日本フードサービス協会(JF)は2022年3月外食産業市場動向調査を発表した。全体(事業社数221、店舗数36,422店=99.0%)合計の売上高は105.9%と拡大。客単価は上昇したが、客数は102.2%と前年同月を上回った。
パブ・ビアホールは客数、売上高とも対前年同月122.8%と、全業種・業態のなかで最も高水準の数字を示した。一方、居酒屋は客数が対前年同月87.0%で、売上高は同96.2%だった。客数では、持ち帰り米飯/回転寿司(対前年同月96.4%)が前年の好調の反動が表れる形で前年同月を下回ったが、これら2つを除く他の業種・業態は前年同月を上回った。
前年2月の売上高は、前述の持ち帰り米飯/回転寿司のほか洋風ファストフードとディナーレストランが2020年比でプラスだったが、それ以外の業種・業態は軒並みマイナスだった。当月の結果にはその反動が表れている。また、まん延防止等重点措置が解除となった22日以降にオフィス街に客足が戻ったとされており、ランチと喫茶を中心にダウンタウンの店舗で好転があったと見られる。
JFによる概況は以下のとおり。
3月の外食の全体売上は前年対比105.9%となったが、コロナ以前の2019年比ではまだ86.3%にとどまっている。桜開花の時期が訪れ、気温の上昇とともに人流が増加し、加えて22日以降は新型コロナまん延防止等重点措置が全国すべての地域で解除となり、外食店舗はコロナ規制の無い通常営業に戻れたが、人手不足、円安、国際流通の停滞等による原材料費の高騰などが、外食全体の回復に水を差している。
売上高と店舗数の伸び率推移(〜2022年3月)
事業社数 | 店舗数 | 売上高(前年比) | 店舗数(前年比) | 客数(前年比) | 客単価(前年比) | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
全体 | (N=221) | (N=36,422) | 105.9% | 99.0% | 102.2% | 103.6% | |
ファストフード | 合計 | (N=55) | (N=21,233) | 106.6% | 99.7% | 102.3% | 104.2% |
洋風 | (N=18) | (N=6,135) | 108.9% | 100.5% | 103.8% | 105.0% | |
和風 | (N=16) | (N=5,121) | 107.9% | 100.2% | 102.4% | 105.4% | |
麺類 | (N=19) | (N=3,253) | 107.2% | 98.5% | 104.1% | 103.0% | |
持ち帰り米飯/回転寿司 | (N=18) | (N=4,325) | 100.2% | 100.1% | 96.4% | 103.9% | |
その他 | (N=7) | (N=2,399) | 102.8% | 97.4% | 101.0% | 101.7% | |
ファミリーレストラン | 合計 | (N=63) | (N=10,335) | 104.0% | 99.0% | 102.2% | 101.7% |
洋風 | (N=28) | (N=4,983) | 102.4% | 97.9% | 101.4% | 101.0% | |
和風 | (N=30) | (N=2,489) | 102.0% | 99.0% | 101.4% | 100.6% | |
中華 | (N=13) | (N=1,365) | 107.2% | 101.7% | 104.4% | 102.7% | |
焼肉 | (N=20) | (N=1,498) | 108.4% | 100.6% | 106.6% | 101.7% | |
パブ/居酒屋 | 合計 | (N=35) | (N=1,694) | 104.3% | 92.5% | 98.4% | 106.0% |
パブ・ビアホール | (N=10) | (N=414) | 122.8% | 95.4% | 122.8% | 100.0% | |
居酒屋 | (N=29) | (N=1,280) | 96.2% | 91.6% | 87.0% | 110.5% | |
ディナーレストラン(計) | (N=27) | (N=1,018) | 108.8% | 99.3% | 104.1% | 104.6% | |
