日本フードサービス協会(JF)は外食産業市場動向調査2022年年年間結果を発表した。全体の売上高は113.3%と2桁の拡大。客単価は際立って上昇したが、客数は106.2%と増加。
すべての業種・業態で売上高は上昇。客数はコロナ禍でも健闘していた持ち帰り米飯/回転寿司ファストフードを除くすべての業種・業態で前年を上回った。
一方、店舗数はほとんどの業種業態で減少傾向となっている。
JFによる概況は以下のとおり。
コロナ禍3年目となった2022年の外食産業は、3月にまん延防止等重点措置による営業制限が解除され、価格改定による客単価上昇もあり、全体売上は前年比113.3%となった。しかし、営業制限解除後も、夜間の外食需要と企業等の大口宴会需要はなかなか戻らない状況が続き、19年比では売上94.2%となった。また、業態間に明らかな差が見られ、FF(特に洋風FF)以外はコロナ前の売上を回復しておらず、特に、21年に酒類の提供制限で大きな影響を受けた「パブレストラン/居酒屋」は2019年比では売上49.2%となっている。さらに2月に始まったロシアのウクライナ侵攻や日銀の金融緩和政策に起因する原材料費やエネルギーコスト等の高騰、人手不足による売り上げ機会のロスなどが、回復途上の外食産業の経営を圧迫している。
業態別では、「ファミリーレストラン」(118.1%/83.8%)(前段21年比/後段19年比、以下同様)、「ディナーレストラン」(131.7%/76.6%))、「喫茶」(116.8%/80.0%)、「パブレストラン/居酒屋」(180.9%/49.2%))等の店内飲食業態は、回復基調にあるものの、コロナ前には戻っていない。一方、「ファーストフード」(107.9%/108.6%)は引き続き、「洋風」を中心にテイクアウト・デリバリーの下支えに加え、注文方法の多様化などによる顧客利便性の向上などもあり、売上好調を維持している。
売上高(前年比) | 店舗数(前年比) | 客数(前年比) | 客単価(前年比) | ||
---|---|---|---|---|---|
全体 | 113.3% | 99.1% | 106.2% | 106.7% | |
ファストフード | 合計 | 107.9% | 99.6% | 103.1% | 104.7% |
洋風 | 108.3% | 100.5% | 104.1% | 104.1% | |
和風 | 108.3% | 99.8% | 101.3% | 106.9% | |
麺類 | 112.3% | 98.4% | 106.1% | 105.8% | |
持ち帰り米飯/回転寿司 | 104.0% | 99.6% | 99.9% | 104.2% | |
その他 | 107.0% | 98.2% | 104.6% | 102.3% | |
ファミリーレストラン | 合計 | 118.1% | 99.1% | 112.1% | 105.4% |
洋風 | 115.6% | 98.1% | 111.2% | 104.0% | |
和風 | 120.3% | 98.8% | 112.2% | 107.2% | |
中華 | 115.4% | 102.0% | 112.1% | 102.9% | |
焼肉 | 126.1% | 100.4% | 120.1% | 105.0% | |
パブ/居酒屋 | 合計 | 180.9% | 94.7% | 161.9% | 111.7% |
パブ・ビアホール | 200.7% | 97.2% | 179.1% | 112.1% | |
居酒屋 | 172.4% | 94.1% | 153.2% | 112.5% | |
ディナーレストラン(計) | 131.7% | 100.4% | 125.0% | 105.4% | |
喫茶(計) | 116.8% | 98.4% | 108.7% | 107.5% | |
その他(計) | 121.4% | 100.1% | 114.1% | 106.4% |
凡例:10%以上のプラス/5%以上のプラス/前年同月未達(四捨五入で100.0%となっているものを含む)/5%以上のマイナス/10%以上のマイナス。
※前年同月比は税抜比較で行っている。
※ファストフード、ファミリーレストラン、パブ/居酒屋の各業態の内訳に関しては、重複する事業社があるため合計の数値は必ずしも内訳の累積に一致しない。
ファストフード
ファストフード全体の客単価は上昇したが、客数は103.1%と前年同月を上回った。売上高は107.9%と拡大。
洋風ファストフードは、客単価は上昇したが、客数は104.1%と前年同月を上回った。売上高は108.3%と拡大。
和風ファストフードは、客単価は際立って上昇したが、客数は101.3%と前年同月を上回った。売上高は108.3%と拡大。
麺類ファストフードは、客単価は際立って上昇したが、客数は106.1%と増加。売上高は112.3%と2桁の拡大。
持ち帰り米飯/回転寿司ファストフードは、客単価は上昇しながら、客数は99.9%とほぼ前年並み。売上高は104.0%と前年同月を上回った。
その他ファストフードは、客単価は上昇したが、客数は104.6%と前年同月を上回った。売上高は107.0%と拡大。
ファミリーレストラン
ファミリーレストラン全体の客単価は際立って上昇したが、客数は112.1%と2桁の大幅増。売上高は118.1%と2桁の拡大。
洋風ファミリーレストランは、客単価は上昇したが、客数は111.2%と2桁の大幅増。売上高は115.6%と2桁の拡大。
和風ファミリーレストランは、客単価は際立って上昇したが、客数は112.2%と2桁の大幅増。売上高は120.3%と2桁の拡大。
中華ファミリーレストランは、客単価は上昇したが、客数は112.1%と2桁の大幅増。売上高は115.4%と2桁の拡大。
焼肉ファミリーレストランは、客単価は際立って上昇したが、客数は120.1%と2桁の大幅増。売上高は126.1%と2桁の拡大。
パブ・居酒屋
パブ/居酒屋全体の客単価は2桁アップと大幅に上昇したが、客数は161.9%と2桁の大幅増。売上高は180.9%と2桁の拡大。
パブ・ビアホールは、客単価は2桁アップと大幅に上昇したが、客数は179.1%と2桁の大幅増。売上高は200.7%と2桁の拡大。
居酒屋は、客単価は2桁アップと大幅に上昇したが、客数は153.2%と2桁の大幅増。売上高は172.4%と2桁の拡大。
ディナーレストラン
ディナーレストラン全体は、客単価は際立って上昇したが、客数は125.0%と2桁の大幅増。売上高は131.7%と2桁の拡大。
喫茶
喫茶全体は、客単価は際立って上昇したが、客数は108.7%と増加。売上高は116.8%と2桁の拡大。
その他の業態
その他全体は、客単価は際立って上昇したが、客数は114.1%と2桁の大幅増。売上高は121.4%と2桁の拡大。
●日本フードサービス協会
http://www.jfnet.or.jp/data/data_c.html