日本フードサービス協会(JF)は2021年3月外食産業市場動向調査を発表した。全体(事業社数225、店舗数37,389店=95.6%)合計の売上高は97.1%と前年同月を下回った。客単価は上昇し、客数は94.3%と減少。
洋風ファストフードサービスおよび持ち帰り米飯/回転寿司ファストフードサービスのみ、客数が前年同月を上回った。両業態は売上高も好調。また、ディナーレストランは客数は前年同月を下回ったが売上高は前年同月をクリアした。
パブ/居酒屋(61.0%)の客数および売上高の低下がとくに大きい。また、ファミリーレストラン(87.6%)、喫茶(89.2%)も客数減の幅が2桁となった。
全体的に前月=2021年2月に比べると改善したようにも見えるが、前年=2020年3月はすべての業種・業態で客数、売上高ともに前年割れとなり、全体の客数が2019年比83.4%、売上高が同82.7%と、コロナ禍の影響がはっきり出ていた。その上でさらに前年割れを示す業種・業態が多いことは憂慮すべき事態と言える。
JFによる概況は以下のとおり。
3月は緊急事態宣言が首都圏4都県で21日に解除され、市中への人出の回復がみられたものの、営業時間短縮要請は継続されたことから、全体売上は対前年比97.1%、コロナ禍の影響がなかった前々年比では80.4%と、依然として厳しい状況となった。とりわけ酒類提供の時間を制限されたパブ・居酒屋業態への打撃は大きく、売上は前年比60.3%、前々年比32.1%となった。
売上高と店舗数の伸び率推移(〜2021年3月)
事業社数 | 店舗数 | 売上高(前年比) | 店舗数(前年比) | 客数(前年比) | 客単価(前年比) | ||
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全体 | (N=225) | (N=37,389) | 97.1% | 95.6% | 94.3% | 103.0% | |
ファストフード | 合計 | (N=58) | (N=21,620) | 103.9% | 98.2% | 98.1% | 105.9% |
洋風 | (N=19) | (N=6,358) | 109.1% | 99.3% | 102.5% | 106.4% | |
和風 | (N=18) | (N=5,096) | 97.4% | 98.7% | 92.9% | 104.8% | |
麺類 | (N=19) | (N=3,213) | 92.7% | 96.6% | 91.0% | 101.9% | |
持ち帰り米飯/回転寿司 | (N=17) | (N=4,332) | 109.4% | 97.5% | 104.7% | 104.5% | |
その他 | (N=12) | (N=2,621) | 94.1% | 98.1% | 93.1% | 101.1% | |
ファミリーレストラン | 合計 | (N=61) | (N=10,151) | 90.3% | 93.3% | 87.6% | 103.0% |
洋風 | (N=29) | (N=5,100) | 87.9% | 90.6% | 85.3% | 103.1% | |
和風 | (N=32) | (N=2,439) | 92.4% | 93.7% | 90.9% | 101.7% | |
中華 | (N=14) | (N=1,286) | 95.6% | 98.2% | 90.7% | 105.4% | |
焼肉 | (N=16) | (N=1,326) | 90.3% | 98.8% | 91.7% | 98.5% | |
パブ/居酒屋 | 合計 | (N=38) | (N=2,341) | 60.3% | 85.2% | 61.0% | 98.7% |
パブ・ビアホール | (N=11) | (N=492) | 68.2% | 88.8% | 61.5% | 110.9% | |
居酒屋 | (N=31) | (N=1,849) | 57.9% | 84.3% | 60.9% | 95.2% | |
ディナーレストラン(計) | (N=29) | (N=1,075) | 101.1% | 92.0% | 98.6% | 102.5% | |
喫茶(計) | (N=21) | (N=2,009) | 93.4% | 96.6% | 89.2% | 104.7% | |
その他(計) | (N=18) | (N=193) | 97.3% | 95.1% | 96.0% | 101.3% |
凡例:10%以上のプラス/5%以上のプラス/前年同月未達(四捨五入で100.0%となっているものを含む)/5%以上のマイナス/10%以上のマイナス。
※前年同月比は税抜比較で行っている。
※ファストフード、ファミリーレストラン、パブ/居酒屋の各業態の内訳に関しては、重複する事業社があるため合計の数値は必ずしも内訳の累積に一致しない。
ファストフード
ファストフード全体の事業社数は58、店舗数は21,620店(98.2%)。客単価は際立って上昇し、客数は98.1%と前年同月を下回った。売上高は103.9%と前年同月を上回った。
洋風ファストフード(事業社数19、店舗数6,358店=99.3%)は、客単価は際立って上昇したが、客数は102.5%と前年同月を上回った。売上高は109.1%と拡大。
和風ファストフード(事業社数18、店舗数5,096店=98.7%)は、客単価は上昇し、客数は92.9%と減少。売上高は97.4%と前年同月を下回った。
麺類ファストフード(事業社数19、店舗数3,213店=96.6%)は、客単価は上昇し、客数は91.0%と減少。売上高は92.7%と縮小。
持ち帰り米飯/回転寿司ファストフード(事業社数17、店舗数4,332店=97.5%)は、客単価は上昇したが、客数は104.7%と前年同月を上回った。売上高は109.4%と拡大。
その他ファストフード(事業社数12、店舗数2,621店=98.1%)は、客単価は上昇し、客数は93.1%と減少。売上高は94.1%と縮小。
ファミリーレストラン
ファミリーレストラン全体の事業社数は61、店舗数は10,151店(93.3%)。客単価は上昇し、客数は87.6%と2桁の大幅減。売上高は90.3%と縮小。
洋風ファミリーレストラン(事業社数29、店舗数5,100店=90.6%)は、客単価は上昇し、客数は85.3%と2桁の大幅減。売上高は87.9%と2桁の縮小。
和風ファミリーレストラン(事業社数32、店舗数2,439店=93.7%)は、客単価は上昇し、客数は90.9%と減少。売上高は92.4%と縮小。
中華ファミリーレストラン(事業社数14、店舗数1,286店=98.2%)は、客単価は際立って上昇し、客数は90.7%と減少。売上高は95.6%と前年同月を下回った。
焼肉ファミリーレストラン(事業社数16、店舗数1,326店=98.8%)は、客単価は下降したが、客数は91.7%と減少。売上高は90.3%と縮小。
パブ・居酒屋
パブ/居酒屋全体の事業社数は38、店舗数は2,341店(85.2%)。客単価は下降したが、客数は61.0%と2桁の大幅減。売上高は60.3%と2桁の縮小。
パブ・ビアホール(事業社数11、店舗数492店=88.8%)は、客単価は2桁アップと大幅に上昇し、客数は61.5%と2桁の大幅減。売上高は68.2%と2桁の縮小。
居酒屋(事業社数31、店舗数1,849店=84.3%)は、客単価は下降したが、客数は60.9%と2桁の大幅減。売上高は57.9%と2桁の縮小。
ディナーレストラン
ディナーレストラン全体(事業社数29、店舗数1,075店=92.0%)は、客単価は上昇し、客数は98.6%と前年同月を下回った。売上高は101.1%と前年同月を上回った。
喫茶
喫茶全体(事業社数21、店舗数2,009店=96.6%)は、客単価は上昇し、客数は89.2%と2桁の大幅減。売上高は93.4%と縮小。
その他の業態
その他全体(事業社数18、店舗数193店=95.1%)は、客単価は上昇し、客数は96.0%と前年同月を下回った。売上高は97.3%と前年同月を下回った。
●日本フードサービス協会
http://www.jfnet.or.jp/data/data_c.html