日本フードサービス協会(JF)は2020年9月外食産業市場動向調査を発表した。全体(事業社数219、店舗数38,669店=97.3%)合計の売上高は86.0%と2桁の縮小。客単価は上昇し、客数は83.0%と2桁の大幅減。
洋風ファストフードを除くすべての業種・業態で客数減、売上減となった。パブ/居酒屋は前月から若干の改善が見られるが、パブ・ビアホールは依然として前年同月比50%を切っており、居酒屋も50%台で、このカテゴリーの深刻な状況は続いている。
パブ/居酒屋は客単価の低下も続くが、9月は和風ファミリーレストラン、ディナーレストランでも客単価の低下を見た。
一方、洋風ファストフードの客単価は1割以上の上昇。ほかに、中華ファミリーレストラン、麺類ファストフード、喫茶でも客単価の上昇が顕著だった。テイクアウト、デリバリーの拡大によると見られる。
JFによる概況は以下のとおり。
コロナの新規感染が8月上旬をピークに減少傾向を見せはじめたことで、特に月後半の4連休(シルバーウイーク)には一部で売上が前年並みまで回復、外食全体の売上は前年同月比86.0%と前月より2ポイント増えた。しかし、感染者数は“下げ止まり”で、企業の在宅勤務が続く中、特に繁華街・ビジネス街、ディナー時間帯、飲酒業態の営業は苦戦している。また、前年より休日数が1日少なく、西日本が台風の影響を受けたことも回復に水を差したといえる。
事業社数 | 店舗数 | 売上高(前年比) | 店舗数(前年比) | 客数(前年比) | 客単価(前年比) | ||
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全体 | (N=219) | (N=38,669) | 86.0% | 97.3% | 83.0% | 103.7% | |
ファストフード | 合計 | (N=57) | (N=22,093) | 95.5% | 98.7% | 87.8% | 108.8% |
洋風 | (N=17) | (N=6,343) | 103.3% | 99.8% | 90.1% | 114.6% | |
和風 | (N=16) | (N=5,148) | 92.8% | 100.6% | 89.7% | 103.4% | |
麺類 | (N=22) | (N=3,595) | 84.6% | 99.9% | 79.8% | 106.0% | |
持ち帰り米飯/回転寿司 | (N=15) | (N=4,362) | 94.0% | 93.8% | 90.1% | 104.3% | |
その他 | (N=11) | (N=2,645) | 83.6% | 99.3% | 81.1% | 103.1% | |
ファミリーレストラン | 合計 | (N=60) | (N=10,692) | 80.3% | 97.3% | 77.8% | 103.2% |
洋風 | (N=27) | (N=5,410) | 75.7% | 96.5% | 74.2% | 102.0% | |
和風 | (N=31) | (N=2,482) | 77.7% | 95.5% | 79.7% | 97.6% | |
中華 | (N=14) | (N=1,337) | 91.3% | 102.6% | 85.1% | 107.3% | |
焼肉 | (N=17) | (N=1,463) | 91.7% | 98.6% | 90.1% | 101.8% | |
パブ/居酒屋 | 合計 | (N=38) | (N=2,539) | 51.1% | 88.0% | 52.0% | 98.4% |
パブ・ビアホール | (N=10) | (N=324) | 44.4% | 94.7% | 46.5% | 95.4% | |
居酒屋 | (N=31) | (N=2,215) | 52.8% | 87.1% | 53.8% | 98.1% | |
ディナーレストラン(計) | (N=30) | (N=1,126) | 71.3% | 92.3% | 72.8% | 97.9% | |
喫茶(計) | (N=20) | (N=2,055) | 72.5% | 98.2% | 68.9% | 105.2% | |
その他(計) | (N=14) | (N=164) | 80.1% | 94.3% | 79.2% | 101.1% |
凡例:10%以上のプラス/5%以上のプラス/前年同月未達(四捨五入で100.0%となっているものを含む)/5%以上のマイナス/10%以上のマイナス。
※前年同月比は税抜比較で行っている。
※ファストフード、ファミリーレストラン、パブ/居酒屋の各業態の内訳に関しては、重複する事業社があるため合計の数値は必ずしも内訳の累積に一致しない。
ファストフード
ファストフード全体の事業社数は57、店舗数は22,093店(98.7%)。客単価は際立って上昇し、客数は87.8%と2桁の大幅減。売上高は95.5%と前年同月を下回った。
洋風ファストフード(事業社数17、店舗数6,343店=99.8%)は、客単価は2桁アップと大幅に上昇し、客数は90.1%と減少。売上高は103.3%と前年同月を上回った。
和風ファストフード(事業社数16、店舗数5,148店=100.6%)は、客単価は上昇し、客数は89.7%と2桁の大幅減。売上高は92.8%と縮小。
麺類ファストフード(事業社数22、店舗数3,595店=99.9%)は、客単価は際立って上昇し、客数は79.8%と2桁の大幅減。売上高は84.6%と2桁の縮小。
持ち帰り米飯/回転寿司ファストフード(事業社数15、店舗数4,362店=93.8%)は、客単価は上昇し、客数は90.1%と減少。売上高は94.0%と縮小。
その他ファストフード(事業社数11、店舗数2,645店=99.3%)は、客単価は上昇し、客数は81.1%と2桁の大幅減。売上高は83.6%と2桁の縮小。
ファミリーレストラン
ファミリーレストラン全体の事業社数は60、店舗数は10,692店(97.3%)。客単価は上昇し、客数は77.8%と2桁の大幅減。売上高は80.3%と2桁の縮小。
洋風ファミリーレストラン(事業社数27、店舗数5,410店=96.5%)は、客単価は上昇し、客数は74.2%と2桁の大幅減。売上高は75.7%と2桁の縮小。
和風ファミリーレストラン(事業社数31、店舗数2,482店=95.5%)は、客単価は下降したが、客数は79.7%と2桁の大幅減。売上高は77.7%と2桁の縮小。
中華ファミリーレストラン(事業社数14、店舗数1,337店=102.6%)は、客単価は際立って上昇し、客数は85.1%と2桁の大幅減。売上高は91.3%と縮小。
焼肉ファミリーレストラン(事業社数17、店舗数1,463店=98.6%)は、客単価は上昇し、客数は90.1%と減少。売上高は91.7%と縮小。
パブ・居酒屋
パブ/居酒屋全体の事業社数は38、店舗数は2,539店(88.0%)。客単価は下降したが、客数は52.0%と2桁の大幅減。売上高は51.1%と2桁の縮小。
パブ・ビアホール(事業社数10、店舗数324店=94.7%)は、客単価は下降したが、客数は46.5%と2桁の大幅減。売上高は44.4%と2桁の縮小。
居酒屋(事業社数31、店舗数2,215店=87.1%)は、客単価は下降したが、客数は53.8%と2桁の大幅減。売上高は52.8%と2桁の縮小。
ディナーレストラン
ディナーレストラン全体(事業社数30、店舗数1,126店=92.3%)は、客単価は下降したが、客数は72.8%と2桁の大幅減。売上高は71.3%と2桁の縮小。
喫茶
喫茶全体(事業社数20、店舗数2,055店=98.2%)は、客単価は際立って上昇し、客数は68.9%と2桁の大幅減。売上高は72.5%と2桁の縮小。
その他の業態
その他全体(事業社数14、店舗数164店=94.3%)は、客単価は上昇し、客数は79.2%と2桁の大幅減。売上高は80.1%と2桁の縮小。
●日本フードサービス協会
http://www.jfnet.or.jp/data/data_c.html