謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。
2020年がよい年になりますように。
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今年は7月から9月にかけて2020年東京オリンピック、2020年東京パラリンピックが開催され、さらに多くの旅行者が海外から訪れることが予想されています。
そして今年は、一部の外食産業の研究者の間で「外食元年」とも呼ばれている1970年から半世紀の節目ともなります。その年、わかりやすい現象としては先の日本万国博覧会(大阪万博)が開催されて海外の料理や食ビジネスが紹介され、「ケンタッキーフライドチキン」などのファストフードビジネスが海外から上陸、国内でも米国式の経営方式を志向したレストラン「スカイラーク」(後に「すかいらーく」)1号店がオープンしました。
しかし、それ以前に、日本は1967年から1973年に向けて5段階で外資の自由化を進めていて、1970年はその第3段階の年でした。つまり、ビジネスが国際化していく新時代の到来を、誰にもよく見える形で告げたのが、当時の外食産業だったわけです。
また、やや余談めくことですが、さらに50年さかのぼって100年前の1920年の日本に当たると、それは国際連盟加盟の年でした。以降の誤った躍進と挫折の繰り返しを経ての100年後である2020年は、国際社会のなかでの日本を考える年としてもふさわしいでしょう。
さて、この十数年世界的に日本の食品、料理、食文化が注目され、2013年には「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録され、さらに日本の食の人気は世界的に高まり、この熱は依然続いています。これが日本の食産業にとって大きなチャンスであることはもちろんですが、世界の企業とビジネスパーソンがライバルとして台頭していることもさらに意識していかなければならないでしょう。
もはや、「日本産だから」「日本人が作ったから」ということで自動的に評価される段階は遠く過ぎ、「品質」も「日本らしさ」も、世界の人々と競う段階に入っています。
景気、経済、外交の面では決して楽観できない情勢ですが、よい形で世界のなかの日本を見ながら、世界の人々と、新しい食ビジネス、新しい食生活、新しい食文化を作っていくスタートの年になることを願います。
FoodWatchJapan編集長 齋藤訓之
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FoodWatchJapanでは、今年もWebサイトとSNSを通じて、食に関する多様な情報をお伝えしてまいります。本年もどうぞよろしくお願いいたします。