喫茶(計) | (N=23) | (N=1,905) | 106.2% | 97.9% | 100.8% | 105.4% | |
その他(計) | (N=18) | (N=237) | 106.6% | 98.3% | 102.5% | 104.0% |
凡例:10%以上のプラス/5%以上のプラス/前年同月未達(四捨五入で100.0%となっているものを含む)/5%以上のマイナス/10%以上のマイナス。
※前年同月比は税抜比較で行っている。
※ファストフード、ファミリーレストラン、パブ/居酒屋の各業態の内訳に関しては、重複する事業社があるため合計の数値は必ずしも内訳の累積に一致しない。
ファストフード
ファストフード全体の事業社数は55、店舗数は21,233店(99.7%)。客単価は上昇したが、客数は102.3%と前年同月を上回った。売上高は106.6%と拡大。
洋風ファストフード(事業社数18、店舗数6,135店=100.5%)は、客単価は際立って上昇したが、客数は103.8%と前年同月を上回った。売上高は108.9%と拡大。
和風ファストフード(事業社数16、店舗数5,121店=100.2%)は、客単価は際立って上昇したが、客数は102.4%と前年同月を上回った。売上高は107.9%と拡大。
麺類ファストフード(事業社数19、店舗数3,253店=98.5%)は、客単価は上昇したが、客数は104.1%と前年同月を上回った。売上高は107.2%と拡大。
持ち帰り米飯/回転寿司ファストフード(事業社数18、店舗数4,325店=100.1%)は、客単価は上昇し、客数は96.4%と前年同月を下回った。売上高は100.2%と前年同月をクリア。
その他ファストフード(事業社数7、店舗数2,399店=97.4%)は、客単価は上昇したが、客数は101.0%と前年同月を上回った。売上高は102.8%と前年同月を上回った。
ファミリーレストラン
ファミリーレストラン全体の事業社数は63、店舗数は10,335店(99.0%)。客単価は上昇したが、客数は102.2%と前年同月を上回った。売上高は104.0%と前年同月を上回った。
洋風ファミリーレストラン(事業社数28、店舗数4,983店=97.9%)は、客単価は上昇したが、客数は101.4%と前年同月を上回った。売上高は102.4%と前年同月を上回った。
和風ファミリーレストラン(事業社数30、店舗数2,489店=99.0%)は、客単価は前年並みだが、客数は101.4%と前年同月を上回った。売上高は102.0%と前年同月を上回った。
中華ファミリーレストラン(事業社数13、店舗数1,365店=101.7%)は、客単価は上昇したが、客数は104.4%と前年同月を上回った。売上高は107.2%と拡大。
焼肉ファミリーレストラン(事業社数20、店舗数1,498店=100.6%)は、客単価は上昇したが、客数は106.6%と増加。売上高は108.4%と拡大。
パブ・居酒屋
パブ/居酒屋全体の事業社数は35、店舗数は1,694店(92.5%)。客単価は際立って上昇し、客数は98.4%と前年同月を下回った。売上高は104.3%と前年同月を上回った。
パブ・ビアホール(事業社数10、店舗数414店=95.4%)は、客単価は前年並みだが、客数は122.8%と2桁の大幅増。売上高は122.8%と2桁の拡大。
居酒屋(事業社数29、店舗数1,280店=91.6%)は、客単価は2桁アップと大幅に上昇し、客数は87.0%と2桁の大幅減。売上高は96.2%と前年同月を下回った。
ディナーレストラン
ディナーレストラン全体(事業社数27、店舗数1,018店=99.3%)は、客単価は上昇したが、客数は104.1%と前年同月を上回った。売上高は108.8%と拡大。
喫茶
喫茶全体(事業社数23、店舗数1,905店=97.9%)は、客単価は際立って上昇しながら、客数は100.8%と前年並み。売上高は106.2%と拡大。
その他の業態
その他全体(事業社数18、店舗数237店=98.3%)は、客単価は上昇したが、客数は102.5%と前年同月を上回った。売上高は106.6%と拡大。
●日本フードサービス協会
http://www.jfnet.or.jp/data/data_c.html