感染再拡大、短い夏休み、長雨

日本フードサービス協会(JF)は2020年7月外食産業市場動向調査を発表した。全体(事業社数214、店舗数37,810店=98.0%)合計の売上高は85.0%と2桁の縮小。客単価は上昇し、客数は81.5%と2桁の大幅減。

 すべての業態で客数が前年同月を大きく割り込む状態が続いている。

 洋風ファストフードは6月に前年同月割れを見たが、7月は5.1%のプラスとなった。客単価の上昇が効いた。

 パブ・ビアホールおよび居酒屋は客数減の幅も大きいが、客単価も低下していることが他業態との違いとなっている。

 JFによる概況は以下のとおり。

7月は、前半の店内飲食に回復傾向がみられ、ファーストフードなどのテイクアウト需要の伸びとあいまって、外食全体の売上は、前年比85.0%となった。

しかし、月半ばからは、東京・大阪等でのコロナ感染の再拡大や、小中学校の夏休みの短縮、西日本等を中心とした長雨などが客足に影響し、多くの業態で依然として厳しい状況が続いている。また、立地・業態間で回復のばらつきがあり、住宅地に近い“郊外立地”の店舗は比較的回復の一方、“繁華街立地”の店舗は苦戦が続いている。さらに、飲酒を伴う業態では他業態より回復が遅く(パブ・居酒屋前年比47.2%、ディナーレストラン65.5%)、月の後半には客数の前年比が再び降下し始め、回復への道のりはまだ遠い。

外食産業市場動向調査2020年7月度全店データ
事業社数 店舗数 売上高(前年比) 店舗数(前年比) 客数(前年比) 客単価(前年比)
全体 (N=214) (N=37,810) 85.0% 98.0% 81.5% 104.4%
ファストフード 合計 (N=59) (N=21,635) 96.4% 98.8% 88.0% 109.5%
洋風 (N=16) (N=6,072) 105.1% 99.8% 89.5% 117.4%
和風 (N=15) (N=5,151) 96.1% 100.9% 92.6% 103.7%
麺類 (N=22) (N=3,435) 79.8% 100.4% 77.2% 103.4%
持ち帰り米飯/回転寿司 (N=15) (N=4,312) 94.7% 93.6% 91.6% 103.4%
その他 (N=13) (N=2,665) 87.0% 99.4% 79.9% 108.9%
ファミリーレストラン 合計 (N=56) (N=10,456) 77.4% 98.3% 73.9% 104.8%
洋風 (N=22) (N=5,245) 72.5% 97.5% 70.9% 102.2%
和風 (N=29) (N=2,477) 72.2% 96.9% 71.8% 100.5%
中華 (N=14) (N=1,324) 88.6% 102.4% 82.9% 107.0%
焼肉 (N=16) (N=1,410) 95.3% 100.4% 92.1% 103.4%
パブ/居酒屋 合計 (N=34) (N=2,334) 47.2% 91.1% 49.3% 95.7%
パブ・ビアホール (N=7) (N=280) 35.0% 98.9% 41.2% 84.9%
居酒屋 (N=30) (N=2,054) 50.0% 90.2% 51.8% 96.6%
ディナーレストラン(計) (N=30) (N=1,135) 65.5% 93.6% 62.9% 104.1%
喫茶(計) (N=18) (N=2,062) 66.8% 98.5% 63.6% 105.0%
その他(計) (N=17) (N=188) 87.4% 104.4% 81.1% 107.8%

凡例:10%以上のプラス5%以上のプラス前年同月未達(四捨五入で100.0%となっているものを含む)5%以上のマイナス10%以上のマイナス

※前年同月比は税抜比較で行っている。

※ファストフード、ファミリーレストラン、パブ/居酒屋の各業態の内訳に関しては、重複する事業社があるため合計の数値は必ずしも内訳の累積に一致しない。

ファストフード

ファストフード全体の事業社数は59、店舗数は21,635店(98.8%)。客単価は際立って上昇し、客数は88.0%と2桁の大幅減。売上高は96.4%と前年同月を下回った。

洋風ファストフード(事業社数16、店舗数6,072店=99.8%)は、客単価は2桁アップと大幅に上昇し、客数は89.5%と2桁の大幅減。売上高は105.1%と拡大。

和風ファストフード(事業社数15、店舗数5,151店=100.9%)は、客単価は上昇し、客数は92.6%と減少。売上高は96.1%と前年同月を下回った。

麺類ファストフード(事業社数22、店舗数3,435店=100.4%)は、客単価は上昇し、客数は77.2%と2桁の大幅減。売上高は79.8%と2桁の縮小。

持ち帰り米飯/回転寿司ファストフード(事業社数15、店舗数4,312店=93.6%)は、客単価は上昇し、客数は91.6%と減少。売上高は94.7%と縮小。

その他ファストフード(事業社数13、店舗数2,665店=99.4%)は、客単価は際立って上昇し、客数は79.9%と2桁の大幅減。売上高は87.0%と2桁の縮小。

ファミリーレストラン

ファミリーレストラン全体の事業社数は56、店舗数は10,456店(98.3%)。客単価は上昇し、客数は73.9%と2桁の大幅減。売上高は77.4%と2桁の縮小。

洋風ファミリーレストラン(事業社数22、店舗数5,245店=97.5%)は、客単価は上昇し、客数は70.9%と2桁の大幅減。売上高は72.5%と2桁の縮小。

和風ファミリーレストラン(事業社数29、店舗数2,477店=96.9%)は、客単価は前年並みながら、客数は71.8%と2桁の大幅減。売上高は72.2%と2桁の縮小。

中華ファミリーレストラン(事業社数14、店舗数1,324店=102.4%)は、客単価は際立って上昇し、客数は82.9%と2桁の大幅減。売上高は88.6%と2桁の縮小。

焼肉ファミリーレストラン(事業社数16、店舗数1,410店=100.4%)は、客単価は上昇し、客数は92.1%と減少。売上高は95.3%と前年同月を下回った。

パブ・居酒屋

パブ/居酒屋全体の事業社数は34、店舗数は2,334店(91.1%)。客単価は下降したが、客数は49.3%と2桁の大幅減。売上高は47.2%と2桁の縮小。

パブ・ビアホール(事業社数7、店舗数280店=98.9%)は、客単価は2桁ダウンと大幅に下降したが、客数は41.2%と2桁の大幅減。売上高は35.0%と2桁の縮小。

居酒屋(事業社数30、店舗数2,054店=90.2%)は、客単価は下降したが、客数は51.8%と2桁の大幅減。売上高は50.0%と2桁の縮小。

ディナーレストラン

ディナーレストラン全体(事業社数30、店舗数1,135店=93.6%)は、客単価は上昇し、客数は62.9%と2桁の大幅減。売上高は65.5%と2桁の縮小。

喫茶

喫茶全体(事業社数18、店舗数2,062店=98.5%)は、客単価は際立って上昇し、客数は63.6%と2桁の大幅減。売上高は66.8%と2桁の縮小。

その他の業態

その他全体(事業社数17、店舗数188店=104.4%)は、客単価は際立って上昇し、客数は81.1%と2桁の大幅減。売上高は87.4%と2桁の縮小。

●日本フードサービス協会
http://www.jfnet.or.jp/data/data_c.html