ビスフェノールA:ANSESは最も感受性の高い集団への暴露を減らすための代替への貢献を要請
【FDA】
1. FDAは消費者と患者をインターネットの安全でない医薬品から守るための国際対策に参加
2. 警告文書
【EPA】
1. EPAはトリクロロエチレン(TCE)の最終健康評価を発表
【USDA】
1. USDAは害虫耐性綿の規制解除を発表
【NIH】
1. ノコギリヤシは尿症状にプラセボ以上の効果はない
【FTC】
1. FTCは果物風味Four Loko麦芽飲料のパッケージ変更を要求
【FSANZ】
1. ファクトシート:ヒ素
2. 食品中のMSG
3. 消費者情報 魚中の水銀
4. 食品基準通知
【APVMA】
1. 殺鼠剤混合所は9月30日まで操業再開が許可される
2. オーストラリアには違法輸入された農薬が溢れているのか?
【TGA】
1. 安全性情報:警告
2. トピラメート 痩身補助用に使用されたことに関連する有害事象
【NZFSA】
1. オーストラリアで販売されているNZで製造された冷凍野菜
【香港政府ニュース】
1. 中国製漢方薬リコール
2. 9食品が検査に不合格
3. 可塑剤を定期検査項目に
【KFDA】
1. 日本原子力発電所関連の食品医薬品安全庁対応および管理動向(13)
2. 解明資料(国民日報 “外国では拒否されたのに国内では堂堂と販売” 記事関連)
【HSA】
1. HSAは違法医薬品のオンライン販売対策84か国共同作戦に参加
【その他】
・食品安全関係情報(食品安全委員会)から
・(ProMED-mail)サバ中毒、ツナ カナダ:(BC)、サンドイッチチェーン、警告
・(ProMED-mail)食中毒、致死性 ペルー:(CJ)殺鼠剤疑い
・(EurekAlert)子宮内BPAによるマウスの精巣への悪影響はない