いよいよ春本番! 気持ちがウキウキしてしまいます。毎日の自転車通勤にも最高の気候。暖かくても酷暑ではなく、うっすら汗がにじむ感じで、朝がとくに気持ちいい! 事務所に到着すると、軽いランナーズハイが訪れて、心からうれしくなります。こういうときには、自転車を駆ってついつい遠くへ出ていきたくなりますね。でも、これから連休に向けて交通も激しくなりますから、自転車通勤やロードバイクを楽しむ方は、くれぐれも交通ルールを守って、楽しいツーリングをしましょう。
名店にご無沙汰している理由
相変わらず忙しさが続くが、夜に時間が出来そう。昼ごはんも食べてなかったので、しっかり濃厚でうっとりするような美味を食べたい……と思っていら頭に浮かんだのがカレー。カレーって国民食と言われるだけあって、一度頭に浮かんだら拭い去ることはほぼ不可能に近い魔力を秘めている。
漫画だと、ふなつ一輝「華麗なる食卓」(集英社)が最近は有名ですが、やっぱり、自分の世代は、永遠の名作「包丁人味平」(原作・牛次郎、漫画・ビッグ錠)の”カレー戦争”に止めを刺す。醤油を入れて一晩寝かせた「味平カレー」の妙味や、「ブラック・カレー」の麻薬的な魅力に、漫画の中でありながら強く強く惹かれていたもの。
昔からカレー好きを自認している自分がカレー目的で訪れていた街は神保町。「まんてん」のカツカレーや「ボンディ」のカレーは周期的に食べたくなって通っていた。最近は、その2軒に通う回数が減ったのだけれど、その理由は、これからご紹介するお店に通う回数が増えたからなのだ。
それが吉祥寺にある「モモカレー&カフェバー」さん。吉祥寺は自宅から2駅、ということもあって、気軽な買い物や食事でよく行くのだが、お腹にしっかりたまる食事、となるとかなりの確率でこちらへうかがうことが多い。5年前に開店してから、ずっと通っているお店だ。
高校時代から求めるカレーのイタダキ
オーナーのMOMOさん(31)が語るカレーにまつわる話がこれまたとてもユニーク。芸術系の学校に通っていた高校生の頃、「カレー部」に所属、スパイスから本気でカレーを作って、学校行事など機会があるたびに販売していた。その楽しさに目覚めて、大人になったら絶対にカレー屋をやろう! と決心していたという。
大学生になってもその熱は冷めないどころか、大学の山岳部に所属し、富士山の山小屋にカレーを作って持って行き、スタッフたちに食べさせ、その味にお墨付きをもらっていたという。
大学卒業後の就職先も3カ月で辞めて、あとはカレー屋開店までまっしぐら。ご両親の支援もあって、現在の場所にお店の候補を定め、大家さんに熱意だけでアタックし続けて開店にこぎつけた、という。
そしてこちらのもう一つの特徴が、カフェ的な店内の様子。調度品といい、照明といい、まさにMOMOさん独特のもの。アート方面に知り合いが多いMOMOさんが「なんとなく集まった仲間たち」の要望もあって、壁をギャラリースペースにして開放したり(1日100円!)、毎月第4金曜日にインストアライブがあったりと、“空間”としてのモモカレーを存分に機能させているのだ。おだやか~なMOMOさんのたたずまいや、それでいてキラリと光るセンスが、このお店を作り上げているのだろう。
欧風だから欧風とは言えない味
その雰囲気と相まって、「モモカレー」の味は、どこにもない独特のものになっている。メニューにある3種類のカレーにしても、タイ風のグリーンカレーにしても、スープカレーにしても、欧風カレーにしても、固有の何かに影響された「~風」というカレーとは言いたくなく、いずれもMOMOさんアレンジが効いた「モモカレー」風の味になっているだ。
中でも、自分が大好きなのが、「欧風カレー」とくに「野菜角煮ポークカレー」(1050円)。昔風のモッタリした小麦粉いっぱいの家庭カレーでもなく、スパイシー過ぎなサラサラカレーでもなく、スパイシーでありながらとろりと濃いルーが実に味わい深い「ザ・モモカレー」という味。
そして定番のカレーに入る素揚げ野菜がまた素晴らしいのだ。このアイデアは開店してほどなく。揚げる手間はかかるけど、やっぱりこのカレーには欠かせない、ということで続いてる。この野菜が実にカレーとなじむのだ。素揚げしてからカレーに入れ、ややしんなりとして出てくる呼吸のよさ。パリパリでもなく、ドロドロでもなく、しんなりとした食感がまたステキなのである。
具とカレーの調和にうなずきながら一気に
今回は、たっぷり食べたかったために、チーズとゆで卵トッピングをお願いした。
このトッピングも、他にウィンナーがあったり、素揚げのナスがあったり、バリエーション豊か。気分によって、トッピングも変えて、実に楽しいのだ。
そして、ラッシーを必ず注文。添えられた福神漬や野菜の酢漬けが彩りを添えて、よろこばしい設えの完成となる。
そしておもむろに、スプーンを持って、いただくのだ。
まず、最初は、スプーンでカレーを一口。欧風カレーのルーの濃さを楽しむ。スパイスが効きながらも、尖っていないコクの深い味を楽しみつつ、その舌触りの濃厚さを十分に堪能。そして、素揚げ野菜をカレーになじませて、もう一口。野菜の感触と甘さをカレーが受け止めたのを感じたら、そのままライスへ。カレーと野菜とライスの黄金の融合を、よろこばしさを全開にして享受する。
そこからは一気に。
ポークの軟らかさが、いかに「モモカレー」のカレーと合うかに深くうなずきつつ食べ勧め、途中、チーズのとろりやゆで卵とのカレーの融合を愉しみ、ご飯を食べ進める。
ちょっと辛みが増したら、ラッシーやお水や漬物で口の中をさっぱりさせて、またカレーに没入し、どんどん食べ進んでいくわけだ。
食べ終わることを惜しみつつ
カレーを食べる時には、他のことは頭に浮かばない。飽くまでもカレーの味のよさや、どれだけカレーを愛しているかを思い浮かべつつ、目の前のモモカレーの華麗さに陶酔しながら、一気に、休まずに食べ進める。いや、どんどん食べ進めてしまって、止まらなくなるんである。
ハッと思ったときには、もう残りもわずか。
カレーを食べ終わることを惜しみつつ、皿の端から端まで堪能して、感謝して食べ終わるのだった。
満腹と満足で満面の笑みをたたえるとき、モモカレーの店内の優しい光が、祝福するように輝いてくれていたに違いない。
大満足して、お店を後にしたら、夜はとっぷりとふけていた。
●「モモカレー&カフェバー」
東京都武蔵野市吉祥寺本町1-10-9 富澤ビル2F
Tel.0422-22-0231
営業時間:11:30~22:00(L.O.21:30)
定休日:無休(年末年始は要問い合わせ)
http://www.momocurry.com/