- 大震災でサプライチェーン寸断、各方面で供給不足状態に
- 震災後、加工食品は備蓄特需も発生し受発注に混乱も
- ユッケ食中毒事件で信頼大きく揺らぐ
- 原発問題から各国が輸入規制を実施
- 食品の放射線物質汚染が続発、風評被害も多発し今後も長引く可能性大
- 中国で長期インフレが進行、食品価格上昇にともない人件費も上昇
- タイ洪水でまたもサプライチェーンが寸断、事業リスク回避策が課題
- 続く超円高が原材料コスト高を減殺
- 夏の節電でエコ商品に注目、工場は操業シフトなど対応に苦慮。冬場は軽微か
- TPP交渉に政府が参加表明、食品業界は冷静な受けとめ
1. 大震災でサプライチェーン寸断、各方面で供給不足状態に
工場・物流センター被災に加え、資材・包材、原材料の供給が寸断されて生産現場はマヒ状態に。
気仙沼、女川、石巻などの被害が甚大で、自治体の復興プランの遅れからいまだに工場の再建はままならないところも多い。
2. 震災後、加工食品は備蓄特需も発生し受発注に混乱も
震災直後から、関東圏を中心に量販店は備蓄特需で即席麺・缶詰・冷食・レトルトなど幅広い加工食品が備蓄需要の発生で需給タイト化。過剰注文もあり受発注が混乱した。
3. ユッケ食中毒事件で信頼大きく揺らぐ
死者が5人となる中毒事件史でも最悪の部類に。その後の厚労省による生食用肉の流通規制強化で焼肉産業が受けた打撃は大きい。補償問題も進展が遅く、今後も火種となる可能性大。
4. 原発問題から各国が輸入規制を実施
各国の輸入規制では中国が厳しい措置を実施し、現地工場への原材料や調味料の持ち込みが困難に。
同国は11月末にやっと輸入条件を定めた書式を定め、事実上の禁輸措置を緩和した。
5. 食品の放射線物質汚染が続発、風評被害も多発し今後も長引く可能性大
一次産品だけでなく、加工食品も原料安全性の担保と消費者からの問い合わせにメーカーは苦慮。
大手は自社検査態勢の整備を始めるが検査機器の入手に時間がかかり、10月以降になった。
牛肉のセシウム問題が消費者心理に大きな圧迫要因となり、その後のコメ問題も進行中。
6. 中国で長期インフレが進行、食品価格上昇にともない人件費も上昇
人件費の大幅な上昇にともない、現地工場の労働力確保が困難になってきた。また食生活の向上からとくに鶏肉の自家消費が急拡大し、対日輸出向け原料の確保も難しくなっている。
7. タイ洪水でまたもサプライチェーンが寸断、事業リスク回避策が課題
大震災と同様のサプライチェーン問題が発生し、出荷が滞って年末商戦に影響を与えた分野も。
タイが政局がらみ以外でカントリーリスクとして急浮上。企業のリスク回避策が戦略上の大きな課題となっている。
8. 続く超円高が原材料コスト高を減殺
原材料コストは小麦粉や油脂など高止まりしており、卵価や鶏・豚肉も高値傾向。水産物も世界的な需要増で市況は高水準で推移。ただ歴史的な円高の影響で輸入調達コストは減殺され、製品価格への転嫁は限定的にとどまった。
9. 夏の節電でエコ商品に注目、工場は操業シフトなど対応に苦慮。冬場は軽微か
夏場は東電管内など複数エリアで節電が義務づけられ、冬場も年末から事業者を対象に一部で実施の模様。夏場は電気を使わない自然解凍品などエコでかつ簡便な調理品が好調となったが、生産現場では土日の操業シフトや自家発電などコストアップ要因になった。冬場の節電義務は九州電力など軽度で済む模様。
10. TPP交渉に政府が参加表明、食品業界は冷静な受けとめ
農業は乳業や酪農業の反対姿勢もあり、食品メーカーは全体的に旗幟を鮮明にしていない。締結・発効までに10~15年かかるとみており、総じて冷静な受け止め方をしている。
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