まっすぐなラーメン「末廣ラーメン本舗」高田馬場分店(高田馬場)

「末廣ラーメン本舗」高田馬場分店(東京・高田馬場)
早稲田通りを高田馬場から早稲田方面に進んだ地点にある「末廣ラーメン本舗」高田馬場分店

  • 「末廣ラーメン本舗」高田馬場分店(東京・高田馬場)
    早稲田通りを高田馬場から早稲田方面に進んだ地点にある「末廣ラーメン本舗」高田馬場分店
  • 店内
    高田馬場分店は2009年のオープン

夏が近づいた、と言っても、まだまだ夜になるとぐっと冷えるもの。5月も後半からは寒暖差が激しく、昼間薄着で出て来た分、夜は冷えてしまいます。自転車通勤者にとっては、必死に漕いであったまるまでがつらいところ。かと言って厚着しすぎると汗だくになってしまう……。微妙な温度調節の季節ですが、こまめな着替えが肝心。夏風邪などひかぬよう注意しましょう、ご同輩。

別れても好きな人

 本当にここ数日、夜は結構寒い日が続いた。こういうときには、身体を内側から温めたくなる。ということで、今回は、このコラム初のラーメンに突入することに。

 もともと、ガッツリ系が好きだったから、ラーメンも大好きだった。ラーメンDBやラーメン知識を片手に、さまざまなラーメン屋を巡っていたもの。

 ところが40を超えたころ、突然、すとん、とラーメン熱が冷めてしまった。つまり、ああいう濃い味でグイグイ押すような麺ものを、大きな丼いっぱい食べることに、単調さを覚え、つまらなささえ、感じるようになってしまったのだ。

 それ以来、積極的にラーメンの新規開拓をすることはめっきり減ってしまった。

 ……とは言いながら、ラーメンは、やっぱり定期的に食べたくなる。

 とくに、ちょっと寒い夜、肌の表面が冷たさを覚えたときなど。お腹の中があったまり、濃い味にうっとり満足したい夜。考えてみたら、それって、徹夜明けのことが多いかもしれない。「徹夜」という、本当にごくごく軽い生命の危機状態から脱出するため、ガツン、と満足したくなるのだ。

 そんなときに、自転車を転がして早稲田・高田馬場方向へ向かう。言わずと知れた学生街であり、都内有数のラーメン激戦地だから。

 そして、自分が最近一番よく食べているのが、今回ご紹介する「末廣ラーメン本舗」なのである。

京都生まれ秋田育ちの美味

ヤキメシのPOP
名物「ヤキメシ」の玉子のせというのもひかれる……

 こちらのお店は、秋田県秋田市に本店を持つグループで、京都の「新福菜館」の流れをくむ。その濃厚醤油ベースを、秋田独特のコクと味のよさに合わせて完成したのが、こちらのラーメンなのだ。

 現在、秋田に2店舗、仙台に2店舗、そして2009年に東京進出し、こちらの高田馬場分店を営んでいるという。

「味の管理は、秋田から2カ月にいっぺんオーナーも来てチェックしてもらっています。本店の味がなつかしい、という人のほか、京都の『新福菜館』の味がほしい人もいらっしゃいますね」という林川武史店長。

 注文が入るたびに「セイセイ! ヨイショ!!」の掛け声で気合いを入れるのは、高田馬場分店の特徴とのこと。

 今回は、「中華そば(並)」と「ヤキメシ1/2」の「並セット」(980円)に、200円をプラスして中華そばをチャーシュー麺に。それから「手作り餃子」(400円)と「つまみ ザーサイ」(200円)もお願いした。

 この「ヤキメシ」も、真っ黒に炒めたご飯が特長の人気メニュー。餃子やザーサイは、お酒のアテにもぴったりの一品だ。

 いよいよ実食。

コクのスープ・踊る麺・ネギのシャキ

 まず、チャーシューメン。

 こちらのラーメンは、目の前に山盛りに置かれたネギをどっさりと盛って食べるのが、正しい食べ方。できたらコショウもたっぷりと投入したい。その威容をしばし鑑賞するのも、寒い夜の楽しみなのだ。

 で、スープを一口。濃い色のスープだけれど、しょっぱすぎず、コクがある。

 そのスープが、かん水がちょっと強めの直打ち麺にからむ。そのまま、麺をすすると……お口の中で、スープのしっかりした充実感を感じつつ、コシのある麺が踊るのである! そこにしっかりスープを吸ったネギのシャキシャキが絡み、すかさずチャーシューを一口!

 昔、楽しみな外食でラーメンを夢中で食べていた子供の頃を思い出すような……、なんとも言えず、幸せな瞬間だ。

  • チャーシューを乗せた「中華そば」
    チャーシューを乗せた「中華そば」。単品の場合は「中華そば(並)」が680円、「トッピング チャーシュー」が200円チャーシューを乗せた「中華そば」。単品の場合は「中華そば(並)」が680円、「トッピング チャーシュー」が200円
  • ネギをどかっと乗せてコショーもたっぷり
    ネギをどかっと乗せてコショーもたっぷりでいただきたい

真っ黒ヤキメシにカリカリ餃子

  • 「ヤキメシ1/2」単品の場合は300円
    「ヤキメシ1/2」単品の場合は300円。黒いが塩辛くはない
  • 「手作り餃子」(400円)
    小ぶりでカリカリの「手作り餃子」(400円)
  • 「つまみ ザーサイ」(200円)
    食感が楽しい「つまみ ザーサイ」(200円)

 食べ進んでいくと、濃い味のスープとコシのある麺の取り合わせが抜群なため、レギュラーサイズで注文した麺がどんどんなくなっていく。40を超えてから、濃い味のラーメンを完食するのが難しくなっていたのに……驚くべきこと。

「ラーメンばかりじゃなく、チャーハンやギョーザも楽しまなければ!」と箸を伸ばす。

 真っ黒に炒められた「ヤキメシ」。見た目と違って、全然しょっぱくはなく、ほっこりとしたお味でいくらでも食べられそうな勢いになる。

 ちょっと小ぶりの餃子がまた、表面カリカリで素敵なのだ。

 侮れないのが、ザーサイ。肉厚で、しゃっきりとした食感が楽しく、食べ飽きない味になっている。

 こうやって食べていくと、どんどん勢いがついて……あっと言う間にラーメンは丼から消えてしまった。

 ああ! 失敗した! 大盛りにすればよかった!! と思いながらチャーハンを食べると、今度は頭の中がチャーハンでいっぱいになって……夢中になって食べられる末廣さんのうれしさ。

 あっという間に、食べ終わってしまった。

 お腹いっぱい!

 今度は、絶対にラーメンを大盛りにしよう! と心に誓いながら店を出る。

 強い夜の風も寒くなくなった。


●「末廣ラーメン本舗」高田馬場分店

東京都新宿区高田馬場2-8-3 東館1階
Tel.03-3200-2885
営業時間:11:00~翌2:00
定休日:火曜日
http://www.fukumaru.info/suehiro/

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About 上荻吾朗 40 Articles
編集者 かみおぎ・ごろう 1964年生まれ。北海道出身。週刊誌記者、漫画編集者を経て、WEB製作会社で勤務。震災後、通勤困難を経験して、メタボ対策のためにも、自転車通勤をするようになる。おいしいものを食べることが何より好きな健康チューネン。いかにも飲めそうなヒゲ面のくせに下戸。